ジョン・スタインベックのレビュー一覧

  • ハツカネズミと人間

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    ああ……なんて切ない話しなんだろう。アメリカのノーベル文学賞受賞作家の代表作『怒りの葡萄』同様に、こちらも傑作。短いので新潮文庫版と読み比べてみました。

    あらすじ:
    カリフォルニア州で農場を転々とする二人の出稼ぎ労働者。ジョージは、小柄で抜け目のない性格。一方レニーは、体が大きく腕力もあるけど頭の方はアレな感じ。まるで正反対の凸凹コンビですが、レニーを育てたクララおばさんが亡くなってからは、ジョージがレニーの面倒をみて、レニーはジョージなしでは生きていけません。体だけ大きい子どもみたいな性格のレニーは、あちこち働く農場で問題を起こしては、ジョージの庇護のもと、一緒に次の農場を目指すのでした。

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    2025年04月13日
  • ハツカネズミと人間

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    ネタバレ

    なんともいえない読後感が残る名作だと思う。
    貧しい渡り労働者のジョージとレニーは、いつか自分たちの土地を持つという夢を語り合う。現実には、労働者の多くが同じような夢を持つが叶わない。厳しい現実の中でもジョージが夢を語れたのは、相手がレニーだったからだろう。レニーはジョージの言うことを信じて素直に土地を手に入れるのを楽しみにしていて、否定的なことを言わない。それだけに、最後は切なかった。
    黒人の馬屋番のクルックスの部屋での会話が印象に残っている。
    「人間はあまり寂し過ぎると、病気になっちまう」(p.122)

    訳者解説で、タイトルの由来が知れたのも良かった。

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    2024年01月05日
  • ハツカネズミと人間

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    180ページと短いながらも、1930年代アメリカの貧しい労働階級の労働者の過酷な日常と主人公2人の友情が良く描かれている。あと小説全体からは土っぽさや埃っぽさなども醸し出されていて雰囲気がある小説であった。
    最後は何とも言えない切ない展開で、どういった気持ちでそのような行動を取ったのか?と読み手が考えさせられる終わり方だった。短いながらも心情に訴えてくる内容で翻訳も読みやすい。海外文学に興味を持ち始めた初心者にもオススメしやすい作品

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    2025年04月23日
  • チャーリーとの旅 アメリカを探して

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    この本は、スタインベックが愛犬チャーリーと改造したトラックでアメリカをぐるっと一周する旅の記録だ。スタインベックは自分の国を知らないことに気づいたから真実を探そうとして旅立ったのだが、楽しい出会いや壮大な景色を楽しんでいたかと思えば、辛い思いをすることもある。そして悲しいことに、1960年に大きな問題となっていた人種差別は今でもなくなってはいないなど、現在に通じるものもある。いろいろなことがあるけれど、いつもチャーリーが良き相棒となっていてほっとさせてくれる。
    こどもが小さかった頃、私と一緒にキャンピングカーでずーっと旅をしながら楽しく暮らしたい、と言っていたことがあった。ほんとにそうできたら

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    2025年03月06日
  • チャーリーとの旅 アメリカを探して

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    スタインベックが話している時の語尾が「サ」のようにカタカナになるのが個人的に受け付けなくて、あとたまに口調が現代風になって軽く見えるところも気になった。最後のニューオーリンズの章が今でも考えさせられるね。

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    2025年02月23日
  • ハツカネズミと人間

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    社会の底辺に属す渡り労働者を描いた本作は後に発表する「怒りの葡萄」へ繋がる一篇であり著者の持ち味たる写実的な表現が胸に迫る。特に結びでの堅実者ジョージと純粋な大男レニーの遣り取りは二人の心理が行間から滲み出るようだ

    ジョージから何度となく警告されながら結局人を殺めてしまうレニーの姿は、母親の心配した通り諍いに巻き込まれ罪を犯す「怒りの葡萄」の主人公トムと重なって映る。偶然の必然とも云うべきこれらの件は私に強い印象を残した

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    2025年02月18日
  • チャーリーとの旅 アメリカを探して

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    『怒りの葡萄』『エデンの東』のジョン・スタインベックが、1960年、愛犬チャーリーと、宿泊できるよう改造したトラック「ロシナンテ」でアメリカ中を旅した記録。
    各州のもつ地域性を、著者の目を通して、まるで異なる国を旅しているかのように明確に語っていく。
    そして各地で出会う人々とのエピソードを通して、彼が今住んでいるアメリカという国をあぶりだしていく。
    ただ、あぶりだされようとしたアメリカは、各州、各地域が歯車のようにうまく噛み合って機能している統一的なものではない。
    それぞれの地域性があり、それでも全員同じ方向を向いて発展していっている、というのでは全くない。
    折しも1960年のアメリカは、戦後

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    2025年02月08日
  • チャーリーとの旅 アメリカを探して

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    重いテーマは1番最後にあります。
    そこにある理由は、
    この厚い本を最後まで読まないだろうということなのか、
    ここまで読んでくれたならたとえ意見が違ってもいくらかでもわかってくれるだろうということなのか。

    厚いわりに小さい話題がたくさん散りばめられているので楽しくサクサク読んでいけます。

    古い本を読むと、書かれた知恵が今だほとんど活用されていないことがわかります。
    新しい本に比べて読む価値が低いなんてことはこれっぽっちもありません。

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    2024年12月30日
  • はつかねずみと人間たち

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    本作でノーベル文学賞を受賞

    怒りの葡萄が有名ですが、そっちはピューリッツア賞を受賞してます。
    ジェームスディーン主演のエデンの東は映画となったのは全体のごく一部でしたね。
    代表作の一つです。

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    2024年05月19日
  • ハツカネズミと人間

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    ネタバレ

    1930年代のカリフォルニアを舞台に、貧しい渡り労働者のジョージとレニーを主人公とした小説。あらすじだけ読んで労働者の悲哀を描いた作品かと思っていて、じっさい厳しい境遇は出てくるのだが、あまり労働そのものを描いた場面は登場せず、どちらかというと人間関係で苦労する様子が描かれる。結論もまた人間関係に起因するものである。レニーは読んでいてややもすれば肩入れをしたくなるような無垢な人物であることがわかっているので、その彼が殺されてしまうというこの結論は結構つらかった。「夢オチ」ではないかと期待してしまったほどである。しかし、(作中でそうとは明言されていないが)知的障碍を抱えているが無垢であるという一

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    2024年01月03日
  • ハツカネズミと人間

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    あとがきには「荒んだ心にじんわり染み入る不思議な物語」とあるが、私はむしろ噛んだ瞬間に血の味が拡がるような物語だと思った
    容赦ない現実や資本主義社会から溢れ落ちた人間たちの悲哀を描いた本作、弱者が弱者を傷つける様相は現代も同じだろう

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    2025年11月15日
  • ハツカネズミと人間

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    ネタバレ

    スタインベック、というと、名前は知っているけれども、どういう本を書かれているのか、まったく知らずにはじめて読んだ本でした。
    アメリカの田舎、労働者の生き様。

    読み終えてから解説を読むと、1930年代の大恐慌の影響を受けたアメリカ社会を描いているようでした。

    大恐慌の時代では慢性的な労働過剰の傾向がみられ、人件費などを変動費化することが求められ、貧しい渡り労働者たちを生み、格差と貧困が拡大、精神的な疲弊が身近に火即状況下にあったと言える、と解説されています。

    レニーとジョージというコンビというか、

    2人で農場などの仕事場を渡り歩いているのですが、

    それ以外の登場人物もそれぞれ孤独を抱え

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    2025年08月30日