作品一覧

  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証
    3.4
    「イスラム国」による後藤健二氏、湯川遥菜氏の人質・殺害事件以降、「そんな危険な所へ行く必要があるのか」という世論に乗じて、政権は露骨な報道統制に踏み出し、メディアは萎縮してしまった。危機感に駆られたジャーナリストたちが、フリーランス、新聞社、通信社、テレビ局など立場や媒体を超えて本書に集結。海外取材の最前線に立ってきた体験を踏まえ、これまでの「事故」をシビアに自己検証し危険回避の具体的方策を提示するとともに、「それでも、誰かが“そこ”へ行かなければならない」と訴える。【目次】第一章 後藤健二氏の人質・殺害事件がもたらした影響 石丸次郎/第二章 ジャーナリストは「戦場」でどう行動したのか(紛争地を抱える中東の事実を見る「目」の役割 川上泰徳/“イスラム国”取材、その一部始終 横田 徹/戦場の人々を見つめるまなざし 玉本英子/通信社の記者は、最後まで残って取材を続ける 及川 仁/テレビの「危険地取材」はどう変わったか 内藤正彦/危険地取材をテレビに売り込む 高世 仁)/第三章 戦争報道を続けるために――過去の事例から学ぶべきこと 綿井健陽/第四章 米国メディアの危険地報道――日本との相違 高橋邦典/第五章 危険地報道とジャーナリスト 土井敏邦

ユーザーレビュー

  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

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    非常に難しい問題。戦場へ向かうジャーナリストの主張も分かるし、それを引き止める側も理解できる。リスクを冒した報道がなければ、「世界を見る目」は失われていくだろうし、世界情勢から目を背けてはならない点は大いに賛同。政府が必要以上に干渉や行動規制をかけることにはジャーナリズムの観点からも批判的であるべき。ただ現地での安全が十分に確保されているのかどうかも重要な点で、時に周りが止めることも必要になるとは思った。いずれにせよ、迷惑とか自己責任とかそんな簡単な言葉処理する問題ではないと認識。

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    2022年03月04日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

    Posted by ブクログ

    2015年年初にフリージャーナリストの後藤健二氏らがISに拘束・殺害されたことをきっかけに高まった、危険地域の取材・報道に否定的な世論に対し、危険地域報道を主たる仕事とする現役のジャーナリスト10名が、その意義や自らの体験、更に今後の在り方などを語ったもの。
    執筆者は、2014年にジャーナリストとして世界で初めてISの拠点ラッカを取材した(同時に、拘束されかけた)報道カメラマン・横田徹、世界的な映像ジャーナリスト・綿井健陽、フリージャーナリスト・土井敏邦、アジアプレス大阪オフィス代表・石丸次郎らである。
    まず、「なぜ、ジャーナリストが危険地域へ行く必要があるのか?」については、「(紛争における

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    2016年01月11日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

    Posted by ブクログ

    戦場やテロ、災害地など危険な場所に自ら深くまで入り込み、最前線の実態を見続けるジャーナリスト達。日本でも稀にニュースで彼らが拘束されたり、殺害されると大きなニュースになる。一時期イスラム過激派に拘束されて殺害されたジャーナリストの報道では、多額の身代金が要求され、世論は自己責任で行う行為に、何故国民の血税で彼らを救わなければならないのか、といった風潮が沸き起こった。私も心のうちでは何処かそうした想いがあった様に記憶している。本書を読んで果たして同じ気持ちのままいる事ができるだろうか。
    世界各地で未だ止まない紛争や自然災害。誰もがその実態がどうなっているのか、今現場で人々がどの様な状況に陥ってい

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    2023年09月01日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

    Posted by ブクログ

    日本では拘束等が報じられると自己責任論が前面に突出し、半面万一不幸にして亡くなれば、英雄視といったワンパターン報道になり、戦場に何故ジャーナリストが向かうのか、その戦場の現実はどうなっているかなどの本質論は捨て置かれている現状がある。
    10人のジャーナリストの生の体験と声を聴くことで、その心理をある程度理解することができる。
    ただ、拘束拉致された場合の国や住民側の対応についてはほとんど触れられていないので、その辺の本音も聴ければなお理解が深まったかもしれない。

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    2016年03月13日
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証

    Posted by ブクログ

    10人のジャーナリストによる共著で、一貫性を持たせているというよりは、それぞれの体験や主張が展開されていて、各自のジャーナリストとしての個性が見える。
    ただ、内容的には不満が残る。著者の多くが、外務省による旅券返納命令事件を取り上げ、取材の自由の侵害や政府による都合の悪い情報の統制であると問題視している。また、その契機となった「後藤さん事件」に対するマスコミや世論の自己責任論やジャーナリストへの批判に違和感を表明している。確かに、そういう側面もあるのだろうが、「ジャーナリスト」特有の政府批判、批判をしてもあまり非難を受けるおそれのない主張に聞こえる。それよりも、こういう場面にあって、一般の読者

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    2016年01月24日

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