竹内政明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私の新聞嫌いを直してくれた本。新聞って、なんか敷居が高くて堅苦しいイメージがありませんか? 遠い外国の話とか、政治の話とか、自分とは遠い世界の話というか。でもでも、なかなかどうして、読ませてくれるコラムもあるんですよ。
著者の竹内政明さんは、読売新聞の朝刊コラム『編集手帳』の書き手。歴代のコラム執筆者の中でも特に名手だとの定評のある方。その方が、これならばと特に選んだ文章が並んでいます。見開きで一日分の短い文章なので、お手軽。文章修行としてもお勧めです。
この本を読んだのはずいぶん前なのですが、未だに新聞を見るたびに思い出しますし、その度ににまにま笑ってしまいます。私、たぶん一生人生楽しいと思います。
日々、大量に印刷され、読み捨てられる新聞。ここにも人間のドラマがありますよ。小学一年生の純粋な父親賛歌に、ココロぶち抜かれてください。 -
Posted by ブクログ
読んで知って得したこと3つ
(1)失敗はネタの宝庫
今となってはいい思い出となっているものを書いたり語ったりするといい。すべてできてしまう人間ほどつまらないものはない。転んでは立ち上がり、調子にのってはすっころぶ。それを笑って語れる人は、とても素敵だ。
(2)書き写すことは最高の文章鍛錬
池上彰さんも読売新聞の竹内さんも、文章を書き写し学んでいる。すごく書ける人が練習していて私が練習していないのは、とても変なことだ。そして、それで書けていないわたしは当然の結果だよねってなる。だから、すぐにはじめよう。
(3)プロの真似をしたい
池上彰さんは、普段は「です・ます」を多く使用する。その知識や専門用語を理解していなくても、池上彰さんの文章は読むスピードと理解するスピードがほとんど同じである。内容がつっかえずに、水を飲むようにスルスルととりこめることができる文章はとてもすごいこと。
そのすごい人が「です・ます」を普段使っているなら、私も真似したいと思うのは滝の水が上から下へと流れるのと同じくらい当たり前のことですよね。 -
Posted by ブクログ
大学時代の講義で未だに覚えている発言がある。「歴史が勝者の姿を書いたものであるとすれば文学とは敗者の姿を書いたものだ」というものだ。「日の当たらない人に、より多く言葉をかけたい」これは文章中に出てくる竹内さんの言葉だが、真っ直ぐに心を射抜いてくるのは「日の当たらない人」の姿を優しく克明に捉えているからだろう。竹内さんの文章は、単なる新聞のコラムで終わらず「文学」と言ってしまっていいと思う。
また竹内さんの文章の特徴として「引用」の多様さが挙げられる。竹内さんの圧倒的なインプットの量にはただ感服させられるのみだが、その多種多様な発言、名言、フレーズと一見無関係と思える話題とを結びつける発想力こそ、名文と呼ばれる理由だろうと考えてしまう。
-
Posted by ブクログ
文章の論旨や、本の感想をどういう方向性にしようかという点では迷うことが多いが、伝えることが決まってしまえばそこから先でそれ程迷ったことはなかった。
しかし、この本を読んで自分がどれだけ無頓着に文章を垂れ流していたのか思い知らされ、今現在タイピングをする手が止まってしまっている。
文章の構成も考えず、適当に話を進めていなかったか?
先に読み進めたくなる工夫をしていなかったのではないか?
文中に無駄・曖昧な表現をしていないか?
表現や単語の選択は適当にしていないか?
私の答えは全て「YES」である。その他にもこの本の著者二人は様々な点に、細心の注意を払って文章を作成していることが伝わってきた。
ただただ、文章を生業にしている人との意識の差に驚くばかりではあるが、そこに考えたこともなかった差があることが判った。それを認識した以上、少しでも上達していきたい。
なんかそんな本。 -
Posted by ブクログ
正しいことを言うときは少し控えめにするほうがいい。
まずは、何を書くかをはっきりとさせる
自分の小さな経験から入る。
なんでもいいから書いてみる。
書いているうちに結論が浮かんでくる。
要素を書き出す
言葉というのは、受け取る人によって、イメージがまったく違う。
これは誰に向けて書いた文章なのかを自覚しながら書く。
自分が腹の底から意味のわかる言葉以外は使わない。
わかりにくい文章を書いている人は、その物事についてよくわかっていない。
自分が本当にわかっていることを、自分の言葉で書くのが基本です。
これは誰に読んでもらうものかを常に意識しながら書く、というのが、文章を書く基本になる。
小学生にもわかるように
失言の多くは、読者、視聴者が見えていないときに、口から出てしまう。
演説の勉強をするために、仕事の隙間を見つけては片っ端から落語を聴いている。
二度読まなくても意味が頭に入ってくるような文章の書き方をしなければいけない。
厳しく批判したいときほど、8割くらいの力に抑える。
改善点というのは、いくらでも出てくる。
同じ文章を繰り返し書き写せば書き写すほど、いい発見が出てくる。
読む途中でひっかかるところが出てくる。そこがダメな文章である。
基本的には、淡々と事実だけを書いていく。
文章の執筆には、書く力だけではなくて、読む力もとても重要になってくる。
簡潔に書くということと、短く書くということの間には大きな距離がある。
失敗談は、その書き手が、その失敗について、心の中で解決できていないとダメだということです。
読んでいる文章の内容が頭に沁み込む速度は、活字を目で追う速度よりも遅い。 -
Posted by ブクログ
毎日11紙に目を通すジャーナリストの池上彰さんは、読売新聞だけは1面下のコラムから読むのが常だった。
本書は、コラム「編集手帳」を2017年まで書き続けられた竹内政明さんの自選集。
執筆の心がけは、と問われ、日の当たる人より日の当たらない人により多く言葉をかけること、という。
人気力士の高見盛が引退しスポーツ面で大きく取り上げられた。その下に小さく、「武州山(ぶしゅうやま)も引退」という記事がでる。
同じ日に引退する2人が、同い年、同じ青森県出身で初土俵も同じ、と知り、竹内さんは翌日のコラムにこう記した。
◆相撲界が八百長問題で大揺れの頃である。弁護士などの調査チームが関取衆から事情を聴取し、証拠物件となる携帯電話と預金通帳を持参するよう求めた。スポーツ報知の記事を覚えている。
▲「あなたは持って来なくてもよかったのに・・・」
武州山関(36)(藤島部屋)は持参した品を突き返された。いつも全身全霊で土俵を務めるあなたが八百長をするはずがないから、と。
▲一点の曇りなき”ガチンコ力士”認定者はほかにもいたが、第1号は武州山関である。あの朝、相撲界はどこまで汚染されているのか、誰を信じていいのか分からない疑心暗鬼のなかで、その記事に心を洗われた大相撲ファンも多くいたはずである。賜杯ならぬ記憶にその名を刻し、末永く称えられていい栄誉だろう。
▲きのうの朝刊が、その人の引退を短く伝えていた。年寄「小野川」を襲名するという。
たび重なるけがに泣きながら、32歳で新入幕を果たした遅咲きの苦労人である。幕内在位は11場所、最高位は西前頭3枚目という。
稼いだ勝ち星の数や、浴びた拍手喝采の数だけでは”重み”を量れない勲章が、男の人生にはある。 (2013.1.29)
文章を紡ぐ上では、論理展開やレトリックの工夫も大切だけれど、人に対する温かく優しい眼差しを忘れてはいけないよ。
自らへの戒めとしたい。 -
Posted by ブクログ
文章の書き方本
池上彰さんと読売新聞社の「編集手帳」を担当する竹内政明さんとの対談本
正直あまり期待していなかったけど、めちゃくちゃ面白かった(笑)
お二人が褒める文章について「上手さ」はよく分からないところもあるけど、お二人が楽しくてしょうがないのは伝わった(笑)
あと池上さんが自分の書いた文章は時間が許せば、書き終わったらしばらく時間をおいてプリントアウトしてから読み直すって話してたけど、すごくよく分かる。
私も、まったく同じ。パソコンの画面のままではどうにもピンとこない。誤字脱字も気づきにくい。
どうしてか分からないけど、紙じゃないとダメなんだよね(笑) -
Posted by ブクログ
池上彰さんと竹内政明さんの対談を軸にした、もっと良い文章を書きたい、と思えるようになる本。世の中に向けて文章を書く人はこういう事を考えながら書いているんだ・・ということが垣間見えた。ぜひアウトプットしたい。
以下、トピック。
・うまい文章だなと思うものの多くは、最初話がどう転がっていくのかがわからず興味をそそるものになっている。
・読者は「自分の知らない話」を面白がる。実は、その書き手にとって身近な世界というのは、読者にとっては「自分の知らない話」、つまり新鮮な情報になる。
・最初に自分が書いたものをとにかく半分にしてみる。すると文章が引き締まる。
・文章構成の一例。まず読者を惹きつける書き出し。次に読書に予想させない展開。最後に書き出しと結びつけたオチ。
・自分がわかっていることを、わかっている言葉で書く。文章が相手に伝わらないというのが一番まずい。「わかりにくい文章を書いている人は、その物事についてよくわかっていない」
・どうすればよい短文が書けるようになるか。「削る練習」しかない。毎日、書き手は削り、書いては削りを繰り返していくうちに、余計な贅肉が見えてくる。
・これは誰に読んでもらうものか、を常に意識しながら書く。文章を書く基本。
・文章が上手くなるには、とにかくたくさんの本を読むことが必要。特に落語や講談は文章を書く人にとって本当に勉強になる。
-
Posted by ブクログ
元来、あまり対談形式の本は好きではないのだけど、この本はおもしろかった。池上彰さんの文章について、読む速度と理解の速度がそろうことで、すらすら読めるという評があるが、対談においてもその特長がが現れているようです。
テーマと読者の橋渡しになる構成や切り口、表現の豊かさを増すために、常に古事成語や文学・映画・身の回りのエピソードをストックしているという、プロの研鑽には頭が下がる。
古賀史健の「書く人の教科書」にもあった、豊かな文章を書くための努力と、そのノウハウについて惜しみなく語られている。
ジャーナリズムにいる二人ならではだと感じるのが、表現やテーマに対するメタ認知の力。
対象を限定しすぎていないか、物事の評価を一面的にだけ捉えていないかといった、中立であるためのスタンスの取り方はさすがです。
また、過剰な表現に酔ったり、押し付けがましくなっていないかなどの、読者との距離感の取り方など、あらためて意識したいものです。