ジョン・スタインベックのレビュー一覧
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ああ……なんて切ない話しなんだろう。アメリカのノーベル文学賞受賞作家の代表作『怒りの葡萄』同様に、こちらも傑作。短いので新潮文庫版と読み比べてみました。
あらすじ:
カリフォルニア州で農場を転々とする二人の出稼ぎ労働者。ジョージは、小柄で抜け目のない性格。一方レニーは、体が大きく腕力もあるけど頭の方はアレな感じ。まるで正反対の凸凹コンビですが、レニーを育てたクララおばさんが亡くなってからは、ジョージがレニーの面倒をみて、レニーはジョージなしでは生きていけません。体だけ大きい子どもみたいな性格のレニーは、あちこち働く農場で問題を起こしては、ジョージの庇護のもと、一緒に次の農場を目指すのでした。 -
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ネタバレなんともいえない読後感が残る名作だと思う。
貧しい渡り労働者のジョージとレニーは、いつか自分たちの土地を持つという夢を語り合う。現実には、労働者の多くが同じような夢を持つが叶わない。厳しい現実の中でもジョージが夢を語れたのは、相手がレニーだったからだろう。レニーはジョージの言うことを信じて素直に土地を手に入れるのを楽しみにしていて、否定的なことを言わない。それだけに、最後は切なかった。
黒人の馬屋番のクルックスの部屋での会話が印象に残っている。
「人間はあまり寂し過ぎると、病気になっちまう」(p.122)
訳者解説で、タイトルの由来が知れたのも良かった。 -
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この本は、スタインベックが愛犬チャーリーと改造したトラックでアメリカをぐるっと一周する旅の記録だ。スタインベックは自分の国を知らないことに気づいたから真実を探そうとして旅立ったのだが、楽しい出会いや壮大な景色を楽しんでいたかと思えば、辛い思いをすることもある。そして悲しいことに、1960年に大きな問題となっていた人種差別は今でもなくなってはいないなど、現在に通じるものもある。いろいろなことがあるけれど、いつもチャーリーが良き相棒となっていてほっとさせてくれる。
こどもが小さかった頃、私と一緒にキャンピングカーでずーっと旅をしながら楽しく暮らしたい、と言っていたことがあった。ほんとにそうできたら -
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『怒りの葡萄』『エデンの東』のジョン・スタインベックが、1960年、愛犬チャーリーと、宿泊できるよう改造したトラック「ロシナンテ」でアメリカ中を旅した記録。
各州のもつ地域性を、著者の目を通して、まるで異なる国を旅しているかのように明確に語っていく。
そして各地で出会う人々とのエピソードを通して、彼が今住んでいるアメリカという国をあぶりだしていく。
ただ、あぶりだされようとしたアメリカは、各州、各地域が歯車のようにうまく噛み合って機能している統一的なものではない。
それぞれの地域性があり、それでも全員同じ方向を向いて発展していっている、というのでは全くない。
折しも1960年のアメリカは、戦後 -
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本作でノーベル文学賞を受賞
怒りの葡萄が有名ですが、そっちはピューリッツア賞を受賞してます。
ジェームスディーン主演のエデンの東は映画となったのは全体のごく一部でしたね。
代表作の一つです。 -
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ネタバレ1930年代のカリフォルニアを舞台に、貧しい渡り労働者のジョージとレニーを主人公とした小説。あらすじだけ読んで労働者の悲哀を描いた作品かと思っていて、じっさい厳しい境遇は出てくるのだが、あまり労働そのものを描いた場面は登場せず、どちらかというと人間関係で苦労する様子が描かれる。結論もまた人間関係に起因するものである。レニーは読んでいてややもすれば肩入れをしたくなるような無垢な人物であることがわかっているので、その彼が殺されてしまうというこの結論は結構つらかった。「夢オチ」ではないかと期待してしまったほどである。しかし、(作中でそうとは明言されていないが)知的障碍を抱えているが無垢であるという一
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ネタバレスタインベック、というと、名前は知っているけれども、どういう本を書かれているのか、まったく知らずにはじめて読んだ本でした。
アメリカの田舎、労働者の生き様。
読み終えてから解説を読むと、1930年代の大恐慌の影響を受けたアメリカ社会を描いているようでした。
大恐慌の時代では慢性的な労働過剰の傾向がみられ、人件費などを変動費化することが求められ、貧しい渡り労働者たちを生み、格差と貧困が拡大、精神的な疲弊が身近に火即状況下にあったと言える、と解説されています。
レニーとジョージというコンビというか、
2人で農場などの仕事場を渡り歩いているのですが、
それ以外の登場人物もそれぞれ孤独を抱え