あらすじ
野球、アメフト、バスケなどの母国アメリカ。国民が熱狂するこれらの競技は、民主主義とビジネスの両立への挑戦を体現している。人種、性の格差解消を先導する一方で、巨大化したプロスポーツでは、薬物汚染に加え、経営側の倫理が揺らぐ場面もある。大リーグの外国人選手獲得や、トランプ大統領とプロレスの関係は、現代アメリカの何を象徴するのか。スポーツで読む、超大国の成り立ちと現在。
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Posted by ブクログ
タイトルにあるとおり、アメリカのスポーツを扱っている本だが、アメリカの社会問題とスポーツがどのように関連していたのかについて書かれており、単なるスポーツの歴史にはとどまらない良書。
Posted by ブクログ
アメリカ社会の状況がスポーツ(主に野球、アメフト、バスケ)に及ぼしてきた影響を論じる。
それぞれの時代背景が各競技の趨勢、運用、ルールなどの変更をもたらしてきたこと、「アメリカの謳う理想(建前)」に近づけるための動きなどがわかる。
アメフトやバスケの成立はもちろん、「トランプ現象」とプロレス(WWE)の類似性までが論じられる。
面白かったのは以下のもの。
20世紀初頭のアメリカンフットボールは、勝利のために手段を選ばずラフプレーを辞さない競技で、「1903年のアメリカンフットボールの試合での死者は年間で44人に達し」競技存続の危機だったと。
プリンストン大学のロースクールへの寄付を求められたアンドリュー・カーネギーが「ローよりローイング。そうすれば学生がアメフトにうつつを抜かさないで済む」といって人口湖のカーネギー湖を造ったエピソードがある。
その竣工が1905年であるから、時期もピッタリだ。
で、そういったアメフトの「無政府状態」は、19世紀後半における自由放任主義経済の反映である。その「金ぴか時代」の申し子の一人がカーネギーであるので味わい深い。
Posted by ブクログ
アメリカで発展してきたスポーツにまつわる文化的背景、民主主義と拝金主義という観点からの視点や、人種差別とスポーツの発展など、歴史を振り返り、興味深く見つめた本。