川上泰徳のレビュー一覧
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岡真里さんの本以上にパレスチナのことが歴史を追ってわかる。現地での取材を重ねた元朝日新聞記者のジャーナリストとしての気骨が伝わる本であった。
2024年6月時点でのガザの死者は3万7千人を超え、そのうち子どもの死者が1万5千人超えだという。世界中の紛争で亡くなる子どもの数は一年間で3千人以下だというから無惨である。(これも許せないが)
イスラエルの蛮行はやまない。西欧、米、ロ、そしてあろうことか我が日本などがジェノサイドの加害者側に立っていることが大きな要因だ。恥ずべきことだ。
作者の古巣朝日新聞でさえ、ハマスのテロ対反テロのイスラエルの争いという見方を広める。
平和を望む者は騙されないように -
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■なぜ残酷な画像を敢えて公開するのか。アルカイダの幹部で戦略家でもあるアブ・ムサアブ・スーリーによる「イスラム目がある。そこでは,「コーラン」の「戦利品章」にある「彼らに対して,あなたのできる限りの(武)力と,多くの繋いだ馬を備えなさい。それによってアッラーの敵,あなた方の敵に恐怖を与えなさい」という一文を引用していた。この文書はアルカイダの教本の一つとされるが,ここで「テロリズム」と訳しているのは,「コーラン」の中で「敵に恐怖を与えなさい」という部分である。アラビア語では,テロリズムは「イルハーブ」である。これは「恐れさせる」「恐怖を与える」を意味する動詞「アルハバ」から派生した名詞であり,
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世界貿易センタービルに飛行機が突っ込むシーンは未だ頭から離れず、ビルから上がる煙や崩れ去ると同時に大量の書類が宙を舞う風景、逃げ惑う人々、あれ程衝撃的な映像を見たのは生まれて初めてだったと記憶している。その後アメリカによる対テロ戦争が始まった。首謀者とされる人物が軍事作戦で殺害され収束に近い形を見た事も何度かあった。欧米が支援する政権が樹立し、軍も撤退するなど一時的な平和状態が訪れた様にも思うが、世界では引き続きテロや紛争が絶え間なく発生している。直近のハマスの先制攻撃に報復するイスラエルの攻撃も表向きはユダヤ教対イスラム教の宗教対立に見えるが、真因については、私の様な遠い地に住む人間には解ら
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2015年年初にフリージャーナリストの後藤健二氏らがISに拘束・殺害されたことをきっかけに高まった、危険地域の取材・報道に否定的な世論に対し、危険地域報道を主たる仕事とする現役のジャーナリスト10名が、その意義や自らの体験、更に今後の在り方などを語ったもの。
執筆者は、2014年にジャーナリストとして世界で初めてISの拠点ラッカを取材した(同時に、拘束されかけた)報道カメラマン・横田徹、世界的な映像ジャーナリスト・綿井健陽、フリージャーナリスト・土井敏邦、アジアプレス大阪オフィス代表・石丸次郎らである。
まず、「なぜ、ジャーナリストが危険地域へ行く必要があるのか?」については、「(紛争における -
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戦場やテロ、災害地など危険な場所に自ら深くまで入り込み、最前線の実態を見続けるジャーナリスト達。日本でも稀にニュースで彼らが拘束されたり、殺害されると大きなニュースになる。一時期イスラム過激派に拘束されて殺害されたジャーナリストの報道では、多額の身代金が要求され、世論は自己責任で行う行為に、何故国民の血税で彼らを救わなければならないのか、といった風潮が沸き起こった。私も心のうちでは何処かそうした想いがあった様に記憶している。本書を読んで果たして同じ気持ちのままいる事ができるだろうか。
世界各地で未だ止まない紛争や自然災害。誰もがその実態がどうなっているのか、今現場で人々がどの様な状況に陥ってい -
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10人のジャーナリストによる共著で、一貫性を持たせているというよりは、それぞれの体験や主張が展開されていて、各自のジャーナリストとしての個性が見える。
ただ、内容的には不満が残る。著者の多くが、外務省による旅券返納命令事件を取り上げ、取材の自由の侵害や政府による都合の悪い情報の統制であると問題視している。また、その契機となった「後藤さん事件」に対するマスコミや世論の自己責任論やジャーナリストへの批判に違和感を表明している。確かに、そういう側面もあるのだろうが、「ジャーナリスト」特有の政府批判、批判をしてもあまり非難を受けるおそれのない主張に聞こえる。それよりも、こういう場面にあって、一般の読者