【感想・ネタバレ】読売新聞 朝刊一面コラム 竹内政明の「編集手帳」傑作選のレビュー

あらすじ

体調不良により、読売新聞朝刊一面コラム「編集手段」の執筆を退いた竹内政明氏の最後のコラム集。勝った人より「負けた人」に、幸せな人より「日の当たらない人」に寄り添い、人々の心の襞に分け入る当代きってのコラムニストによる自選121編の「傑作選」と、ラクレ未収録分30編を収録。「泣けるコラム」で多くのファンを魅了してきた竹内氏の珠玉の作品集。

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Posted by ブクログ

文章の導き方が上手すぎる。ツカミに読者の注意を引く引用や小話を持ってきて、自分の主張にさりげなく誘導するやり方は、不自然さを感じさせないのに説得力をもたせることができる技法だ。

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2024年04月28日

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大学時代の講義で未だに覚えている発言がある。「歴史が勝者の姿を書いたものであるとすれば文学とは敗者の姿を書いたものだ」というものだ。「日の当たらない人に、より多く言葉をかけたい」これは文章中に出てくる竹内さんの言葉だが、真っ直ぐに心を射抜いてくるのは「日の当たらない人」の姿を優しく克明に捉えているからだろう。竹内さんの文章は、単なる新聞のコラムで終わらず「文学」と言ってしまっていいと思う。
また竹内さんの文章の特徴として「引用」の多様さが挙げられる。竹内さんの圧倒的なインプットの量にはただ感服させられるのみだが、その多種多様な発言、名言、フレーズと一見無関係と思える話題とを結びつける発想力こそ、名文と呼ばれる理由だろうと考えてしまう。

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2021年01月02日

Posted by ブクログ

我が家はずっと読売新聞。
十数年前、なんかちょくちょく心に刺さる文章書くよな~~編集手帳おもしれーーと思うようになって。
その時調べてみて、竹内政明という人が書いていることを知った。

2001年7月から書いていたそうですね。
そして昨年体調不良で退いた知らせはショックでしたよ・・・。

もうなんていうか、目線が好きなんだよな。
そっと寄り添う感じ。
でもたまに皮肉があったりするのもいい。
文の書き方?組み立て方?そういうのも好き。

もう読めないのは残念。

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2018年07月05日

Posted by ブクログ

毎日11紙に目を通すジャーナリストの池上彰さんは、読売新聞だけは1面下のコラムから読むのが常だった。
本書は、コラム「編集手帳」を2017年まで書き続けられた竹内政明さんの自選集。
執筆の心がけは、と問われ、日の当たる人より日の当たらない人により多く言葉をかけること、という。

人気力士の高見盛が引退しスポーツ面で大きく取り上げられた。その下に小さく、「武州山(ぶしゅうやま)も引退」という記事がでる。
同じ日に引退する2人が、同い年、同じ青森県出身で初土俵も同じ、と知り、竹内さんは翌日のコラムにこう記した。

◆相撲界が八百長問題で大揺れの頃である。弁護士などの調査チームが関取衆から事情を聴取し、証拠物件となる携帯電話と預金通帳を持参するよう求めた。スポーツ報知の記事を覚えている。
▲「あなたは持って来なくてもよかったのに・・・」
武州山関(36)(藤島部屋)は持参した品を突き返された。いつも全身全霊で土俵を務めるあなたが八百長をするはずがないから、と。
▲一点の曇りなき”ガチンコ力士”認定者はほかにもいたが、第1号は武州山関である。あの朝、相撲界はどこまで汚染されているのか、誰を信じていいのか分からない疑心暗鬼のなかで、その記事に心を洗われた大相撲ファンも多くいたはずである。賜杯ならぬ記憶にその名を刻し、末永く称えられていい栄誉だろう。
▲きのうの朝刊が、その人の引退を短く伝えていた。年寄「小野川」を襲名するという。
たび重なるけがに泣きながら、32歳で新入幕を果たした遅咲きの苦労人である。幕内在位は11場所、最高位は西前頭3枚目という。
稼いだ勝ち星の数や、浴びた拍手喝采の数だけでは”重み”を量れない勲章が、男の人生にはある。                        (2013.1.29)

文章を紡ぐ上では、論理展開やレトリックの工夫も大切だけれど、人に対する温かく優しい眼差しを忘れてはいけないよ。

自らへの戒めとしたい。

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2019年03月20日

Posted by ブクログ

読売新聞の朝刊コラム「編集手帳」で書き手を務めた竹内政明さんの傑作選。

子供の頃はなぜ父親が熱心に新聞を読んでいるのか理解出来なかった。この本を読んだ今は、そのワケの一端が知れた気がする。

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2020年10月29日

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ネタバレ

 「天声人語」「春秋」、ときどき「産経抄」。
 新聞一面コラムは日々目にするが、読売の「編集手帳」は、その中でも一番読んでないものだった。それでも、本書に編まれた120編のなかに、1つ2つは目にしたことがあるものもあり、それなりに名文の誉れのコラムだったのかと。
 著者のコラム担当期間が2001~2017年。平成が終わろうという年に、その後半の世相を省みることが出来て、なかなかの読後感。

 とはいえ、日本の新聞のコラムの作法というか、展開は、あまり好きではない。導入部分で、季節の話題、故事や詩歌を引いたかと思うと、終わりは世相や政権批判、今の社会に物申すなど、序と結が、どうにも結びついてないものが少なくない。
 大学入試対策で小論文の勉強をした時や、その後も分かりやすい文章、伝わりやすい文章についてのノウハウを見聞きしても、「最初と最後に言いたいことを書く」や、「主張は最初に」などあり、そうした文章と較べて、ずいぶん、文章の成りたちが違うなと、この手のコラムを読むたびに思うこと多し。

 そんな中では、比較的、他のコラムより、全体として主旨はぶれない、導入と内容に大きな違いがない文章という気はした。むしろ、小論文のベタの手法「最初と最後に言いたいことを書く」に近い気もしないでもない。

 素朴で、分かりやすいコラム。そんな印象。

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2019年01月09日

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