あらすじ
体調不良により、読売新聞朝刊一面コラム「編集手段」の執筆を退いた竹内政明氏の最後のコラム集。勝った人より「負けた人」に、幸せな人より「日の当たらない人」に寄り添い、人々の心の襞に分け入る当代きってのコラムニストによる自選121編の「傑作選」と、ラクレ未収録分30編を収録。「泣けるコラム」で多くのファンを魅了してきた竹内氏の珠玉の作品集。
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Posted by ブクログ
「天声人語」「春秋」、ときどき「産経抄」。
新聞一面コラムは日々目にするが、読売の「編集手帳」は、その中でも一番読んでないものだった。それでも、本書に編まれた120編のなかに、1つ2つは目にしたことがあるものもあり、それなりに名文の誉れのコラムだったのかと。
著者のコラム担当期間が2001~2017年。平成が終わろうという年に、その後半の世相を省みることが出来て、なかなかの読後感。
とはいえ、日本の新聞のコラムの作法というか、展開は、あまり好きではない。導入部分で、季節の話題、故事や詩歌を引いたかと思うと、終わりは世相や政権批判、今の社会に物申すなど、序と結が、どうにも結びついてないものが少なくない。
大学入試対策で小論文の勉強をした時や、その後も分かりやすい文章、伝わりやすい文章についてのノウハウを見聞きしても、「最初と最後に言いたいことを書く」や、「主張は最初に」などあり、そうした文章と較べて、ずいぶん、文章の成りたちが違うなと、この手のコラムを読むたびに思うこと多し。
そんな中では、比較的、他のコラムより、全体として主旨はぶれない、導入と内容に大きな違いがない文章という気はした。むしろ、小論文のベタの手法「最初と最後に言いたいことを書く」に近い気もしないでもない。
素朴で、分かりやすいコラム。そんな印象。