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「大佐に手紙は来ない」「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」など、世界文学最高峰が創りだした永遠の物語。著者の多面的な魅力を凝縮した新訳アンソロジー。
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Posted by ブクログ
南米文学の巨匠である著者の中短編集。南米文学の生活をありのまま描いた作品やマジックリアリズムを描いたものまで様々であるがその根底には人生における理不尽さややるせなさを肯定も否定もしない価値観が表れている。また、『純真なエレンディラ〜』には母殺し的な要素も感じられた。
ガブリエル・ガルシア=マルケスの中短編集。 いくつかの作品は読んだことがあった。だがそれでも退屈するようなことはない。一気に読むのがもったいない作品ばかりだった。 前半は『百年の孤独』のマコンドを彷彿させるような作品が多かったように感じる。 そして後半は『エレンディラ』に収録されている作品がいくつか...続きを読むあるせいか、どこか寓話的な雰囲気を感じた。 傑作選と付けられてるだけあって、どれも傑作と言える密度が高い作品だった。 自分は安さに釣られて文庫版で読んでしまった。だが、読み終わってから単行本で欲しいと思ってしまった。
世界文学の最高峰が生み出した10篇の物語。 読み始めると止まらなくなるダイソンみたいな本だった→ 「巨大な翼をもつひどく年老いた男」→天使なんだけど描写が容赦ないし、物語の中で歓迎される存在でもないという凄まじさ。 「この世で一番美しい水死者」田舎の集落感がめちゃくちゃ出ていて面白い。不思議な話な...続きを読むんだけど、登場する人々はリアル。 「光は水に似る」ものすごく描写が美しい→ 映像で観てみたい気がする。「電球割ったら光の洪水が」ってすごいな。 「大佐に手紙は来ない」雰囲気最高。もどかしい感じ、じれじれと待つ感じ、なんか、ラテンアメリカって感じ(どんなんや) 「純真なエレンディラ〜」はヤバい。怖い。めちゃくちゃ怖い。冒頭から考えられないオチ。
『百年の孤独』文庫版を予約したのに先だっての本書。 ノーベル賞作家という肩書きを知らなかったとしても、まずこの筆力に目を奪われる。 魔術的リアリズムの旗手と呼ばれているマルケスだけれども、神話的な要素のない作品もある。 「大佐に手紙はこない」はその例で、内戦前後のコロンビアでの老いた大佐が困窮しなが...続きを読むらも亡き息子の軍鶏を人生の鍵として大切に扱う話。 超現実的な部分は一切ないのだけれども、そのかわりメタファーに溢れる。 ただ、このメタファーも含めてすべて読みやすい。 同様に神話的な要素が含まれた作品も、とにかく読みやすい。 文化的背景がだいぶ異なる我々日本人からみた南米の文学なのに、本当に読みやすい。 (もちろん訳者の功も多分にあるのは言うまでもないのだが) 明るい話はほとんどないのだが、それでも時折含まれるブラックなユーモアにもくすっとさせられる。 それくらい解釈可能なラテン文学。 サリンジャーやヘミングウェイと同じく、古典だからとりあえず・・・という部類ではない。 今の私たちが、今の私たちの感覚で十分に楽しめる文学作品。 視野を広げるにはとてもいいきっかけになるのでは。お勧め。
日常の切り取り方が、(わたしたちが普段過ごす日常と作者が想定する「日常」の乖離を鑑みても)鮮烈に感じられた。 生々しい人間の感情や生活の垢じみた、湿っていて暗い雰囲気と、寓話のような美しさが同居している稀有な作風だと感じた。
最高。 ラテンアメリカに蓄えられてきた奇蹟の力をこうして味わえる幸せ。なんでさっさと読まなかったのか。 ある種の"物語"を勝手に期待する男たちが読者とともに裏切られる構造は、前期のリアリズム小説にも見出される。 同じアンチ=リアルな短編小説としてカフカを連想したが、カフカは悪...続きを読むい予想が裏切られないという悪夢の因果律に支配されてて、ガルシア=マルケスはよい期待が裏切られがち、なのかも。
マルケスの著書を読むと「どこへ行っても、どんな時代も人間の営みって変わらず大体こんな感じかもな」という安堵とも諦めともつかない気持ちになる。 決して読後感が良いとは言い難い作品が多いのだが、丁寧に描き出される「現実なんてそんなもんだ」というやけっぱちな諦念感は不思議と居心地が良い。
はじめは読み慣れないジャンルだったからとっかかりを見つけるのに苦労したけれど、事前に解説を読んでいたこともあって途中から楽しく読むことができた。 特に「この世で一番美しい水死者」、「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」、「光は水に似る」が好きだったな。 百年の孤独を読む前にガル...続きを読むシア=マルケス作品がどのようなものか体験することが目的だったけど、これもしっかりと面白くてよかった。 百年の孤独も楽しみだな。
名作だ。しかし、やるせなくて読んでしんどい作品が多い。解題にも書かれていて、そのような作家なのだと知る。現実的な描写の中に幻想的なものがしれっと同居してるのはすさまじく、現実味が強すぎて、少し心が疲れてしまった気がした。 ラテンアメリカ文学としてボルヘスは大好きだし、コルサタルも楽しめた。たしかに同...続きを読むじ香りを感じるが、それとは明確に違う地に足のついた「つらい」現実感が迫る。 しかし、この中では「聖女」がとびきりに気に入った。なぜならば、やるせないだけでなく、その中に希望があったからだ。人生はやるせないことの連続で生きてゆくのであって、そのなかに少しでも希望が欲しいとぼくは思うのだ。たとえそれが歪んだものだったのしても。
ラテンアメリカ文学を読むぞ!と息巻いて全然手を出せていなかったのですが、ついに気になっていたマルケスを読む。 前半の、庶民のやるせなさを強く感じるリアリズム小説より、後半のザ・マジックリアリズム!という感じの、色鮮やかでファンタジー要素が含まれる小説のが好きだった。 ファンタジーと言っても、中庭で見...続きを読むつかった天使は年老いていて、日差しと雨にさらされる鶏小屋に入れられて放置されるし、水死体の話やら、おばあちゃんに娼婦にさせられた娘の話やらがあるし、人生の残酷さは伝わってくる。 それでもラテンアメリカの太陽が連想される、鮮やかなイメージの話が多いので、不思議とあまり暗い気持ちにはならない。なんかその感じがメキシコっぽい気がする。 「巨大な翼をもつひどく年老いた男」「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」「光は水に似る」が特に好きだった。
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野谷文昭
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