都筑卓司のレビュー一覧
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四次元を単に言葉だけで定義するのではなく、もしも四次元の世界というものが本当にあるならそれはどんなものなのか、というダイレクトな好奇心に応えてくれる良書。本書は主に数学的四次元と物理学的四次元の2つの話を展開している。
前半の数学的四次元の話では数学、幾何学の上で次元というものをどう考えるのか、四次元というものが論理と数式でどう成り立つのかという話になる。ここまででも一次元から四次元までの整理、非ユークリッド幾何学まで話の広げ方が巧み。もちろん数学的な四次元空間というのは二次元人に三次元が根本的に想像できないように、三次元人には具体的なイメージというのは掴みにくいのだけどそれでも相当わかりや -
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むすこは、アイスがとけるスプーンがお気に入りで、アイスを食べるときにはかならず使う。でもこのスプーン、なぜすぐアイスをとかすんだろう? 手のぬくもりが、どのように伝わっているのだろうか? なぜ多くのアイスキャンデーの軸には、木が使われているのだろうか?
むすこは、さいきんポケモンが好きだ。氷タイプのポケモンが使うわざの一つに、「ぜったいれいど」というものがある。この「ぜったいれいど」ってなんだろう? どういう状態のことをそうよぶのだろう?
この本を読むと、生活や遊びの中でなんとなく親しんでいるもののなぞがかいめいされていく。きっとこの本を読んだ後には、全てのものにふくまれているけれども見え -
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ネタバレ相対論、素粒子論、量子力学、統計力学、これは物理学…なのか?と、高校の物理化学の時間を居眠りで過ごしてしまった私にはまったくピンとこない理論と数式が各所に登場し、完全に理解できたとは言えないものの、これまで考えたことのない視点の一部を垣間見ることができた。
何より印象的だったのは、理詰めで導かれた正確なものだと思い込んでいた物理分野の理論が、あくまでも今現在人類が証明できうる現象を仮定的に説明したに過ぎないということ。光よりも速い物質があるかもしれない、時は対称的に反転しうるかもしれない、そんな想像力から生まれる仮説が今も世界中の研究者たちによって明らかにされようと実験を重ねられているのだとい -
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『現実世界と統計力学がリンクする!』「分子などの粒子の集団としての振る舞いをその確率から統計的に記述する物理」と説明されて「なにそれ面白そう!」と興味が持てる人間は間違いなく少数派だが、本書はもうこれ一冊で存分に統計力学を楽しむことができる。「コーヒーとミルクってなんで混ざるの?」「お茶はなんで冷めるの?」という小学生にされたら困るような日常の疑問を統計力学的に説明し、そこから一般人がわかるようでわかってない理論上位に位置する熱力学第二法則とエントロピーの話に綺麗につながっていく。そして極めつけにオチのエントロピー社会論。エントロピーが増大し、もはや誰にも全容を把握することができない社会で、個
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いくつもの変な物語が冗長だが、それを差し引いても、本書は物理に関する基本的な考え方を丁寧にひもといてくれている。これは専門書ではできない芸当だろう。
・光束の幅をゼロにすることは、光の回折性によって絶対不可能であることがわかっている。
・星が見えると言うことは・・・光がつぶであることの裏付けとなっているのである。
・Δx・Δp=h :ハイゼンベルグの不確定原理:これは顕微鏡の分解能の考え方から導き出せた。
・ΔE・Δt=h :定常状態でのみエネルギーは同じになる。
・電子の居所は原子の中のどこにでも部分的に存在していなければならない。
・1.1000個の粒子のうち、10分の1の100個がB点 -
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[ 内容 ]
卵を割らずに黄身がとり出せるか?
四次元の世界ではそれが可能だという。
真実とはかくも奇妙なものなのか。
アインシュタインがついに見つけた実在する四次元から、超多時間理論、重力波まで、絵には描けない世界を丁寧に語り尽くす。
[ 目次 ]
第1章 次元とはなにか
第2章 四次元空間の性質
第3章 曲がった空間
第4章 ハップニング
第5章 光とはなにか
第6章 実在する四次元
第7章 非ユークリッド空間
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
タイムマシンを実現させて過去をよみがえらせ、永久機関を動かして、世間をアッといわせてみせる。
人類が滅び、宇宙に終焉が訪れるとすれば、マックスウェルの悪魔こそ、救世主か?この不可思議な悪魔に目をつけながら、時間の向きを決めているという「エントロピー」を、他に類を見ない面白さとわかりやすさで解説する。
[ 目次 ]
1 永久機関のはなし
2 エルゴード仮説より
3 確率から物理法則へ
4 秩序崩壊
5 なぜ空気はつもらないか
6 でたらめの世界
7 救世主としての悪魔
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ス -
Posted by ブクログ
夕もやにかすむ街はずれの空地、くさりかかった丸太や、土管が乱雑に並び、掘り返しの穴には水がたまって、垣根の竹が汚水の中に落ち込んでいる。
……
と、ある傾きかけた家の台所で、坊やが泣いていた。
……
あかりもない台所はすでに薄暗い。まもなく坊やの父親も、一日の仕事から帰ってくるだろう。
……
さきほどまで物干し竿の洗濯ものを動かしていた風も凪いで、あたりは気味の悪いほど静まりかえっている。
……
このような文章が出だしから数ページ続く。物理学の本だというのに!
そうだった。久しぶりの感覚だ。これが、都築卓司さんの BLUE BACKS だ。
今回は、どんな世界に連れて行ってく