キケローのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
キケロは、シーザーと同時代のローマに生きた政治家ですが、ラテン文化を代表する名文家としての誉れも高いことを知りました。
友情についての深い洞察が、親友であるスキーピオを喪ったラエリウスにより語られる、という設定になっています。
以下の言葉がとても印象に残りました。
「確かな友は、不確かな状況で確かめられる」
真の友情というのは、その人物の徳を敬愛することであり、それに接することにより自身も行いを正すことが出来る、と言います。
お互いに高め合うことができるような関係、それは国籍、年齢や性別を超えて成り立つのではないでしょうか。そう思いました。 -
Posted by ブクログ
友情の結びつきはとても緊密であり、二人の間に生まれるものであるということ、不特定多数を結びつけるものではないということ。そして何より友情は、実益を得る為の目的‐手段連関の一部分には決して貶め得ない、それ自体として価値のあるものであること。友情を功利主義に隷属させようとする即物的な(無)思想は、二千年前から批判されており、それが今なお必要な批判であるという事実に、人間の変わらぬ卑しさを思う。ところで、或る相手に友情を抱くべきか否か(友情を抱くに値する「徳」を備えているか否か)を、その人と友情関係に入る前に判断せよ、という意見には首肯しかねる。人間的な情動というものは、もっと非合理的な如何ともし難