ピーター トライアスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白い。日本とドイツが勝利した歴史改変物。日本が原爆を投下してUSAをUSJとして統治、って設定が燃える。科学の水準も1988年で既に現代を凌駕してるのが面白い。まだイマイチ主人公には感情移入できず、ただこの世界観を楽しむのみ。猟奇的な描写にはちょっと辟易。作者は韓国系アメリカ人だということだけど、日本文化について相当深い理解がある様子で興味深い。現代日本人の感覚からすると、戦後も続いた日本帝国のエクストリームすぎる描写が誇張にも皮肉にも思えるんだけども、冷静にもしあの戦争に負けてなかったらこうなってるかもな、と納得出来もする。これは日本のことよく知らないと書けないし、そこに脱帽。それと、訳の素晴らしさが特筆できるレベル。日本人名にどの漢字を当てるかとか、劇中の大阪弁の描写とか、これは訳者と著者が相当やり取りしてないと出来ないはず。下巻にも期待。
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Posted by ブクログ
複数巻を並行に読むシリーズ。
六浦賀を捕まえることを決心したベンこと紅功と昭子。しかし、ジョージ・ワシントン団の拷問で腕を失った昭子は、失った腕にレーザーガンを着けることを望む。また、六浦賀の待つサンディエゴには武装アーマーでしかたどり着けないことから、サンタカタリナ島経由で行きたいのだが、そのためには負けると殺されるゲーム大会で優勝するしかなかった…。
つらつらとあらすじは書いているものの、ほとんど忘れていたので、わからないまま読み進めていた。しかもほとんど説明なく会話で進むことから、なかなか状況が把握できない。
ロボットもののドライでクールな作品ではなく、血しぶきどろどろ、『北斗の拳』よろしく無法地帯で人が死にまくる設定なので、読む人を選ぶ作風である。読みやすいが、かなり疲れる。うーむ。まだ2作買ってあるんだよなあ、トライアス。
あとがきに、やはりのディック『高い城の男』の話、日本のアニメなどの影響について書かれていて、ずるいなあ、こんなの好感持つしかないやんという状況だが、漫画的に度の人を中心に読めばいいのかわからないことや、勢いだけで先走って主語が2つある文章など、お世辞にも読みやすい良作とはいい難い部分もある。
ただ、書きたかったことはよく分かる作品ではあったな。 -
Posted by ブクログ
1948年、アメリカでの地上戦に日本の皇軍が謎の破壊兵器を投入し、アメリカ全土を制圧してユナイデッドステイツオブジャパン(USJ)を建国した。1988年、終戦時に生まれたベンこと紅功は、USJにおける日本皇軍の諜報部に所属していた。ある日、元上司と思われる男性から「娘が死んだ」と電話を受けた…。
ディックの名作『高い城の男』同様、第二次大戦を起点としたパラレルワールド物である。もっとカラッとドライな話かと思いきや、わりかし重めのストーリーで面食らった。
日本皇軍、諜報部、憲兵といった日本人コミュニティに対して、テロ組織ジョージ・ワシントン団が裏の裏をかいて手を回してくる事に対し、日本軍は情け容赦ない鉄槌を下していく。
割と初期から100円で売られていたのだが、おそらく日本を悪役として描いた反日的な部分に嫌気が差した読者も多かったのではないかと考えられる。しかし、よく読み込んでいくと細部にそうではないことが見えてくるのだ。
翻訳の作品には非常に珍しく、どうも原作者の意図と思われる日本人名が漢字で書かれる。最初にでてくる日本人が深作慧(ふかさくさと)という漢字を書く時点で、なんか普通じゃないぞという雰囲気が漂う。いくらなんでも作者の意図を無視して六浦賀(むつらが)なんていう漢字を使わないだろう。
また、序盤では「天ぷらバーガー」などと適当っぽい食事に関しても、卵かけご飯(ゆで卵だが)、「本式の伊勢うどんを出す店は少ない」とまで来ると、この人、日本マニアで日本大好きなのだなと思わざるを得ない。
1988年に電卓(携帯電話)だの、1948年に巨大ロボットだのと、ありえない設定がでてくるのも、本当じゃないんですよという意思表示なのだろう。『高い城の男』で易を使って意思決定をしていたこととも似ている。
ただ、上巻ではさほど盛り上がらなかったので☆は3つ。ようやく巨大ロボットらしきものがでてきたので、後半に期待。 -
Posted by ブクログ
本書は、第二次世界大戦で日本とドイツの枢軸国が勝利した改変世界が舞台。アメリカ西海岸は「日本合衆国」として日本国の統治下にあるが、生き残ったアメリカ人は「ジョージ・ワシントン団」を結成し、度重なるテロ行為により、日本合衆国に打撃を与えていた。日本合衆国の大尉である石村紅功は、かつて自身の両親を日本国に対する反逆の疑いで告発した人物。ある日、彼のもとに架かってきた一本の電話。それはかつての上司、六浦賀(むつらが)将軍からであった…
本書はもちろん、フィリップ・K・ディック「高い城の男」の影響を受けており、「21世紀版『高い城の男』」として紹介までされているようですが…正直、誇大広告の印象は拭えないかと。また、装丁画を見る限り、ロボット同士が熱いバトルを繰り広げる!といった印象を受けてしまいますが、実際、ロボット同士のバトルなど、ほーんの少ししか描かれません。
物語は、石村が六浦賀を捜索する理由とその秘められた背景に焦点が当てられます。その過程で描かれる日本国は、いき過ぎたファシズムによる徹底した管理社会で、まるでディストピアのようです。しかし、日本国は必ずしも負の側面だけが描かれるのではなく、例えば、この国が目指す理想社会は(そこだけを切り取れば)決して悪いものではありません。また、そもそも日本国に蹂躙されたアメリカ社会自体にも差別主義の温床といった描写もあり、どちらの社会も良くは描かれておりません。こういった描写は、この改変世界と我々の現代社会を自然と対比させることとなり、少し考えさせられてしまいます。なんというか、このような手法はまさに「SF的」な感があって好きなのですが、さんざんひっぱってきた石村が六浦賀を捜索する理由が「え?それだけ?」といった内容だったり、登場人物の突然すぎる(そして無意味な)フェードアウトが気になってしまったりと、後半にいくにつれ、「うーん…」という思いが強くなってしまいました。ただ、最後の最後で明らかになる石村の背景は、これまで終始不透明であった石村の人物像をはっきりさせる所謂「ドンデン返し」的な要素もあって、結構好きだったり…