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1977年77歳の著者が七夜にわたって行った七つのテーマ――「神曲」「悪夢」「千一夜物語」「仏教」「詩について」「カバラ」「盲目について」――による講演。ボルヘスという謎、その秘密をそっと打ち明ける、格好のボルヘス入門。「悪くない。さんざん私に付きまとってきたテーマに関して、この本は、どうやら私の遺言書になりそうだ」
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Posted by ブクログ
エピローグと訳者あとがきがぬくもりに満ちていて、本文に接する姿勢が変わる。掟破りだとしても、これらを先に読むことをオススメする。 語りかけるような講演集。きわめて個人的なようで、それでいて多くの人の心を動かすような。 第4夜 仏教、第5夜 詩、第6夜 カバラが俄然面白かった。翻訳も良いのだろうが...続きを読む、読んでいて心地よく深淵に至る。第7夜 盲目について、はその極致だ。打ちのめされる名文だ。 ・私も自分の運命が、何よりもまず文学的であると常に感じてきました。つまり私の身には悪いことはたくさん起きるが良いことは少ししか起きないだろうという気がしたのです。でもけっきょくのところ何もかも言葉に変わってしまうだろうということが常にわかっていた。とくに悪いことはそうなる、と。なぜなら幸福は何かに変える必要がない、つまり幸福はそれ自体が目的だからです。
<神曲>を題材にはじまる七夜の講演録。ひとつひとつとても面白い。その話の内容、ものごとの感じ方、捉え方が詩的でとてもいい印象を受ける。読み通した時に感じたことは孤独ではない感じだった。
第四夜 仏教 矢とは「私」という概念であり、我々ん突き刺しているあらゆるものの概念である。我々は無意味な問題で時を無駄にしてはならない。〜宇宙は有限か無限か。ブッダは涅槃の後、生きているのか否か。そんなことはすべて意味がない。重要なのは、我々が自分に刺さっている矢を抜くことだ。それはつまり悪魔祓いで...続きを読むあり、救済の法なのです。
1977年に77歳のボルヘスが語った、7つの主題についての講演録。圧倒的な知性と芳醇な感性が、丁寧な口調から滲み出ているその語り口がまずは心地よい。神曲や千一夜物語の楽しみ方を解説し、仏教やカバラといった非キリスト教を紹介しつつ悪夢や詩、盲目について語るそれは主題が相互に絡み合い、ボルヘスという一つ...続きを読むの書物を形成する。書痴とは即ち書知の快楽を求める者を指すのだと言わんばかりに、晩年の肯定感に満ちた姿は何より魅力的である。ちなみに、彼の仏教観は鈴木大拙氏の言う「即非の論理」をかなり正確に理解したものだと思う。
1977年77歳の著者が7夜にわたって行った7つの講演—こんな煽られ方されたら、レジに直行する。 と言いつつ、『砂の本』で初めてラテンアメリカ文学に触れたとき、あまり楽しめなかったと記憶している。難解というか何かノリきれないものがあったのだ。 その後のボルヘス体験は、『幻獣事典』とアレックス・コッ...続きを読むクスが監督した映画版『デス&コンパス』を観たくらい。 レビューするにあたり、試しに『砂の本』を引っぱり出してみたら、意外と平易な文章で驚いた。 マルケスにどっぷりハマり、リョサやプイグにちょっと触れ、ボルへスがデビューさせたコルタサルに幻惑されたあとだからこそ、そう感じるのかもしれない。 本書の中では「神曲」「悪夢」「千一夜物語」「カバラ」が特に面白かった。“理解する”には自分の知識が足りな過ぎるけど、それでも楽しめる。 これを機にボルへスの他作品に挑戦してみようと思う。以前から読みたかった「神曲」の方が先になりそうだけど(笑)
7つの夜。神曲、悪夢、千一夜物語、仏教、詩について、カバラ、盲目について。この並びを見ただけでヨダレが出そうだと、思わず買ってしまった。 中でも、「神曲」の夜は群を抜いていると思った。必ずいつか読もうと決意させるほどの、もうなんというか魔術的な魅力があって、それは例えば「仏教」の夜にはないものだ。...続きを読むボルヘスという人の住処を感じる本だった。
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J.L.ボルヘス
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