鈴木透のレビュー一覧
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アメリカの食文化をその起源から歴史、現在そして未来まで考察する。画一的なファストフードだけでない多様なアメリカの食のなんと奥深いことか。
イギリスからの移民と原住民のインディアン、黒人奴隷さらにフランスやメキシコの影響とドイツからの移民、そんな人々の食文化の融合体がアメリカの食文化。
たとえばハンバーガーはひき肉、ピクルス、ケチャップがそれぞれ別々に発展してきたもの。
日本人には寿司のアメリカ進化版のカリフォルニアロールがイメージしやすいだろう。各国の食文化がいつの間に融合している。
こんな歴史とさらにファストフード、ヒッピー起源の自然食なんかが絡んだアメリカ食文化の通説史。
斬新な視 -
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アメリカ社会の状況がスポーツ(主に野球、アメフト、バスケ)に及ぼしてきた影響を論じる。
それぞれの時代背景が各競技の趨勢、運用、ルールなどの変更をもたらしてきたこと、「アメリカの謳う理想(建前)」に近づけるための動きなどがわかる。
アメフトやバスケの成立はもちろん、「トランプ現象」とプロレス(WWE)の類似性までが論じられる。
面白かったのは以下のもの。
20世紀初頭のアメリカンフットボールは、勝利のために手段を選ばずラフプレーを辞さない競技で、「1903年のアメリカンフットボールの試合での死者は年間で44人に達し」競技存続の危機だったと。
プリンストン大学のロースクールへの寄付を求められた -
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<目次>
序章 三つの記憶と一つの未来~アメリカ食文化史の見取り図
第1章 生き続ける非西洋の伝統~食に刻まれたアメリカの原風景
第2章 ファーストフードへの道~産業社会への移行と食の変革の功罪
第3章 ヒッピーたちの食文化革命~蘇生する健康志向とクレオール的創造力
第4章 ファーストフード帝国への挑戦~変わり始めた食の生産・流通・消費
終章 記憶から未来へ~新たなる冒険の始まり
<内容>
アメリカ文化の研究者による、食文化からのアプローチ。さまざまな食べ物のルーツが分って面白い。ハンバーガーやホットドッグ、チリコンカルネやスパム、ピザはなぜ宅配があるのか?コカ・コーラは薬? -
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アメリカという国を、「性」と「暴力」というふたつの補助線を捻り合わせて斬ることで、あらたな断面を提示することに成功している。新書というフォーマットにじつにマッチしているというか、広く深ーい考察がおもしろく読める。
たとえば、イラク戦争で、ジェシカ・リンチという英雄的な白人女性兵士を米軍が救出するというドラマが演じられた。もちろんこれは、兵士の士気を鼓舞し、銃後の支持を得るための茶番だったのだが。その原点には有色人種に白人女性が奪られるという恐怖の演出がある。
もとよりアメリカには、白人女性に手を出した黒人を吊すという「リンチの歴史」がある。リンチが表立っては行われなくなってからも、アメ -
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いかなる国家も、近代化の過程で暴力性が発露する。だが、アメリカにいたっては、建国後も、さまさざま社会矛盾が昂じて、その都度発露される暴力の連鎖に楔を打つことができなかった。その件に関して、丁寧な歴史解説が施されていく。
そして、「それほど矛盾を抱えた国が唯一の超大国として君臨できているのは何故か」という原理的問い、また「そんなアメリカという国と付き合うにはどうしたらいいのか」という遂行的な問いへのシフトが試みられている。
こういう弔い作業をきちっと果そうとするアメリカ研究者がいることに、なんだか深い安堵を感じた。そして何よりも、序説の副題として冠された「処女地の陵辱」というワーディ -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
唯一の超大国として、最も進んだ科学技術を誇るアメリカ。
だが、キリスト教の倫理観に縛られ、二億挺を超す銃が野放しにされるなど、「性」と「暴力」の問題については、前近代的な顔を持つ。
それはなぜか―。
この国の特異な成り立ちから繙き、現在、国家・世論を二分する、妊娠中絶、同性愛、異人種間結婚、銃規制、幼児虐待、環境差別、核の行使などの問題から、混迷を深めるいまのアメリカを浮き彫りにする。
[ 目次 ]
第1部 「性と暴力の特異国」の成立―植民地時代~一九六〇年代(「性の特異国」の軌跡 「暴力の特異国」への道)
第2部 現代アメリカの苦悩―一九七〇年代~(「性革命」が生んだ波紋 悪