J.L.ボルヘスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んでよかった。そして、再読すると思う。
詩というものが何か、について明確な答えは示されていない。それでもボルヘスが抱く詩への想いを、直線的というか曲線的?何と言えば良いのか、、好きに筆を運んでいるように見えたけど、最後の最後に上から見たら何かの形に見えるみたいな。
小学校低学年から詩については習うわけだけど、理解できない、どう読んだらいいかわからなくてこの歳まで来てしまった。
暗喩などのテクニック的な話もあり、いやいや意味なんてないんだよ/わからなくてもいいんだよという話もあり。
もっと気軽に、楽しんで、でも深く入り込んで詩を読んでみようと思った。
私のような消費者でなく、創作者が読んだ方が気づきが多いんだろうなと思うなど。 -
Posted by ブクログ
エピローグと訳者あとがきがぬくもりに満ちていて、本文に接する姿勢が変わる。掟破りだとしても、これらを先に読むことをオススメする。
語りかけるような講演集。きわめて個人的なようで、それでいて多くの人の心を動かすような。
第4夜 仏教、第5夜 詩、第6夜 カバラが俄然面白かった。翻訳も良いのだろうが、読んでいて心地よく深淵に至る。第7夜 盲目について、はその極致だ。打ちのめされる名文だ。
・私も自分の運命が、何よりもまず文学的であると常に感じてきました。つまり私の身には悪いことはたくさん起きるが良いことは少ししか起きないだろうという気がしたのです。でもけっきょくのところ何もかも言葉に変わってしまうだろうということが常にわかっていた。とくに悪いことはそうなる、と。なぜなら幸福は何かに変える必要がない、つまり幸福はそれ自体が目的だからです。 -
Posted by ブクログ
ボルヘスは決して多くのことを述べているわけではないが、示唆に富んだ事柄ばかりを述べるため、豊富に世界が拡大していく。
・生は詩から成る。
・リンゴと口の接触が必要。
・詩は一回限りの経験。
・書物は美の契機。
・詩とは何かを心得ているために定義できない。
・隠喩……人間は断定よりも暗示を信じる。
・数えられるパターンから無限に近い変奏。
・未来においては状況や歴史や詩人の名前や生涯よりも、美そのものに関心が向けられるかもしれない。
・日常的な言葉から、魔術的な源泉を、詩人は呼び出す。
・ストーリーは信じられないがキャラクター(存在そのもの)は信じられる。ドン・キホーテ。ホームズ。
・人間の一生は、自分が何者であるかを悟る一瞬につづめられる。→イエスにキスをするユダ。→裏切り者。
・言葉は共有する記憶を表す記号。→読み手に想像させようと努める。→一種の共同作業。 -
Posted by ブクログ
様々な人物の末期(まつご)が淡々と叙述されていくところは
山田風太郎『人間臨終図鑑』のようだ。
表題作を除いては幻想的でもメタフィクショナルでもないが、
我々と異なる時代、遠い場所に生まれて死んだ人たちの――
恐らく多くは作者が
実体験・聞き書きに尾鰭を付けたと思われるドラマが
味わい深い。
晩年、作風がアッサリしていったのは、
視力の衰え(最終的に失明)から
口述筆記に移行したことと関係があったのだろうか。
以下、特に印象的な作品について。
「じゃま者」
ならず者が暮らす地域に住んでいたニルセン兄弟の逸話。
彼らは一人の女を共有したが……。
自ら招いた三角関係の無残な清算。
「グアヤキル」
それぞれが属するカテゴリの代表的人物である
二人の交渉が全体の動向を左右する、
連動して決定される様が象徴的に綴られ、
ラテンアメリカ独立運動の立役者二人について語る
二人の学者の論戦が描写されている。
「マルコ福音書」
医学生バルタサルは、いとこに誘われ田舎の農場へ。
管理者らは無教養で他人に無関心だったが、
バルタサルが文字を読めない一家のために
読み聞かせを行なうと、
彼らは聖書のマルコ福音書に耳を傾け……。
皮肉で残酷な結末だが、
不思議に乾いた笑いが込み上げてくる。
「ブロディーの報告書」
1839年刊『千一夜物語』第一巻に挟まれていた
宣教師デイビッド・ブロディーの手稿を
スペイン語に翻訳したという体裁のフィクション。
後進地帯で伝道に従事したブロディーが見聞きした
ヤフー族の特異な習俗について。
これはいかにもボルヘスらしい面白さ。 -
Posted by ブクログ
1977年77歳の著者が7夜にわたって行った7つの講演—こんな煽られ方されたら、レジに直行する。
と言いつつ、『砂の本』で初めてラテンアメリカ文学に触れたとき、あまり楽しめなかったと記憶している。難解というか何かノリきれないものがあったのだ。
その後のボルヘス体験は、『幻獣事典』とアレックス・コックスが監督した映画版『デス&コンパス』を観たくらい。
レビューするにあたり、試しに『砂の本』を引っぱり出してみたら、意外と平易な文章で驚いた。
マルケスにどっぷりハマり、リョサやプイグにちょっと触れ、ボルへスがデビューさせたコルタサルに幻惑されたあとだからこそ、そう感じるのかもしれない。
本書の中では「神曲」「悪夢」「千一夜物語」「カバラ」が特に面白かった。“理解する”には自分の知識が足りな過ぎるけど、それでも楽しめる。
これを機にボルへスの他作品に挑戦してみようと思う。以前から読みたかった「神曲」の方が先になりそうだけど(笑)