【感想・ネタバレ】チャーリーとの旅 アメリカを探してのレビュー

あらすじ

「かくして,わたしは気がついたのだ,自分の国を知らない,と」.一九六〇年.大統領選挙の直前,激動の一〇年の始まりの年.この国を「肌身で感じとってこなかった」二五年を埋めるべく,ロシナンテと名づけた改造トラックで,老プードルを相棒に旅に出た作家は,アメリカのどんな真相を見たのか? 路上を行く旅の記録.

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Posted by ブクログ

この本は、スタインベックが愛犬チャーリーと改造したトラックでアメリカをぐるっと一周する旅の記録だ。スタインベックは自分の国を知らないことに気づいたから真実を探そうとして旅立ったのだが、楽しい出会いや壮大な景色を楽しんでいたかと思えば、辛い思いをすることもある。そして悲しいことに、1960年に大きな問題となっていた人種差別は今でもなくなってはいないなど、現在に通じるものもある。いろいろなことがあるけれど、いつもチャーリーが良き相棒となっていてほっとさせてくれる。
こどもが小さかった頃、私と一緒にキャンピングカーでずーっと旅をしながら楽しく暮らしたい、と言っていたことがあった。ほんとにそうできたらいいなと思ったけれど、この本を読んだら、ずーっと続く旅よりも、ちゃんと家があって帰ることになっているほうが旅を楽しめるのかもしれないなんてことを思った。

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

スタインベックが話している時の語尾が「サ」のようにカタカナになるのが個人的に受け付けなくて、あとたまに口調が現代風になって軽く見えるところも気になった。最後のニューオーリンズの章が今でも考えさせられるね。

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

『怒りの葡萄』『エデンの東』のジョン・スタインベックが、1960年、愛犬チャーリーと、宿泊できるよう改造したトラック「ロシナンテ」でアメリカ中を旅した記録。
各州のもつ地域性を、著者の目を通して、まるで異なる国を旅しているかのように明確に語っていく。
そして各地で出会う人々とのエピソードを通して、彼が今住んでいるアメリカという国をあぶりだしていく。
ただ、あぶりだされようとしたアメリカは、各州、各地域が歯車のようにうまく噛み合って機能している統一的なものではない。
それぞれの地域性があり、それでも全員同じ方向を向いて発展していっている、というのでは全くない。
折しも1960年のアメリカは、戦後経済成長で都市が急発展し、黒人の公民権運動が高まっている最中であり、とりわけスタインベックが主に旅した南部は新たな価値観の受容と拒絶の狭間で揺れに揺れ動いている。各州が独自の美しさを持っている一方、独自の醜さを持っている。
最後に立ち寄ったニューオーリンズでの「チアリーダース」のエピソードは、いかに差別が醜いものであるか、そして人間を盲目にするのかを知らしめてくれる。

この、スタインベックの地域の切り取り方も素晴らしいのだが、一方、淡々としたリズムで徐々に退屈になるという旅行記が根本的に持っている宿命を、愛犬チャーリーとのやりとりで回避している点も素晴らしい。ときに擬人化されるこの老犬は、実にチャーミングで、読者にとってもこの長旅のかけがえのないパートナーになる。
彼がいることで、旅が退屈しない。彼がいることで、スタインベックの考えも深まるし、引き立つし、私たちによく伝わる。

差別などトピックとしては、真剣にとらえるべきものも多くあるのだが、それでも肩の力を抜いて彼と一緒に旅を楽しんで欲しい。
文章を通して目の前に広がるアメリカの景色は、素晴らしいよ。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

重いテーマは1番最後にあります。
そこにある理由は、
この厚い本を最後まで読まないだろうということなのか、
ここまで読んでくれたならたとえ意見が違ってもいくらかでもわかってくれるだろうということなのか。

厚いわりに小さい話題がたくさん散りばめられているので楽しくサクサク読んでいけます。

古い本を読むと、書かれた知恵が今だほとんど活用されていないことがわかります。
新しい本に比べて読む価値が低いなんてことはこれっぽっちもありません。

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2024年12月30日

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