ジョー ネスボのレビュー一覧

  • 失墜の王国

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    ネタバレ

    ジョーネスボ、噂に聞く北欧ミステリーの有名作家、今回読んだのは2作品目だが、いやいや噂にたがわぬ面白さ、四六版単行本上下2段組500P超えのボリュームは読み応えあって、中だるみも少なく、全編ずっと緊張感とノアールと諦念が漂い続ける作風で、思ってた以上にのめり込んでしまった。

    主人公兄弟、兄ロイの寡黙さ冷徹さ、弟カールの冷酷な詐欺師っぷり。育った環境が悪かったとも言えるのだが、それよりを周りを囲む人物たち、とりわけ女性陣が絶妙に小ずるくてチクチクとした悪さを仕込んでは、兄弟を追い詰めていく様が怖い。

    そしてその描写に余分な熱量がない、他のノアール作品例えばコスビーとかウィタカーとか、月村了衛

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    2025年11月25日
  • 失墜の王国

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    この作者の作品は本当にハズレなし。
    翻訳も素晴らしいのだろう。読みやすいし、感情移入しやすい。
    主人公、幸せになってほしいな。続きがあるみたいなので、はやく読みたい。

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    2025年08月18日
  • 失墜の王国

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    単行本の二段組にして500ページを超える長編だが、飽きる事ないドラマ(事件)があった。

    ノルウェーの深い谷に阻まれた村、オスの農場で暮らすロイとカールの兄弟は、両親を事故で亡くすのだが崖から落ちた事故に不審を抱いた保安官を…。

    その後逃げるように村を離れた弟が、15年後に妻と共に農場の土地にリゾートホテルを建てる計画を持って戻ってくる。

    この計画を持ち込んでから新たに巻き起こる事件に不穏さと兄弟の思惑に翻弄される。
    いくつかのこれまでの死は、兄弟だけが関わっているのだが、事件にすらならない気味の悪さ。
    最後は兄弟の騙し合いで終わるのかと思われたが、意外な結末に。
    すべては弟ありきのことな

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    2025年02月20日
  • 失墜の王国

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     待ちに待ったネスボの新刊
    「結びつかざるを得ない関係としての兄弟」の絆が描かれる重厚なノワール・ミステリー。

     ネスボに騙されて読み進み、途中でその引っ掛けに気づいてからは、さらに読み応えが増す。

     各人の生き様に各人の本性を見る、ずしりと心に重い作品だった。




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    2025年02月16日
  • 失墜の王国

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    ノルウェーにある谷に阻まれた村オス。そこに住むロイとカールの兄弟。ある時カールを助けるためにロイが罪を犯してカールは海外へと逃げてしまう。15年後に帰ってきたカールとの再会。帯にある暗黒小説の空気がじわじわと感じられるようになってくる、その構成も見事だし罪から抜け出せなくなっていく二人の、お互いがいるという思いとそこに芽生える不信感とか家族や兄弟のつながりと脆さが見えてさらに面白くなっていく。二段組で530ページほどあるけれど長さを感じさせないくらい圧倒される犯罪小説。こういう作品をもっと読みたい。

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    2025年02月08日
  • 失墜の王国

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    単行本二段組500頁超え。ボリューム的にも内容的にも重い。それにもかかわらず読み進む内に止まらなくなるのは、秀逸な一冊ということか。

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    2025年02月04日
  • 失墜の王国

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    主人公ロイの住む山間の村。彼の弟カールは、新妻シャノンとともに村をリゾート地へする計画を携えて帰ってきた。リゾート化計画は、村を豊かにするためだとカールは言う。だがロイは、弟の本心は村を支配することにあると察していた。そこに殺人事件が起こり……。

    著者の作品を読むのは、「コマドリの賭け」以来、2作目。厚さも値段も物語も圧倒的。

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    2025年02月03日
  • 失墜の王国

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    ネタバレ

    非常に遅くなったが、2025年一作目。
    ノルウェーの作家、ジョー・ネスボのノワール大作。

    弟カールが故郷である山間の村に帰ってきた。
    外国人の妻と、故郷の村をリゾート地へと発展させるホテル計画とともに。
    兄のロイは不安ながらも弟の計画に乗るが、奇しくも兄弟が過去に関わった事件の再捜査が始まり。。。

    上下段の500ページ越えと、非常に重厚な作品。サクサク読めるのだが、読み終えるのに流石に日数がかかってしまった。

    兄弟、特に兄をメインに据えたノワール。少しずつ歯車が狂い、堕ちていく様が見事。家族小説、サスペンス、恋愛小説など、様々なジャンルを内包しており、飽きさせない。
    弟カールが本当にお調

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    2025年01月16日
  • 失墜の王国

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    ★5 ノルウェーの深い谷に囲まれた田舎町… 人間の愛情と業が深々と描かれるノワール #失墜の王国

    ■あらすじ
    ノルウェーの深い谷に囲まれた田舎町オス、その村の農場でロイは暮らしていた。彼はガソリンスタンドの店長として生計を立てていた。

    ある日、アメリカで暮らしていたはずの弟カールが、妻シャノンと一緒にオスに戻ってくる。カールは農場にリゾートホテルを建設する詐欺まがいの計画を持ち掛けてくる。さらにこの兄弟は重大な秘密があり…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 北欧の重厚なノワールミステリー、重いっ

    最初から最後まで、寒々しく、じとっーとした雰囲気に包まれます。さらに舞台は田舎町のスモー

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    2025年01月10日
  • その雪と血を

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    ハードボイルドの哀しい結末

    愛することも愛されることもよく分からないと感じる、
    絶望しているわけではなく、不器用に手探りで愛を感じようとする……
    自身の物語を見つけようとする、主人公の悲しさ。

    200項に満たない“中編”に、冬の情景をふんだんに盛り込んだ抒情詩のような一片の小説

    主人公一人称で描かれるのは主人公の「想像(思い)」でもあり、
    見え隠れする「現実」でもある。
    最後の章で一人称が外れたとき、夢から覚めたような感覚でいる自分に驚く。

    クリスマスの夜、町を覆う雪
    「悲しみもやがて温かいベールに包まれる」という幻想
    ……残酷です。

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    2021年12月09日
  • その雪と血を

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    ネタバレ

    難読障がいを抱えた始末屋、オーラヴ・ヨハンセン。
    信条と言うほど偉ぶったものではないが、相応の罪人でないと自らの招く結果にうまく心の整理がつけられない不器用で孤独な気質の男。
    かつて、同じ組織のポン引きの上役が聾唖の少女の仕事ぶりを怒鳴りつけている場面に心が騒ぎ、衝動的に助け、資金面で援助し、微かな恋心を抱きつつその後の生活を見守る。そんな男。

    あるとき雇い主から不貞をしている妻を殺すよう命ぜられるのだが、なんと彼女の姿に一目惚れ。
    不倫自体も彼女が弱みを握られている節があり、相手の男も暴力的。
    本能的とも言える行動で相手の男を始末することを選んだが、実はその男は雇い主の息子だった。
    さてえ

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    2021年10月04日
  • その雪と血を

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    殺し屋の男が自分のボスの女であり
    暗殺の標的である女に惚れてしまうとこから始まるパルプ・ノワール

    あらすじだけで、どんな結末になるか
    なんとなくわかってしまうんだけど
    寒さが伝わってくるくらいの綺麗な描写が良い。
    暴力すらやや和らげてるような印象(ヤワなわけではない) ただただ切ない。

    余談:パルプ・ノワールってなんなの?とか今なぜ70年代でノワールなの?とか疑問に思ってたことを全て解説してくれてて感動した。

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    2019年03月13日
  • 真夜中の太陽

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    巨匠認定。今回も素晴らしい。北欧ミステリは分厚いのに読後感が似てしまい、見分けがつかなくなってしまうものも多い中、ページ数も少ないのに地理的にはノルウェー感をたっぷり味わえ、人物も個性豊かで悪役を含めて魅力的で、主人公の感情の動きも時間とともに大きく揺れ、わずか260ページとは思えない充実感。恋愛小説としても優れており、ミステリ要素もちゃんとある。幸せな読後感を持てるミステリは久しぶりかも。
    まさかの双葉山!笑

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    2018年09月07日
  • 真夜中の太陽

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    ネタバレ

    過去から逃げ、組織に追われている男が見つけた居場所。その場所で出会った1人の女性と子供。2人との交流、特に子供との場面がいい。追われている恐怖のなかにあって過ごす時間。ジョークをねだる子供。何気ない瞬間がとても鮮やか。『その雪と血』同様に静かで美しい。少し頼りない男がたどり着いた場所。結末に向かうとき、このまま終わってほしいと思わずにはいられなかったラストが素晴らしい。

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    2018年08月26日
  • その雪と血を

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    ボスに依頼された人物を始末する殺し屋、オーラヴ。次の依頼は、ボスの妻を殺すこと。任務を遂行するためボスの家に赴いたオーラヴは、妻に一目惚れしてしまう…。

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    2018年06月06日
  • その雪と血を

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    俺にはできないことが3つあると言って消去法的に殺し屋となった男が、殺さないという道を選んだことで得られた悲しい結末、あるいはハッピーエンドの物語。人にはそれぞれテーマがあってそのテーマに沿って人生は物語として再構成される。同じ事象を目の前にしても、個々人によっては見えているものも違えばその解釈も大きく異なる。そういう意味で一人称で語られる物語は読むたびに解釈が変わるほど入念な小説だった。エピローグでは語り手が変わるがそれが意味することは何だろうと考えあぐねる。カートヴォネガットの『タイタンの妖女』で死にゆく男が見た夢の光景の話があるが、この物語では何がどこまで夢だったのだろうと考え始めるとキリ

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    2017年03月10日
  • その雪と血を

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     翻訳ミステリの多国籍化がすっかり歓迎ムードになっている昨今。英米の小説よりももしかしたら売れ行きがいいのではないか、とさえ思わせる北欧ミステリの世界的な台頭はやはり目立つ。

     その中でも異色の作家ジョー・ネスボ。主人公の個性を大切にする傾向が強い北欧作家の中でも、強烈なオリジナリティを持たせるジョー・ネスボ。本作はネスボらしからぬ薄い一冊で、中編と呼んでも過言ではないほどの<ポケミス>ぶりだ。

     そして数多くのパルプノワールが傑作を生み出してきたように、作品の長さではなく、詩のように語られ、詩のように生き、詩のように死んでゆく薄手の作品は、今日も、いつの世でも、どこの地でも好まれる傾向に

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    2017年01月07日
  • その雪と血を

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    好みな作品。愛と血と暴力が蠢き、始末屋の主人公の運命を翻弄する。
    ページ数が少ない為、駆け足で物語が進むのだが、これは極上なノワールだ。狂おしいほどに美しく叙情的。冷たい雪と深い闇が織りなす暗黒。

    裏切りと幻想。この2つ。突如訪れる展開で、ミステリーとしての美しさを兼ね合わせた、傑作だと気付くことになる。

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    2017年10月19日
  • その雪と血を

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    ひゃー、これはこれは。。。見事!   
    あっぱれなパルプフィクション。あっぱれなクリスマスストーリー。
    この薄さで完璧。

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    2016年12月24日
  • その雪と血を

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     タイトルと最初の3行で、もうどうしようもないくらいダメでバカでロマンチストな男の物語だと言うことが分かる。実にしょうがない悪党が、クリスマスにこんなに美しい物語を紡ぐなんて反則だ。ときめくじゃないか。
     クリスマスまでに読んで欲しい。

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    2016年11月27日