ジョー ネスボのレビュー一覧

  • その雪と血を
    ハードボイルドの哀しい結末

    愛することも愛されることもよく分からないと感じる、
    絶望しているわけではなく、不器用に手探りで愛を感じようとする……
    自身の物語を見つけようとする、主人公の悲しさ。

    200項に満たない“中編”に、冬の情景をふんだんに盛り込んだ抒情詩のような一片の小説

    主人公一人称で...続きを読む
  • その雪と血を
    難読障がいを抱えた始末屋、オーラヴ・ヨハンセン。
    信条と言うほど偉ぶったものではないが、相応の罪人でないと自らの招く結果にうまく心の整理がつけられない不器用で孤独な気質の男。
    かつて、同じ組織のポン引きの上役が聾唖の少女の仕事ぶりを怒鳴りつけている場面に心が騒ぎ、衝動的に助け、資金面で援助し、微かな...続きを読む
  • その雪と血を
    殺し屋の男が自分のボスの女であり
    暗殺の標的である女に惚れてしまうとこから始まるパルプ・ノワール

    あらすじだけで、どんな結末になるか
    なんとなくわかってしまうんだけど
    寒さが伝わってくるくらいの綺麗な描写が良い。
    暴力すらやや和らげてるような印象(ヤワなわけではない) ただただ切ない。

    余談:パ...続きを読む
  • 真夜中の太陽
    巨匠認定。今回も素晴らしい。北欧ミステリは分厚いのに読後感が似てしまい、見分けがつかなくなってしまうものも多い中、ページ数も少ないのに地理的にはノルウェー感をたっぷり味わえ、人物も個性豊かで悪役を含めて魅力的で、主人公の感情の動きも時間とともに大きく揺れ、わずか260ページとは思えない充実感。恋愛小...続きを読む
  • 真夜中の太陽
    過去から逃げ、組織に追われている男が見つけた居場所。その場所で出会った1人の女性と子供。2人との交流、特に子供との場面がいい。追われている恐怖のなかにあって過ごす時間。ジョークをねだる子供。何気ない瞬間がとても鮮やか。『その雪と血』同様に静かで美しい。少し頼りない男がたどり着いた場所。結末に向かうと...続きを読む
  • その雪と血を
    ボスに依頼された人物を始末する殺し屋、オーラヴ。次の依頼は、ボスの妻を殺すこと。任務を遂行するためボスの家に赴いたオーラヴは、妻に一目惚れしてしまう…。
  • その雪と血を
    俺にはできないことが3つあると言って消去法的に殺し屋となった男が、殺さないという道を選んだことで得られた悲しい結末、あるいはハッピーエンドの物語。人にはそれぞれテーマがあってそのテーマに沿って人生は物語として再構成される。同じ事象を目の前にしても、個々人によっては見えているものも違えばその解釈も大き...続きを読む
  • その雪と血を
     翻訳ミステリの多国籍化がすっかり歓迎ムードになっている昨今。英米の小説よりももしかしたら売れ行きがいいのではないか、とさえ思わせる北欧ミステリの世界的な台頭はやはり目立つ。

     その中でも異色の作家ジョー・ネスボ。主人公の個性を大切にする傾向が強い北欧作家の中でも、強烈なオリジナリティを持たせるジ...続きを読む
  • その雪と血を
    好みな作品。愛と血と暴力が蠢き、始末屋の主人公の運命を翻弄する。
    ページ数が少ない為、駆け足で物語が進むのだが、これは極上なノワールだ。狂おしいほどに美しく叙情的。冷たい雪と深い闇が織りなす暗黒。

    裏切りと幻想。この2つ。突如訪れる展開で、ミステリーとしての美しさを兼ね合わせた、傑作だと気付くこと...続きを読む
  • その雪と血を
    ひゃー、これはこれは。。。見事!   
    あっぱれなパルプフィクション。あっぱれなクリスマスストーリー。
    この薄さで完璧。
  • その雪と血を
     タイトルと最初の3行で、もうどうしようもないくらいダメでバカでロマンチストな男の物語だと言うことが分かる。実にしょうがない悪党が、クリスマスにこんなに美しい物語を紡ぐなんて反則だ。ときめくじゃないか。
     クリスマスまでに読んで欲しい。
  • その雪と血を
    凍てつく夜の底、純白の雪に落ちた血は、王にのみ許される白貂のケープに散る斑のように黒い。短くて残酷な童話めいた北欧ノワール。解説の、本作が生まれた経緯が面白かった。薔薇はどのような名で呼んでも芳しいというが、これが違う名義で発表されていたら、どんなふうに読まれたのだろうか。イヴの朝、クリスマスツリー...続きを読む
  • 真夜中の太陽
    ジョー・ネスボさんを読むと、男とは何とアホでロマンチストな生き物なのかとあらためて思い知らされます。
    * *
    「ふり返らずに、前だけを見て。これからはそれがおれの生き方になる。背後に置いてきたものは、みなそのままでいい。」

    まるでモノクロ映画を観たような世界観。
    今回は子どものキャラにだいぶ癒され...続きを読む
  • その雪と血を
    表紙が印象的な一冊。海外ミステリーは苦手でしたが本書は一気読みでした。

    ザ・ハードボイルド。短い文章でさらっとした言い回しがたくさんあり、まるで詩のようです。
    例えば
    〈いい話というやつは、ありえないほどいい話だと、悪い話になることもある。〉
    キザな感じが好き嫌い分かれるかもしれませんが…。個人的...続きを読む
  • その雪と血を
    ハリー・ホーレ刑事シリーズと同じ作者だったので。

    主人公は殺し屋だが、おとぎ話のような、夢の中の物語のような。

    殺し屋というか、自己申告の通り「始末屋」といった方が適格だ。
    綿密な計画も知ら調べもなく、とりあえず殺す。
    冒頭の始末屋以外ができない理由を説明する箇所が印象的だった。

    目立たないよ...続きを読む
  • 真夜中の太陽
    過去作では「ザ・バット」が文句なしの面白さだったジョー・ネスボ。今作は長過ぎた   を反省するような、シンプルでドキドキさせて、なおかつ北欧風味もたっぷりという粋な小品。最後がハッピーエンドなのも、良い意味で期待を裏切ってくれたな。本作と兄弟関係にあるらしい話題作「その雪と血を」は未読だけど、相変わ...続きを読む
  • その雪と血を
    これはね、超切ない作品よ。
    殺し屋だけれども、女に乱暴を働く男が
    許せない男なの。
    それは自分の最初の殺しと関係するけど…

    それがゆえに本来の任務を逸脱し、
    ボスの息子を殺害してしまいます。
    結局根回しをして彼は
    対立組織を頼りますが…

    彼は結局、それがゆえに
    命を落とすことになるのです。
    残念...続きを読む
  • 真夜中の太陽
    宗教的にストイックな村と村人、その村で暮らし離れることが出来ない美しい母と息子、そこに外からやってきた男…ということで、『刑事ジョン・ブック』を思い出す。
    ストーリーとしては単純でオーソドックスだけど、キレも雰囲気もいいよね。ノルウエー極北の厳しい自然や寒さ、白夜も、舞台として効果が高い。
    そしてウ...続きを読む
  • その雪と血を
    ノルェー作家 もう、最初暗くて暗くて何度投げそうになったか でも177pと薄いので、意地でも読み終えてやると思ったら、あらら…最後の最後にあぁこうきたか ん〜上手いな 
    とてつもなく悲しく、美しいラスト 胸に沁み入りました この作家は日本人好みだと思う 
  • その雪と血を
    この主人公をレオ様がやるのか…なんかイメージが違うなぁ。
    ほんと、健さんだったわ「自分不器用ですから」って感じが。