デイヴィッド イーグルマンのレビュー一覧
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ネタバレ脳の可能性を開拓し続ける超名著。
ディキンソンは「僕たちの脳は空よりも広い」なんて言ったわけだけど、まさしくそれを実感できる一冊でした。
『生物と無生物のあいだ』で福岡氏は、「生命とはなにか?」に対して「それは動的平衡にある流れである」と答えた。つまり、必須と思われている機能ですら無いなら無いなりになんとかするのが生物だってわけだな。
本書はそれを脳科学的に証明していて、脳はこの能力が特に強いというのが仮説の一つになる。脳が半分になったって、日常生活を変わらず遅れる人がいるのはそれが理由だ。
特に面白いのが、多くの人が学習しているパターン以外にも、脳は独自のパターン分けが出来るという部分かな。人工内耳やエコーロケーション、触覚系など、脳は勝手に学んで世界を理解できる形で整理してしまう。
そうした意味を含めて、脳は「ライブワイヤード(絶えず自らを改造する)」装置なのだと筆者は語る。難しい言葉になってるけど、つまり可塑性が高いのが脳ってことだな。
ああ、あと夢を見る理由に、睡眠を取らなくてはならない生物が、視野の脳領域を確保するため(他の感覚装置に領域を取られたくないため)というのは結構新しい視点だった。真偽はどうであれ、過去の記憶の整理よりは納得できる説だと思うかな。 -
Posted by ブクログ
これまでの考え方を変えてくれる良書 私たちが自分だと思っているもの(意識)は、自分の全体の中のごく一部であって、残りの大部分は水面下に隠れていて意識に上がらない、高度に自動化されたプログラム(無意識)で処理されている。
そして意識はそこにアクセスできない。極めて重要なためアクセスするとうまくいかなくなる。
自分の見聞きするもの、やること、考えることすらも預かり知らない脳の活動で決まる!
やろうと考える前から神経伝達が起こっている→意識が動かしているのではなく、自動プログラムの神経伝達によってやろうと言う考えが浮かんでいる!
盲点の試しが印象的! 黒点や穴が見えるのではなく、脳が作った背景が見える→脳のプログラムに見せられているだけ!
脳の中の様々な意見の対立によって、最終的な意見が決まり、自分が変わる。それを調整するのが意識であり、マウスなどはそれができないので意識は無いと考えられる。
それらの異なる意見は全て、本当の自分!→多重人格
還元主義(大きいものは全て小さな要素に分けることによって理解できる。)では、脳と心の関係を説明できない。それは創発特性(たくさんのパーツと要素を組み立てると、新たな特性を持つ)による。
→心はパーツの完全性に左右はされるが、パーツと「同格」ではない。
脳は外部環境や社会と相互影響をうけている→私たちの定義はどこからどこまでなのか? その濃度の最も高い脳は、山頂であって山全体ではない。
脳はラジオのようなもの。よそからの信号を拾っている受信機であって、そうするためには神経回路が整っている必要がある、という可能性がある。
人間は、遺伝と環境の両方によって形成される。自分では選べず、カードが配られるだけ。
脳により人格は形成され、化学物質のやりとりで全て決まる。
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Posted by ブクログ
難しい内容を下手にカタカナ言葉を使わずにわかり易く書いている。
幻視、疾病失認なる症状を例から理解出来た。し、全く違うことではあるが自分の思考パターン、物の見方を振り返るきっかけにもなった。
脳の構造、癖を識ることは日本で言えば刑法39条さらに人工知能などを知る上では必要な内容ではないか。
”脳の回路について発見が増えれば増えるほど、答えは甘えや意欲の欠如や自制心の不足に対する非難から遠ざかる”
これ、それでもわからない人にはわからないんだと思う。
てんかんが悪魔の憑依ではなくなったのは良いけど、歴史上の勇敢な行いも病気とされるのは正しい事実なのかもだけど悩ましい。 -
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脳には、可塑性と言って、一生にわたって変化し続けるような性質があることは、知ってはいたけれど、この本を読むまで、そこまでダイナミックなものなのだとは思っていなかった。
本書に出てくる事例として、例えば、脳が半分だけになったとしても、人間の脳は、半分の領域の中で必要な回路を作り、日常生活にやや不便はあるものの、問題なく生活できるようになった人や、耳の聞こえない人のために、音に反応して皮膚を刺激するベストによって、やがて、脳は、皮膚の刺激によって「聞く」ことができるように変わっていく事例などが上げられている。
人間の脳は、あらかじめ、生まれながらに機能や回路が決まっているのではなく、
必要最低限の機能のみインプットされた状態で生まれ、自分の行動や周りからの影響によって、常に回路を書き換え、変化していく(筆者の言葉では「ライブワイヤードな」)ものである。
本書は、読みながら、とてもワクワクとさせてくれる、脳とテクノロジーの可能性の素晴らしさを見せてくれる本だった。 -
Posted by ブクログ
脳の常識がひっくり返った!
脳っていうと、左脳が論理や言語、右脳が直感をつかさどり、大脳皮質には言語野や視覚野など部位によって機能分担されている…ここまでは概ね合っているが、だとすると、それぞれの部位は、眼、耳、肌などそれぞれの器官と繫がって、それぞれの信号を処理する構造ができている…と思ってしまう。
これが何と大間違いで、どんな信号をどこでどう処理するかはハードコートされていない、成長した後でも変化することができるのだ。例えば、後天的に視力を失った人が、光学センサを肌につけて、触覚信号として脳に送ることで、視覚として認識できるようになることが既に実用化されている。触覚なので、視覚野では処理しないし、目からの化学反応とは別種別パターンの信号にも関わらず、である。
本書では、それをライブワイヤードと名付け、地球の誕生から長年を経て最適な構造に進化するために必然的なアーキテクチャだとする。
ライブワイヤードを仮定すると、上記の感覚代行(視覚以外が視覚の役割を担う)からさらに進み、遠隔の物質を体のように操作する身体拡張や、赤外線や地磁気を五感のように感知する感覚追加など、SFでしかなかったものが意外と近く実現できそうである。
また、ハードウェアについても、バイオミミクリーはこれまでも成果が上がっているが、可塑性を取り入れると進化のスピード、適応力、資源効率性が大きく向上する。クルマ、建物、宇宙探索マシンをライブワイヤードにすると、未来は我々の想像を超えてゆく。
このように、未来への期待が広がり、医療を進化させ、設計思想にも役立つ。新しい何かを作る人、多くに読んでほしい。
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Posted by ブクログ
脳は暗い頭蓋骨の中で、感覚器から届く情報だけを頼りにしている。視覚、嗅覚、触覚いずれの感覚も脳にとっては情報でしかない。その情報がどういう意味を持っているのかを探って理解するのが脳の役目。情報を読み解いて、最適な状態になるように脳の配線を常に変えているという。
例えば、目隠しをして60分程度過ごすだけで、耳の感覚が増すらしい。脳は眼からの情報が入ってこなくなったことで、眼に使われていたリソースを別の感覚に割り振った。たった1時間でこの現象が起きていることに驚かされる。
この他にもたくさんの脳の驚異と可能性について書かれていて、すべての経験は脳に影響していると理解し、いかに脳を育てていくか日々考えて過ごそうと思った。 -
Posted by ブクログ
脳は汎用機。どんなセンサー・入力メディアからの情報も的確に処理し、出力できるという「ポテトヘッド」理論が面白かった。視覚も聴覚も、網膜や内耳で外部情報を受けた後、体内をめぐる電気信号は、脳にとって同じ。視覚がなくても、触覚、聴覚で映像をイメージできる。いままでコウモリとか深海魚とか、目が見えないのに、どうやって?って思っていたけど、少し理解できた気がしました。
それと、犬など色覚もイメージできるようになるというのも驚きました。
脳でロボットアームスを遠隔操作できるとか。。「攻殻機動隊2045」で描かれているのと同じ世界。。やはり、カラダ(入力・出力)は消えて、脳(意識)が生き残るのでしょうか。。このあたりは、先日読んだ長沼伸一郎先生の「世界史の構造的理解」に、カプセルに入ってストレスなく暮らす未来像が描かれていましたが、そこに近いのかも。
また、これも最近読んだ才能の科学に出てきたチェスのボルガー姉妹、テニスのヴィーナス姉妹の話も出てきてました。 -
Posted by ブクログ
すこぶるおもしろい!そして、有益と言えるだろう。
脳の持つ「可能性」についての新しい知見をいくつも紹介されている。AIは人間の脳を模倣するところから開発がなされるが「脳の構造」「脳の働き」「脳に対する捉え方」などがかつて無い新し研究が出てきている。シンギュラリティの実現はある意味遠のくという状況かもしれない。
本書の中で「感覚追加」という概念が紹介されていた。人間の脳の「潜在的能力」である。今まで考えられていなかった能力が脳には存在するとの説。5感までは理解されおり研究も進んできた。第6感という概念も馴染みだが、感覚追加という夢の話が現実のものとなるという紹介。
それに関連して身体の一部を失った人がその部分を司る脳の部分を別の機能に譲ることで新しい能力を得ることが紹介されている。視力を失った人が視覚野を聴力に渡すことで目の見える人が得ることのできない聴力を活用する能力を得るという紹介など...
(この著者の本は次が出たら是非とも読んでみたい) -
Posted by ブクログ
ネタバレ私たちは意識に基づいて、意思決定していると思い込んでいる。しかし、実際には意識というのは、脳が超高速で複雑な処理をして出力された結果に過ぎない。
脳は五感に基づいて経験を豊かにする。しかし、その一つが欠けたとすると、その瞬間に世界は今までより豊かでなくなる。そこで、感覚代行というものがあり、視覚が失われた人が触覚を通じて世界を理解することが可能になる。途方もない腦の学習が必要になるが、言語感覚で理解できるようなるらしい。
私たちの営みにはアクセスできない。理性と本能という二つの背反するグループが私たちの意思決定に大きく関わっている。どちらの意見が取り入れられるかはその時々の状況による。神経脳科学を駆使して私たちの脳を解明していくが、最近では法学にも関係性が出てきた。
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この本の素晴らしさは(訳者あとがきでも触れられているとおりなのですが、)「脳って不思議でおもしろいですね~」で、終わらないところにあると思います。
錯覚や認知バイアスを説明するコンテンツは多くありますが、それらは「ある」と知り意識してもなお、逃れることができないから困るし不思議なんですよね。本書はそれこそが『意識は傍観者である』ためだと言います。我々が自分で判断したと思っているもの、いやそれ以前に確かにこの目で見たと思っているものすら、1,300gのプヨプヨした臓器の中で作り出された単なる幻影であり、我々の「意識」は、それが万端にできあがってから、まるで新聞のように受け取っているだけ。なんともショッキングな話ですが、それを裏付ける実験や調査、事故事象が豊富に紹介されています。どれ一つを取っても驚くエピソードで、面白いです。
そして筆者はその見地から、現代の犯罪と法律に切り込みます。これは非常に考えさせられる問題提起であり、ぜひ読んで頂きたいです。 -
Posted by ブクログ
ここ数年で一番興味深い本であり、是非一度手に取ってみて欲しい。一見、難しそうな内容であるものの、和訳もわかりやすく、読み進めると非常に衝撃的だ。
合わせて、ハヤカワノンフィクションの『ファスト&スロー』ダニエル・キイス文庫『24人のビリーミリガン』も読みたい。
あらゆる行動は、自分自身で決断していると思いがちであるも、過去人類の遥か祖先から踏襲した遺伝子の型と、生まれて以来蓄積されて来た経験、膨大なデータに対し、そのごく一部にアクセスすることが出来るだけであり、それを無意識のうちに選択した結果と言うこと。
その膨大な遺伝子、経験は通常、意識することなく脳に蓄積されているのだと。
(トラウマの正体であり、夢を見る原因であり、酒を飲むと素面では言わないような事を口走る理由...)
『すべての大人には正しい選択をする同じ能力があると考えたがる人が多い。すてきな考えだが間違っている。
脳は人によってまったくちがうものになりうるー―遺伝だけではなく育った環境にも影響されるのだ。』
『私たちには自分の行動、動機、さらには信念を、選択したり説明したりする能力はほとんどなく、舵を取っているのは、無数の世代にわたる進化的淘汰と生涯の経験によってつくり上げられた無意識の脳である。』
どうやら、遺伝子の型を調べればその人の不倫のしやすさ、凶悪犯罪の可能性等の行動パターンを類推することが可能でもあるようだ。