飯田実のレビュー一覧

  • 森の生活 (ウォールデン) 下

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    下巻は、「森の生活」というタイトルにふさわしく、森での日々の自然観察に多くのページが費やされ、その中で生まれてくる思索が見事に織り込まれていきます。上巻同様、時代も場所も国民性も違う現代日本の読者には、すんなりとは理解しがたい皮肉や暗喩や例え話がちりばめられているので、読みやすいとは言えませんが、じっくりと取り組んでみると、深い味わいがあります。ここで語られているような生き方をそのまま実行することは難しいし、その必要もないと思います(ソロー自身、この生活は一時的な、実験的なものでした)。ただ折に触れて読み返すことで、欲に目のかすんだ自分を引き戻すことができる、そんな書です。

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    2025年02月26日
  • 森の生活 (ウォールデン) 下

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    上巻ですでに深い感銘を受けていましたが、下巻(後半)はさらに感銘を受けました。特に最後の章「むすび」はそこだけでも人生指南書としての価値があります。ソローは悟りをひらいた人、物事の本質を掴んでいる人、仏教的にいうならば、彼岸の智慧を得た賢者と呼ぶにふさわしいでしょう。俗世間の名声や権力、お金は虚飾であり、真の幸福は別の所にある。彼はそれを「実在」と呼んでいますが、2年にわたる森の生活でソローは「実在」についての確信を得るわけです。
    「汝の視力を内部に向けよ。やがてそこには、いまだ発見されざる、千もの領域が見つかるだろう。その世界を経巡り、身近な宇宙地理学の最高権威者となれ」
    「もしひとが、みず

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    2023年05月02日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    いまから170年ほど前の米国マサチューセッツ州における著者の生活記録になります。まず感動したのが当時の写真が多数掲載されていること。ウォールデン湖、その周辺の森だけでなく、近くの町(コンコード)の当時の写真が掲載されていて、なんとものどかな雰囲気を漂わせています。そして著者のソローですが、ハーバード大学を卒業している「詩人博物学者」ということで、淡々と生活を記述するのではなく、ギリシャ神話の登場人物を持ってくるなどファンタジー小説のような味付けをしています。人間にとって本当の豊かさとはなにか、本当に必要なものはなにか、について考えさせられる本です。湖畔の山小屋で夜を明かし、早朝に小鳥の鳴き声や

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    2023年05月02日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    心にオアシスを持つための助けになる本.

    ほとんどの現代人は社会生活を営んでいるが,実は人間に最低限必要なものはほとんどない.食料や寝床があれば十分なはず.というアイデアを,そのまま実践してみた近代の哲学者のウィットに富んだ自然と人間の観察録.

    この本を読むたび,だいたいの悩みはどうでもよくなってくる.どうでも良いことは忘れて,自分にとって大事なことだけに集中すれば良い.「何がどうでもよく,何はどうでもよくないのか」を見極めるため,今なら森に篭もらなくても,この本を読めば助けになる.

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    2020年11月17日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    名著です。何か、『隠遁生活のススメ』みたいな捉え方をされている向きもありますが、ソロー自身が

    『僕が森に行ったのは、思慮深く生き、人生で最も大事なことだけに向き合い、人生が僕に教えようとするものを僕が学びとれるかどうか、また死に臨んだときに、自分が本当に生きたと言えるのかどうかを、確かめるためだった。』

    と、本書で述べており、決して厭世思想ではありません。積極的に生きるための哲学として読まれることをおすすめします。

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    2020年09月13日
  • 森の生活 (ウォールデン) 下

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    名著です。何か、『隠遁生活のススメ』みたいな捉え方をされている向きもありますが、ソロー自身が

    『僕が森に行ったのは、思慮深く生き、人生で最も大事なことだけに向き合い、人生が僕に教えようとするものを僕が学びとれるかどうか、また死に臨んだときに、自分が本当に生きたと言えるのかどうかを、確かめるためだった。』

    と、本書で述べており、決して厭世思想ではありません。積極的に生きるための哲学として読まれることをおすすめします。

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    2020年09月13日
  • 森の生活 (ウォールデン) 下

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    ウォールデンの森での生活の秋から春へかけて、そして圧巻の「むすび」。生き方はこれしかないと思っていないか?労働の奴隷となっていないか?人間には野生という強壮剤が必要だ。生活をもっと単純化すれば、貧しさは貧しさでなくなり、弱点は弱点でなくなるという考えかたも理解できるし、そうできればと思う反面、やはり家族との生活はそこにはなかった点が最後までひっかかる。子供の生き方の選択肢を自由を考える場合、ミニマムな生活から他の生活を選ぶことは可能なのだろうか?他の人の税金によってなりたっている教育や医療やインフラを寄生虫のように使って、自分は自由に生きていると叫ぶのか?どのようにそうでない社会をつくっていけ

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    2019年06月16日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    何より19世紀の人々も現代の我々より一層仕事や土地や様々なものに縛られ汲々と生きていた事に驚きます。 200年で進歩は無いのか? 
    自分で森の奥に家を建てて2年間暮らしながら思索を巡らすソロー。「訪問者」に出てくる樵が印象的。ミニマルな生活でいつも思うのは、1人で生活している人が実践する話だということ。家族、特に幼い子供や老人などと一緒の人達があえてこういう生活に挑んだという話は無いのか?子供や老人も余計なものというわけでも無いだろうに。でも、自由に生きられたらとも思う。自分の場合は引き換えに犠牲にしなければならないのは何だろう。

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    2019年06月01日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    稼ぐために稼ぐ、日々をただ忙しなく過ごす送る多くの人々への悲痛な思いを、自然に囲まれた中で淡々と語る。

    僕たちは、
    生きるために生きている。

    それを忘れてはいけない。

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    2017年11月30日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    ソローという人は今で言えば引きこもりかニートと言われかねない生活をしていた人だ。定職につかず結婚もせず、最小限の収入を得て多くの時間は思索にあてた。血がアウトドアの私はこの本を常に持ち歩いていた。

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    2015年09月06日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    これまでに出会った本の中でも、最高の部類に入る一冊。
    ついに自分がやらなければならない仕事に出会った人間は、生活必需品(衣食住燃料)以外に必要なものはない。いつの頃からか、屋根裏部屋で埃(誇り)を被っていた仕事着が一着あれば足りる。

    ■学び
    ①自分のやるべき仕事は、人には依存しないものがよい。(陶芸、執筆、研究)
    →地元の麦で美味しいビールをつくる。
    ※結果、誰かに喜んでもらえればよい
    ②自分のやるべきことはお金のイノベーション(ITで通貨を紙切れにする)
    →自給率の向上と物々交換の実現

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    2015年03月31日
  • 森の生活 (ウォールデン) 下

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    私にはほんとうの豊かさが味わえる貧しさを与えてほしいものだ。p48

    努力からは叡智と純粋さが生まれ、怠惰からは無知と肉体的欲望が生まれる。学究にとって、肉体的欲望とは、だらけた精神の習慣である。不潔な人間は例外なく怠け者だ。ストーヴにかじりついていたり、日だまりに寝そべってたり、疲れてもいないのにうつらうつらしたり。不潔さとあらゆる罪とを避けたければ、ウマ小屋の掃除でもなんでもいいから、一心に働くことだ。生まれつきの本性を克服することはむつかしいが、それを克服することが肝心なのだ。p93

    「汝の視力を内部に向けよ。やがてそこには、いまだ発見されざる、千もの領域が見つかるだろう。その世界を経

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    2013年04月03日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    ネタバレ

    孔子「これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らざると為せ。是れ知るなり」p25

    家を建てるのに要した諸々の費用。p91

    一片の良識のほうが、月の高さほどもある記念碑よりも後世に残す値打ちがある。p106

    「この世に幸福な者がいるとすれば、それは広大無辺の地平線を自由に愉しむ者たちだけなのだよ」p156

    一日一日が、これまでけがしてきた時間よりも早くて、神聖で、曙光に満たされた時間を含んでることを信じない人間は、結局、人生に絶望しているのであり、暗さをつのらせてゆく坂道を転落しているのである。感覚的な生活がいったん中断されたあと、人間の魂、いや、むしろ魂の諸器官は、毎朝活力を取り戻し

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    2013年04月03日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    <28歳となった年、私は森に入った・・・2年2ヶ月2日の間の、自給自足による森での生活。>

    ヘンリー・デイビット・ソロー

    大きな物事が起こると価値観ががらりと変わることは良くあります。
    ひどく個人的な話なのだけれど、私にとって(私たちにとって?)3・11の東日本大震災はそういう“大きな物事”の一つに数えることができます。

    あの日、私たちの豊かで便利な生活は、非常に大きなリスクのもとに成り立っていることがわかりました。
    もともと頭では理解されていたものかもしれません。
    しかしそれが実際に起こった、肌で感じるものとなった。

    そして月日が経つにつれ、さまざまな考えが頭に浮かびます。

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    2012年03月05日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    大学生の頃に始めて読んだのだと思う。所々なんとなく鼻に付くところもあるけど、今でもたまに手にとって読めるようにしてある。論語、ブッダの言葉、自省録とこれが定番化している。

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    2011年06月06日
  • 森の生活 (ウォールデン) 下

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    理想の生き方を実践するために森に小屋を立てて2年間暮らした中で得たソローの経験と思想。
    饒舌ながらも、くだけた流麗な語り口でさらさらと読める。ダジャレも見事な翻訳。

    美しい自然描写もあれど、力点はあくまで人はどう生きるべきかという問答。

    ウォールデン湖のように青いけど、少しばかりの生きる勇気と知恵を与えてくれる書物。

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    2010年08月28日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    理想の生き方を実践するために森に小屋を立てて2年間暮らした中で得たソローの経験と思想。
    饒舌ながらも、くだけた流麗な語り口でさらさらと読める。ダジャレも見事な翻訳。

    美しい自然描写もあれど、力点はあくまで人はどう生きるべきかという問答。

    ウォールデン湖のように青いけど、少しばかりの生きる勇気と知恵を与えてくれる書物。

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    2010年08月28日
  • 森の生活 (ウォールデン) 下

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    上巻に引き続き、具体的な植物や動物の名前などを多々用いて彼の体験した生活を臨場感も持って伝えているが、あまりにも具体的すぎて植物図鑑を読んでいるような気持ちになってしまう。
    しかし、所々、この世界に生きている人間として学ぶべき事をしっかりと記してくれている。

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    2023年04月09日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    まだ途中だけど面白い
    テーブルの上に飾っておいた石灰石に「いや気がさして窓のそとへ投げ捨ててしまった」り、「(列車で)ビロードのクッションの上でひしめきあっているよりは、カボチャの上に座り、それを独占しているほうがずっといい」とか、本気なのかふざけてるのかどっちなんだ

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    2022年08月23日
  • 森の生活 (ウォールデン) 上

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    昨年末、少し足を伸ばして、念願だった松江のartosbookstoreさんを訪問してきました!
    いやー、いい本屋さんだった。
    正味1時間弱滞在し、じっくり本を選んで、手元にやってきたのが、こちらの『森の生活』(上)です。

    著者のヘンリー・デイヴィッド・ソロー(1817-1862)は、アメリカの「詩人博物学者」(本の著者紹介より)。
    本書は彼が、マサチューセッツ州ウォールデン湖のほとりに小屋を自力で建て、1人で暮らした2年あまりの日々の記録です。
    文章の合間にはソローが撮影したウォールデン湖や森、近くの村の写真が数多く収録されていて、その写真の静謐な佇まいと、岩波文庫のキリッとした装丁がとても

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    2021年02月18日