あらすじ
ソロー(一八一七―六二)は、ウォールデン湖畔の森の中に自らの手で小屋を建て、自給自足の生活を始めた。湖水と森の四季の佇まい、動植物の生態、読書と思索――自然と共に生きた著者の生活記録であると同時に「どう生きるべきか」という根本問題を探求した最も今日的・普遍的なアメリカ文学の古典。湖とその周辺の写真多数を収める新訳。
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いまから170年ほど前の米国マサチューセッツ州における著者の生活記録になります。まず感動したのが当時の写真が多数掲載されていること。ウォールデン湖、その周辺の森だけでなく、近くの町(コンコード)の当時の写真が掲載されていて、なんとものどかな雰囲気を漂わせています。そして著者のソローですが、ハーバード大学を卒業している「詩人博物学者」ということで、淡々と生活を記述するのではなく、ギリシャ神話の登場人物を持ってくるなどファンタジー小説のような味付けをしています。人間にとって本当の豊かさとはなにか、本当に必要なものはなにか、について考えさせられる本です。湖畔の山小屋で夜を明かし、早朝に小鳥の鳴き声や風のざわめきのなかを散歩をしているだけでどんなに心が豊かになるか、ということです。本書で興味深かったのは、ソローがたびたび孔子の論語を引用していることです。そのほかにも古代インドの叙事詩も引用することがありましたが、個人的にはなにか東洋的な価値観をソローから感じてそこは親しみを持ちました。下巻も楽しみです。
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心にオアシスを持つための助けになる本.
ほとんどの現代人は社会生活を営んでいるが,実は人間に最低限必要なものはほとんどない.食料や寝床があれば十分なはず.というアイデアを,そのまま実践してみた近代の哲学者のウィットに富んだ自然と人間の観察録.
この本を読むたび,だいたいの悩みはどうでもよくなってくる.どうでも良いことは忘れて,自分にとって大事なことだけに集中すれば良い.「何がどうでもよく,何はどうでもよくないのか」を見極めるため,今なら森に篭もらなくても,この本を読めば助けになる.
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名著です。何か、『隠遁生活のススメ』みたいな捉え方をされている向きもありますが、ソロー自身が
『僕が森に行ったのは、思慮深く生き、人生で最も大事なことだけに向き合い、人生が僕に教えようとするものを僕が学びとれるかどうか、また死に臨んだときに、自分が本当に生きたと言えるのかどうかを、確かめるためだった。』
と、本書で述べており、決して厭世思想ではありません。積極的に生きるための哲学として読まれることをおすすめします。
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何より19世紀の人々も現代の我々より一層仕事や土地や様々なものに縛られ汲々と生きていた事に驚きます。 200年で進歩は無いのか?
自分で森の奥に家を建てて2年間暮らしながら思索を巡らすソロー。「訪問者」に出てくる樵が印象的。ミニマルな生活でいつも思うのは、1人で生活している人が実践する話だということ。家族、特に幼い子供や老人などと一緒の人達があえてこういう生活に挑んだという話は無いのか?子供や老人も余計なものというわけでも無いだろうに。でも、自由に生きられたらとも思う。自分の場合は引き換えに犠牲にしなければならないのは何だろう。
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稼ぐために稼ぐ、日々をただ忙しなく過ごす送る多くの人々への悲痛な思いを、自然に囲まれた中で淡々と語る。
僕たちは、
生きるために生きている。
それを忘れてはいけない。
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ソローという人は今で言えば引きこもりかニートと言われかねない生活をしていた人だ。定職につかず結婚もせず、最小限の収入を得て多くの時間は思索にあてた。血がアウトドアの私はこの本を常に持ち歩いていた。
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これまでに出会った本の中でも、最高の部類に入る一冊。
ついに自分がやらなければならない仕事に出会った人間は、生活必需品(衣食住燃料)以外に必要なものはない。いつの頃からか、屋根裏部屋で埃(誇り)を被っていた仕事着が一着あれば足りる。
■学び
①自分のやるべき仕事は、人には依存しないものがよい。(陶芸、執筆、研究)
→地元の麦で美味しいビールをつくる。
※結果、誰かに喜んでもらえればよい
②自分のやるべきことはお金のイノベーション(ITで通貨を紙切れにする)
→自給率の向上と物々交換の実現
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孔子「これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らざると為せ。是れ知るなり」p25
家を建てるのに要した諸々の費用。p91
一片の良識のほうが、月の高さほどもある記念碑よりも後世に残す値打ちがある。p106
「この世に幸福な者がいるとすれば、それは広大無辺の地平線を自由に愉しむ者たちだけなのだよ」p156
一日一日が、これまでけがしてきた時間よりも早くて、神聖で、曙光に満たされた時間を含んでることを信じない人間は、結局、人生に絶望しているのであり、暗さをつのらせてゆく坂道を転落しているのである。感覚的な生活がいったん中断されたあと、人間の魂、いや、むしろ魂の諸器官は、毎朝活力を取り戻し、そのひとの「霊性」は、ふたたび気高い生活を営もうと努力するのである。 p160
【朝、起きているということ】p161
『ヴェーダ』にも、「すべての叡智は朝とともに目覚める」とある。詩や芸術、もっとも美しく記念すべき人間の行動は、この時間にはじまる。
道徳の向上とは、眠りをふり払う努力にほかならない。
肉体労働をやれる程度に目覚めている人間ならいくらでもいるが。だが、知性を有効に働かせることができるほど目覚めている人間となると百万人にひとりしかいない。
【森で生活をした理由】p162
私が森へ行ったのは、思慮深く生き、人生の本質的な事実のみに直面し、人生が教えてくれるものを自分が学び取れるかどうか確かめてみたかったからであり、死ぬときになって、自分が生きてはいなかったことを発見するようなはめにおちいりたくなかったからである。人生とはいえないような人生は生きたくなかった。
迷子になってはじめて、つまりこの世界を見失ってはじめて、われわれは自己を発見しはじめるのであり、また、われわれの置かれた位置や、われわれと世界との関係の無限のひろがりを認識するようにもなるのである。p304
「政(まつりごと)をおこなうのになぜ刑罰を用いる必要があろうか?徳を愛せ。さすれば民もまた徳を慕うだろう。君子の徳は風のごとくであり、小人の徳は草のごとくである。風が草の上を吹き渡れば草はなびく」『論語』p307
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<28歳となった年、私は森に入った・・・2年2ヶ月2日の間の、自給自足による森での生活。>
ヘンリー・デイビット・ソロー
大きな物事が起こると価値観ががらりと変わることは良くあります。
ひどく個人的な話なのだけれど、私にとって(私たちにとって?)3・11の東日本大震災はそういう“大きな物事”の一つに数えることができます。
あの日、私たちの豊かで便利な生活は、非常に大きなリスクのもとに成り立っていることがわかりました。
もともと頭では理解されていたものかもしれません。
しかしそれが実際に起こった、肌で感じるものとなった。
そして月日が経つにつれ、さまざまな考えが頭に浮かびます。
「私たちは間違っていたのだろうか?」
「利便を求めすぎていたのではないか?」
「違った道があるのではないか?」
その答えの一例をソローはこの本にあげています。
美しいウォールデン湖のほとり、森での自給自足の生活を通じ、
本当の豊かさ、人生をどういきるべきかを彼は述べています。
神々しいまでの含蓄にあふれた言葉の数々・・・
美しい森の中の風景、朝日、氷の張った湖・・・
今読んでよかったし、これからも読み続けるでしょう。
人生において必読の一冊。
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大学生の頃に始めて読んだのだと思う。所々なんとなく鼻に付くところもあるけど、今でもたまに手にとって読めるようにしてある。論語、ブッダの言葉、自省録とこれが定番化している。
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理想の生き方を実践するために森に小屋を立てて2年間暮らした中で得たソローの経験と思想。
饒舌ながらも、くだけた流麗な語り口でさらさらと読める。ダジャレも見事な翻訳。
美しい自然描写もあれど、力点はあくまで人はどう生きるべきかという問答。
ウォールデン湖のように青いけど、少しばかりの生きる勇気と知恵を与えてくれる書物。
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まだ途中だけど面白い
テーブルの上に飾っておいた石灰石に「いや気がさして窓のそとへ投げ捨ててしまった」り、「(列車で)ビロードのクッションの上でひしめきあっているよりは、カボチャの上に座り、それを独占しているほうがずっといい」とか、本気なのかふざけてるのかどっちなんだ
Posted by ブクログ
昨年末、少し足を伸ばして、念願だった松江のartosbookstoreさんを訪問してきました!
いやー、いい本屋さんだった。
正味1時間弱滞在し、じっくり本を選んで、手元にやってきたのが、こちらの『森の生活』(上)です。
著者のヘンリー・デイヴィッド・ソロー(1817-1862)は、アメリカの「詩人博物学者」(本の著者紹介より)。
本書は彼が、マサチューセッツ州ウォールデン湖のほとりに小屋を自力で建て、1人で暮らした2年あまりの日々の記録です。
文章の合間にはソローが撮影したウォールデン湖や森、近くの村の写真が数多く収録されていて、その写真の静謐な佇まいと、岩波文庫のキリッとした装丁がとても美しいんですよね。
はい、つまりはジャケ買いだったわけです。
はりきって買った割には、古典特有の文章に苦戦しつつ、なんとかまず上巻を読み終えたのが正直なところなのですが、そうした中でも目に飛び込んできたのが次の2つの文章。
「われわれは家を美しいもので飾る前に、まず壁をはがし、生活をはがし、美しい家屋管理と美しい生活とを土台として築くべきである。」
「……私の暮らし方には少なくともひとつの強みがあった。つまり、自分の暮らしそのものが楽しみであり、いつも新鮮さを失わなかったことだ。」
私自身は少しもアウトドア志向ではなく、むしろ「時短○○」といったものが大好きな人間なのですが。
でも、「時短」して生み出した時間を何に使っているか、とか、「時短」している最中がそもそも時間の使い方として美しいのかどうか、ということも大事だよなあ。
そんなことを教えてもらった気がします。
素敵な本なので、あえて少し時間をおいて、ゆっくりまた下巻にも向き合ってみたいと思います。
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森の生活。理想の生活。就活生には痛いであろう一冊(苦笑)。
彼の言うとおり“いまいる場所だけが世界ではないのだ”。
忘れてないようで忘れがちな真実を、ウォールデン湖とそこに住んだ詩人が思い出させてくれた。
さぁ、今から何をしようか。
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「そうだウォールデンに行こう」流石に思い立ったらすぐ行動できることではありませんが、近場で妥協してでも自然に触れてみたくなりました。出不精な方にオススメの一冊(笑)
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自然を愛するサステナにとってバイブルでありアメリカ文学の古典。かねてから読みたいと思って読んだら新訳は非常に読みやすくて一気に読めた。
自然に囲まれた生活をしていると孤独にもうつからも変な欲からも解放される非常にシンプルなライフスタイルは、現代人にとって100%は無理でも取り入れたいと心から共感。
自給自足なところなどイギリスのシューマッハカレッジを思い出す。
Posted by ブクログ
ターニャの愛読書。
勧められて読んでみた。
「経済」の章を読むのに時間がかかったが、
その後はスラスラ読めた。
無駄の無い最低限の生活。
理想的だが自分にはムリだなーと感じた。
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1854年に書かれた本
写真が残ってるのがすごい
当時アメリカは工業化が一気に進んで、経済が発展した頃
この後リンカーンが大統領になって、南北戦争が起こるのかな?曖昧…
この本が書かれたのは激動の時代だったんだな
だからここまでソローは「生きること」にこだわって、それを記録したのかな
やたらと所謂一般人(今で言うサラリーマン的な)を揶揄した言葉が多いのが引っかかったが、時代背景も考えると、「さっさと目を覚ませ」ってテンションだったとも受け取れる
初っ端から大学批判があり、それにヒッピーは賛同したんだろうなと想像が膨らむ
Posted by ブクログ
有名な本なだけあって期待値が高かったが、それほどだった。やたらと植物や動物の専門的な知識などが出てくるので読むのが大変でした。
所々に感銘を受ける言葉は見られるのと、具体例が多いがゆえに臨場感があったので3にしました。
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森に独り住み、研ぎ澄まし、本質を見極める。
シンプルライフの聖典として、ゆっくり読み進めるべきだが、さすがに積読から足掛け八年はかけ過ぎた。
が、外界を妨げられる自粛生活だからこそ、響いた言葉も少なからず。欲も不安も捨てた先にある境地。下巻もじっくり読み進めてみよう。
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現代社会はモノ・コトであふれている。モノを買うために金を稼ぐのであれば、自分で作ってしまえという考え方。
人間の本質的な暮らしを提唱する哲学本。
ヒッピーカルチャーの先取りともいえるのかな?
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読む前になんとなく予想していたのと違う感じで、性格上の困難をこじらせて人里を少しだけ離れたところに引きこもっている男の独り言といった風情がある。付き合いにくそうというか、小うるさい感じなのだよね。これがアメリカ文学の古典となっているというのも興味深い。
とは言え湖の自然の描写は美しく、著者が2年余りの生活を得難い経験として味わっていたのは伝わってくる。観察もきめ細かく情景が目に浮かぶ。なんで人里に帰ってきたかははっきり明かされないものの。
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ちょっと極端というか、文明に対する恨み節みたいなところがある。
志は違えども、今だとホームレスに近いような生活になってしまうのか?
でも考え方の根本はわかる。とくに先を心配するあまり今の生活を犠牲にし、歳を取ってからでは十分に楽しめなくなってしまうというあたり(鉄道になぞらえて語られてた)。
今の消費社会や物質文明から自覚的に距離を置き、精神的に豊かに生活することはいつの時代にも可能だろう。とくに今はそういう生き方を選択することが顕著になりつつある。
家を組み立ててるところで、ヨコハマ買い出し紀行を思い出した(笑)。
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米国の作家ヘンリー・ソローが、マサチューセッツ州ボストン郊外のウォールデン湖のほとりの丸太小屋で過ごした2年2か月の生活を綴り、1854年に発表した作品の上巻。
本作品はその格調高い文章により米国文学の古典に一つと数えられ、更に、著者の考え方は、後に黒人解放運動を指導したキング牧師やベトナム反戦運動を行った作家ノーマン・メイラーらにも大きな影響を与えたという。
著者は、150年以上も前に、「どの隣人からも1マイル離れた森のなかにひとりで暮らし」た理由を、「私が森へ行ったのは、思慮深く生き、人生の本質的な事実のみに直面し、人生が教えてくれるものを自分が学び取れるかどうか確かめてみたかったからであり、死ぬときになって、自分が生きてはいなかったことを発見するようなはめにおちいりたくなかったからである。人生とはいえないような人生は生きたくなかった」と語り、本書に以下のような様々な思いを記している。
「ほかのひとも私のかわりにものを考えてくれるかもしれないが、だからといって、私が自分でものを考えるのをやめたほうがいいということにはならないだろう」
「どの木にもそれにふさわしい実が生り、定められた季節がある。その季節がつづくあいだは、みなみずみずしくて、花を咲かせるが、時期が去ればひからびて、しぼんでしまう。ところがイトスギはそのどちらの状態にもおちいらずに、いつも変わらずに栄えているではないか。自由なるもの、つまり宗教的独立者とはそういう性質をそなえた者のことだ。束の間に消えてゆくものに心を奪われてはならない」
「日ごとに訪れる朝は、私に向かって、自然そのものとおなじように簡素な~あえて言えばけがれのない~人生を送ろうじゃないかと、ほがらかに呼びかけていた」
「なにごとも簡素に、簡素に、簡素に、と心がけるべきだ。自分の問題は百とか千ではなく、二つか三つにしぼっておこう」
「居ながらにして精神の世界を駆けめぐること。これが書物を読むことによって私が得た利益である。・・・アレクサンドロス大王が、遠征のときに『イリアス』を宝箱に納めてもっていったのも、なんら不思議ではない。書き記された言葉は、祖先の遺物のなかでもとりわけ尊いものだからだ。それはほかのどんな芸術作品にもまして、われわれの身近にありながら、同時に普遍的なものである」等
Posted by ブクログ
仕事に打ち込むこと、自分のペースを保つことなど、今に通じるものを感じます。
さすが古典の名著というところでしょうか。
自然に対する細かな描写などは、著者の自然への愛情を感じることができました。
しかし大変なボリュームや膨大な脚注など、やっと読み終えたというのが正直なところで、己の不勉強さを嘆きます。
Posted by ブクログ
約2年間森の中での自給自足生活を語った本。
人間らしく生きるってなんだ?本当の幸福とは?
こーゆーことって考える。高度経済社会が苦手なので、共感できる部分もある。作者の思想がなかなか面白くて新しい価値観の提示を身を持って実践されてるのがいい。
ただ、癖がすごいのよこの人。我こそは真理なり!みたいな語り口がどーも鼻につく感じもありました。
後半で気になるのが、そこまで偉そうに森の生活を語っているのになぜ2年ちょいで帰ってきたのか?ってとこでしょうか。
Posted by ブクログ
(未読の人へのメッセージです)再読本、二十年前はメッセージの意味が「?」だったが、今は判る。でも、たった数年の暮らしを述べた本で、夭逝しており、もし読もうと思うならこの点、注意すべきだと思う。正しいんだけど、責任をとってない、生データだけで昇華していないので若年層の完コピはドクロマークかも(?)、でもお金を持ったオトナだったら読んで涙な本(?)かもしれません、ボクは泣きました。スゲぇーメッセージの本、でも一旦大人になってからが滋味深い!