鼓直のレビュー一覧

  • 詩という仕事について

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    ボルヘスの思うところの、「詩」へ関わり方が簡潔に5回の講義で話されている。
    最後の章は本当に感動した。
    結局は、言葉というものは読む人や書く人それぞれの生き方に沿っていくものなんだなと。
    インドの人たちの歴史への捉え方も面白かった。
    言葉や時の流れ、過去と未来、現代といった空気のような存在で考えもしなかった事について、この本を読む前と後ではガラッとひっくり返された気分です。驚きの講義。

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    2025年08月26日
  • シェイクスピアの記憶

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    ネタバレ

    「一九八三年八月二十五日」
    唐突に読み終わって、あまりに痺れた。
    自分で自分に対面し、未来を知り、今が終わり、唐突に次が開く?!。なんという物語だ。

    「青い虎」
    うわぁ!!!!ハッピーエンドじゃない。ハッピーそうで、この世の条理を背負う不条理がある。

    「パラケルススの薔薇」
    科学の失礼さ。物語の必定さ。楽しさ。
    なんかこういうの読むとすごすぎてため息が出るわ。

    「シェイクスピアの記憶」
    そこまでして求めたものをそんな風に投げやりに明け渡してしまうのか。

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    2025年07月02日
  • 詩という仕事について

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    隠喩にこそ言語の本質があるとでもいうように、その働きを矯めつ眇めつし見極めようとする。また物語の機能の根源には歴史性があるという風に、古典に幾度となく立ち返る。

    謎を提示する、と本人の言うとおり、議論は明晰ではあるけれどクリアカットな結論に落とし込むためになされてはおらず、一読して理解した気にはなれなかった。

    紹介される英語の詩がどれも素人目にも美しい

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    2023年03月19日
  • ブロディーの報告書

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    小説。
    乾き、こわばり、血の味、人間の体臭、闇。
    『伝奇集』とは違う作家が書いているようだ。
    現実を追究しているにもかかわらず、かえって現実から浮遊してしまう。

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    2025年07月22日
  • 詩という仕事について

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    ボルヘスによる詩に関する話。詩に対して共感できることがここにはある。詩のよさ本来の姿といってもいいと思う。ボルヘスが先導役ならきっと詩を書こうと思う人は増えると思うな。そんな気がした。

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    2017年12月18日
  • 詩という仕事について

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    ボルヘスは決して多くのことを述べているわけではないが、示唆に富んだ事柄ばかりを述べるため、豊富に世界が拡大していく。
    ・生は詩から成る。
    ・リンゴと口の接触が必要。
    ・詩は一回限りの経験。
    ・書物は美の契機。
    ・詩とは何かを心得ているために定義できない。
    ・隠喩……人間は断定よりも暗示を信じる。
    ・数えられるパターンから無限に近い変奏。
    ・未来においては状況や歴史や詩人の名前や生涯よりも、美そのものに関心が向けられるかもしれない。
    ・日常的な言葉から、魔術的な源泉を、詩人は呼び出す。
    ・ストーリーは信じられないがキャラクター(存在そのもの)は信じられる。ドン・キホーテ。ホームズ。
    ・人間の一生

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    2012年10月25日
  • シェイクスピアの記憶

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    ネタバレ

    160ページくらいの薄い本で、しかも3分の1は解説。
    宮崎駿「君たちはどう生きるか」の感想で、セルフオマージュみたいでマンネリ、というものがあったが、
    いやむしろ追い続けたモチーフがまたも登場することに業を見出して嬉しくなってしまった者としては、
    最後の短篇集にまで「いつものあれら」が出てくるのは嬉しい限り。

    一九八三年八月二十五日
    青い虎
    パラケルススの薔薇
    シェイクスピアの記憶

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    2024年06月03日
  • 詩という仕事について

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    詩論として、しごく面白い。
    詩という謎
    隠喩
    物語り
    言葉の調べと翻訳
    思考と詩
    詩人の信条
    目次だけでもワクワクしませんか。

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    2019年07月20日
  • ブロディーの報告書

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    様々な人物の末期(まつご)が淡々と叙述されていくところは
    山田風太郎『人間臨終図鑑』のようだ。
    表題作を除いては幻想的でもメタフィクショナルでもないが、
    我々と異なる時代、遠い場所に生まれて死んだ人たちの――
    恐らく多くは作者が
    実体験・聞き書きに尾鰭を付けたと思われるドラマが
    味わい深い。

    晩年、作風がアッサリしていったのは、
    視力の衰え(最終的に失明)から
    口述筆記に移行したことと関係があったのだろうか。

    以下、特に印象的な作品について。

    「じゃま者」
     ならず者が暮らす地域に住んでいたニルセン兄弟の逸話。
     彼らは一人の女を共有したが……。
     自ら招いた三角関係の無残な清算。

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    2018年03月29日
  • 詩という仕事について

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    『7つの夜』もそうだったのだけど、ボルヘスの講演録は読んでいてものすごく心地良い。それは彼の書物に対する愛情、文化に対する敬意を言葉の端々から感じることができ、博覧強記なその知性が軽やかなステップを踏んで読み手を魅力するからだ。一言で表すならば、それは信愛なる美しさ。物語について、詩についての講演録である本作ではそんなボルヘスの美学が満遍なく語られながら、書物を超えた「言葉」が持つ美しさへとアクセスする。ボルヘスが盲目となりながらも書物へ、そして美しさへの敬意を失わなかった理由に触れることのできる一冊。

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    2013年09月28日
  • ブロディーの報告書

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    マルコ福音書は外部の知識人/知性者を神=生贄とする原始宗教とキリスト教の関係性を描いているが他の作品でもみるね。ここまで書いてちょっと違うかもしれない

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    2012年08月06日
  • 詩という仕事について

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    詩を中心とした文学論、という印象。大学の講義録なので語り口が易しく、読みやすかった。後半3章が特に興味深く読めた。
    しかし内容が理解しきれたわけではないので、折を見て要再読。

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    2011年10月16日
  • シェイクスピアの記憶

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    静謐な短編集。
    ラテンアメリカの色やにおい、温度や湿度はほとんど感じない。
    晩年の作品であり、死への近さがそうさせるのか。

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    2024年07月01日
  • シェイクスピアの記憶

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    20世紀ラテンアメリカの作家ボルヘス(1899-1986)最晩年の短篇集、1983年。



    自己への拘泥という依存からの解放を、精神からも肉体からも解放されるということを、精神と肉体から抜け出る秘密の抜け道としての何かを、求めていた。自己がどこともなく解消されて、喪失すべきものが実ははじめから喪失してしまっていたということになれば、喪失の前提条件が予め解消されてしまっていたということになれば、そもそも迷子になる布置そのものがなくなってしまっている、ということになる。

    主/客、自/他、有/無、同一/差異、区別/混沌、、現/夢、生/死、実/虚、能動/受動、自由/運命、、始/終、先/後、因/果

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    2024年04月21日
  • シェイクスピアの記憶

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    マジック・リアリズムと呼ばれるが、ガルシア・マルケスとはまた違う。日本文学より語り切る感じだが、シンプルな中に読み手に委ねてあるところが多く面白い。

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    2024年04月14日
  • シェイクスピアの記憶

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    ボルヘスの遺作が本邦初訳なのがびっくり。良くも悪くも枯れた感じは、昔からかも知れないが、渇き具合が一段と上がっている感じはする。懇切丁寧な解説が助かる。

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    2023年12月28日
  • ブロディーの報告書

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    他のアルゼンチン生まれの人とどこかイメージ違うなー、とwiki
    ってみた所、お父さんがイングランド、お母さんがウルグアイの人なのね。

    つらつらと短編を読んでみました。ちょいちょい本人が出てきて、これは創作?昔話?

    本文中にグスタフ・マイリンクの「ゴーレム」がサラリと話題にのぼり、あれしかまともなのないと。それは褒めてんだよきっと。
    夢の中で夢を見ていると表現していて、ハッとした。

    静かなあじわい。

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    2018年11月27日
  • ブロディーの報告書

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    ボルヘス後期の短編集。ガウチョがたくさん!やや単調。最後のブロディーの報告がよい、ボルヘスらしいと感じる。

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    2014年05月08日
  • ブロディーの報告書

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    ボルヘス後期の短篇集。南米特有の場末の雰囲気には、日本の小説では味わえない異国感がある。「マルコ福音書」の終わり方がよかった。書かれないラストに思いを馳せ、書き出しに立ち戻る。「めぐり合い」の二本のナイフの物語はロマンチックだ。p68「物は人間より持ちがいい。」

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    2014年01月20日
  • ブロディーの報告書

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    ボルヘスは”鬼面ひとを脅かす”ところが好きなので、物足りなさはある。「じゃま者」「マルコ福音書」「ブロディーの報告書」は寓話的で好みの雰囲気。

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    2013年07月20日