平岡聡のレビュー一覧
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平岡聡(1960年~)氏は、佛教大学文学部卒、同大学大学院文学研究科博士課程満期退学、博士(文学)、京都文教大学学長を経て、京都文教大学教授。
本書は、書名の通り、浄土真宗宗祖の親鸞と曹洞宗宗祖の道元を比較しつつ論じたものである。
日本の仏教には、平安時代に誕生した天台宗と真言宗に加え、鎌倉時代に起源を持つ、浄土系の浄土宗、浄土真宗、時宗、禅系の臨済宗、曹洞宗、黄檗宗、そして日蓮宗と、多彩な宗派があるが、その中でも寺院数が多いのは、浄土真宗の約2万2千と曹洞宗の1万5千で、群を抜いている。また、それぞれの宗祖である親鸞と道元には、明治以降の著名な文化人が評価した(親鸞は倉田百三、吉川英治、亀井 -
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インド、中国、日本の三国における浄土思想の展開を概観している本です。日本にかんしては、大きな発展の見られない近世は省略される一方で、近代における動向についても簡単にではあるものの説明がなされています。
もちろん浄土思想を紹介することが本書のねらいですが、大乗仏教の成立や日本における仏教の受容についても一通りの説明がなされており、仏教についてなにも知らない読者が、とりあえず浄土思想にかんする全体像を把握することができるように書かれています。おおむね仏教学の研究者らしい客観的な解説とみなすことができますが、「はじめに」で著者が述べているように、法然によって理解された浄土教の「選択」の思想が、大き -
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鎌倉仏教の祖師である栄西、道元、法然、親鸞、日蓮、一遍の思想を解説している本です。
著者はまず、黒田俊雄の「顕密体制論」を紹介し、旧仏教対新仏教というかつて支配的だった鎌倉仏教の理解の枠組みをあらため、鎌倉仏教の諸宗派を「正統」に対する「異端」として規定します。
そのうえで著者は、鎌倉仏教の祖師たちのほとんどが比叡山で仏教を学んだことに目を向けます。天台宗の「一仏乗」や、真言宗の「九顕十密」という思想は、最澄や空海の総合主義的な立場を端的に表現しています。鎌倉仏教の祖師たちは、そうした総合的な仏教を学んだうえで、「専修」の道を切り開いたのです。それゆえ、「専修」は「末端の行の一つ」(one