マイケル ロボサムのレビュー一覧

  • 天使の傷 下

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    ネタバレ

    前作は事件というサブストーリーと、エンジェルフェイスというメインストーリーがどっちつかずな感じで長々とした前日譚だったのだけど、今作はメインストーリーのみの構造。高まる緊迫感、中だるみなし、素晴らしかった。

    0
    2025年10月09日
  • 天使の傷 下

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    イーヴィはこの物語そのものだった

    『天使と嘘』『天使の傷』上下巻合わせて4冊の長い物語で、この下巻こそイーヴィそのものであり、ミステリーの核心だった

    テーマ自体は北欧ミステリーによく出てくるが、これはそれらの社会問題を提起する物語にとどまっておらず、純粋に人の心を動かす

    エンディングは悲しい
    この方法しかないことが悲しい

    でも、イーヴィはきっと乗り越える

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    2025年04月06日
  • 天使と嘘 下

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    人の心は所詮は脳内の電気信号が生み出す“気のせい”って、誰かが言ってた……

    臨床心理士サイラスは、未来のオリンピアンと期待視されたフィギュアスケーターの少女殺害事件の真相を追う。一方で、謎に包まれた少女を自分の過去の出来事と重ね合わせて、関わっていく。

    この少女イーヴィは、初期の『ミレニアム』のリスベットにちょっと似ている、が、スーパーレディにはなりそうも無い。

    『生か死か』同様に登場人物の人間模様がよく描かれていて、夢中になって読んでしまった。

    続き、いきましょう
    だってイーヴィの謎知りたいし〜

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    2025年04月03日
  • 天使の傷 下

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    最後の結末(?)はイーヴィーが誘導したのか?と思うような衝撃的な結末だった。
    殺されて当然だけど、もう少し引っ張ってほしかったし、なんならサイラスが捕まえて司法で裁かれてほしかったけど、こういう結末も悪くないのかもしれない。
    それにしてもサイラスとイーヴィーは大好きバディ。ドラマ化するならしてほしい〜

    0
    2024年03月06日
  • 天使と嘘 下

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    まさか犯人がこの人か…と思わなかった結末。
    最後までハラハラさせてくれる作品だった。
    サイラスとイーヴィーのこの後がとても気になる。

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    2024年01月10日
  • 天使と嘘 上

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    想像上のサイラスは中肉中背のイカしていない臨床心理士かと思ったが、身体を鍛えたりしていたり、全身にタトゥーが入っているので少し俗っぽい感じなのかも。
    イーヴィーは17歳のカルテのアンジーっぽい容姿かな。
    ジャケ読みだったけど、面白い作品に出会えて良かった。

    0
    2023年12月29日
  • 天使と嘘 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    サイラスが18才になるまで里親として引き受けてくれたというのに、
    サイラスの捜査に協力しようと思ったことを怒られ、
    逃げ出してしまうイーヴィ。
    嘘を見破る能力を生かしてポーカーでは勝つが、
    金は取られてしまう。
    そんなイーヴィを運び屋としてスカウトしたのが、
    殺された少女の兄なのはちょっとできすぎ。

    被害者が妊娠しており、父親が被害者のおじだとわかった時に、
    これはひっかけだな、と感じだ。
    殺人事件は解決したが、イーヴィの過去は未解決。

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    2023年06月13日
  • 天使と嘘 上

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    ネタバレ

    「哀惜」の後ろの広告で見て。

    どうして人は、特殊な才能を持つ人間に引き付けられるのだろう。
    ミレニアムのリスベットしかり、
    「ストーンサークルの殺人」のティリーしかり。
    いや、キャロル・オコンネルのマロリーや
    ジェフリー・ディーヴァーのキャサリン・ダンスには、
    それほど惹かれないので、
    この作品のイーヴィの魅力はそれだけではないらしい。

    イーヴィは嘘を見破る少女。
    ある民家の隠し部屋に隠れていたのを発見され、
    エンジェル・フェイスと名付けられた。
    いろいろな調査にもかかわらず、身元は特定できず、
    問題のある子供たちの養護施設で自称18歳を迎えようとしていた。

    もう一人の主人公のサイラスも、
    兄によって両親と双子の妹たちを殺された壮絶な過去を持つの臨床心理士。
    イーヴィがいる養護施設で職員をしている大学時代の同級生に頼まれ、
    彼女に会う。
    サイラスは警察の捜査にも協力していて、
    アイススケートのチャンピオンの女子中学生が殺された事件も追っていく。

    (下巻へ続く)

    0
    2023年06月13日
  • 生か、死か

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    人を溺れさせる仕組み
    「金と権力」。この物語は検事、警察、FBIが結託し、現金輸送強奪襲撃事件の真相証拠書類を改竄、不利となる確たる証拠を隠滅させ莫大な金を奪い取ったミステリー事件だ。その裏には大金を隠し持ったという嘘を仕立てられ犠牲者(犯罪者)となり10年の投獄を科せらる。だが、最後の日の前日に脱獄する。背景には家族と金が絡む。人は時代が変わっても「金と権力」には弱い。現代、世を創る、守る側がその一端に加担するケースが多く、世間に告発する者がいない限り闇の中だ。政治家を含め暗黒の世界に足を入れた者は永遠に安楽な夢は見ることができないだろう。

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    2022年11月13日
  • 天使の傷 上

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    「天使と嘘」のサイラスとイーヴィが主人公の第2弾。イーヴィの過去が明らかにされつつ中で、謎の男からの魔の手が迫る。読み易さに加えて展開の速さにページを捲る手が止まらなかった。
    ハラハラドキドキで、早く下巻が読みたい。

    0
    2022年05月04日
  • 天使の傷 下

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     あまり日本では翻訳されていないのだが、どの作品も外れなし。オーストリア人だがイギリス在住経験もある著者ロボサムは、北欧ミステリーにも似たキャラクター中心の決め細かさを備えた文句なしにおススメ作家である。このレベルで安定して走り抜けている作家なので、本来もっと読まれる需要はあるはず。未訳作品の日本市場での販促は本邦の出版社一同に、是非とも加速化して頂きたい。

     さて本書は前作『天使の嘘』シリーズの続編である。前作では特異極まりないヒロイン。嘘を見破る特殊な能力を持つイーヴィ。死体と一緒の塒で生き残っていたのを幼児の時に発見された出生不明の少女イーヴィーの魅力と謎の部分は、本作である程度解明されてゆくことになる。

     無論、イーヴィとのコンビであるサイラス。家族全員を狂気の兄に殺害された無残な事件の生き残りであり、臨床心理士であるサイラス。彼の造形も本作ではまた深まってゆく一冊となっている。前作読者であれば垂涎ものの何とも楽しみな一冊である。

     例によってイーヴィとサイラスという二人の語り手による物語運びは前作同様、巻置く能わずのリーダビリティ。何より生を求める傷ついた二つの心の成長の物語であり、愛を求める彷徨のドラマであるように見える。熱さでいっぱいの魂の叙事詩だ。

     特に最終章は、泣けること請け合い。三作目続編もあるとのことだが、ここまでの二人の主人公の過去を清算に運び込む物語は、本作までの二作で、一端完結する。ただ、ここまで魅力的な二人の主人公をここで使い捨てしてしまうのもなかなかもったいない。これだけのオリジナリティを持った印象的なキャラクターはそうそうないはずである。

     なのでシリーズ続編という三作目も、首を長くして待ちたいと思う。また本主役コンビのみならず、未読独立作品もこの作家は是非読まねば。ロボサム、の名は、ぼくの熱気の中核に、永遠に刻み込まれてしまったと思う。

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    2022年04月20日
  • 天使の傷 上

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     あまり日本では翻訳されていないのだが、どの作品も外れなし。オーストリア人だがイギリス在住経験もある著者ロボサムは、北欧ミステリーにも似たキャラクター中心の決め細かさを備えた文句なしにおススメ作家である。このレベルで安定して走り抜けている作家なので、本来もっと読まれる需要はあるはず。未訳作品の日本市場での販促は本邦の出版社一同に、是非とも加速化して頂きたい。

     さて本書は前作『天使の嘘』シリーズの続編である。前作では特異極まりないヒロイン。嘘を見破る特殊な能力を持つイーヴィ。死体と一緒の塒で生き残っていたのを幼児の時に発見された出生不明の少女イーヴィーの魅力と謎の部分は、本作である程度解明されてゆくことになる。

     無論、イーヴィとのコンビであるサイラス。家族全員を狂気の兄に殺害された無残な事件の生き残りであり、臨床心理士であるサイラス。彼の造形も本作ではまた深まってゆく一冊となっている。前作読者であれば垂涎ものの何とも楽しみな一冊である。

     例によってイーヴィとサイラスという二人の語り手による物語運びは前作同様、巻置く能わずのリーダビリティ。何より生を求める傷ついた二つの心の成長の物語であり、愛を求める彷徨のドラマであるように見える。熱さでいっぱいの魂の叙事詩だ。

     特に最終章は、泣けること請け合い。三作目続編もあるとのことだが、ここまでの二人の主人公の過去を清算に運び込む物語は、本作までの二作で、一端完結する。ただ、ここまで魅力的な二人の主人公をここで使い捨てしてしまうのもなかなかもったいない。これだけのオリジナリティを持った印象的なキャラクターはそうそうないはずである。

     なのでシリーズ続編という三作目も、首を長くして待ちたいと思う。また本主役コンビのみならず、未読独立作品もこの作家は是非読まねば。ロボサム、の名は、ぼくの熱気の中核に、永遠に刻み込まれてしまったと思う。

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    2022年04月20日
  • 生か、死か

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    刑務所入りする原因となった現金強奪事件の真相がじわじわと浮かび上がってくる過程が見事。それとともに何故釈放1日前に脱獄しなければならなかったのかという理由にも一応納得。さすがCWA賞。
    主人公オーディがあまりにも鉄人すぎるのも、安心して読める要素の一つ。

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    2022年03月28日
  • 天使と嘘 下

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     実力派作家にも拘わらず日本での翻訳は不遇をかこつ実力派作家、マイケル・ロボサムの新訳が、魅力的なキャラクター・コンビを引き連れて登場した。

     嘘を見抜く能力を持つ少女、イーヴィ・コーマック。拷問を受けて殺された謎の人物テリーの死体とともに発見された少女、新聞ではエンジェル・フェイスの呼び名で知られた少女。

     本書では、少女スケーターが殺害された事件がメイン・ストーリーである。証拠を遺した性犯罪者がすぐに容疑者として逮捕されるが、家族や親族間という狭い世界で未成年の男女たちが複雑に絡む謎多い事件として、臨床心理士のサイラス・ヘイヴンが真相究明に乗り出す。

     サイラスもまた凄惨な過去の記憶を持つ。両親と妹二人を殺害したのはサイラスの兄。サイラスは唯一の事件の目撃者として生き残ったのだ。女性警部レニーは、彼の臨床心理士としての能力を高く買っており、事件の捜査に対する強固な信頼関係が既にできている。

     本書の事件では、サイラスが、イーヴィという人間嘘発見器と出会うことで、二人のコンビらしき体制を作りつつ、事件の謎を究明に当たるという骨組みである。現事件を追いながら二人それぞれの過去がプロット全体に黒い影を落としているところは、まさに本書の読みどころであり、魅力である。

     スピーディな展開と、二人の独白で交互に綴られる読みやすい文体。あまりに個性的な二人の主人公のコントラストと、彼らの人間の心に迫る独自な捜査が、読者の心拍を上げる。これほどのページターナーはあまり経験がない、と言いたくなるほどだ。

     事件の向こうに見え隠れする複雑な人間関係と、真相の追求という課題を抱えながら、二人は、それぞれの自身の過去とどう折り合いをつけてゆくか、という私的命題にもまた挑んでゆく。性別も年齢も異なりながら、彷徨う二つ魂たちの葛藤と心の繋がりとが、作品に温かく流れる血のようで、魅力的である。

     この作品では、絡み合う迷路の向こうに予想外の真実を見出すのだが、イーヴィの思わせぶりな過去の体験については、二人のシリーズとして、改めて次作に持ち越されるそうである。キャラクター造形だけで大成功と言いたい本作なのだが、やはりイーヴィの真実を知りたい気持ちが心を捉えてならない。次作が早くも待ち望まれる。

     マイケル・ロボサムは、オーストラリア人作家でありながら、前作『生か、死か』ではアメリカを、本作ではイギリス、ノッティンガムを舞台に描き、堂々ゴールドダガー賞の複数受賞という快挙を遂げた。ヒーロー、ヒロインのみならず作家そのものも怪物みたいである。

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    2021年10月02日
  • 天使と嘘 上

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     実力派作家にも拘わらず日本での翻訳は不遇をかこつ実力派作家、マイケル・ロボサムの新訳が、魅力的なキャラクター・コンビを引き連れて登場した。

     嘘を見抜く能力を持つ少女、イーヴィ・コーマック。拷問を受けて殺された謎の人物テリーの死体とともに発見された少女、新聞ではエンジェル・フェイスの呼び名で知られた少女。

     本書では、少女スケーターが殺害された事件がメイン・ストーリーである。証拠を遺した性犯罪者がすぐに容疑者として逮捕されるが、家族や親族間という狭い世界で未成年の男女たちが複雑に絡む謎多い事件として、臨床心理士のサイラス・ヘイヴンが真相究明に乗り出す。

     サイラスもまた凄惨な過去の記憶を持つ。両親と妹二人を殺害したのはサイラスの兄。サイラスは唯一の事件の目撃者として生き残ったのだ。女性警部レニーは、彼の臨床心理士としての能力を高く買っており、事件の捜査に対する強固な信頼関係が既にできている。

     本書の事件では、サイラスが、イーヴィという人間嘘発見器と出会うことで、二人のコンビらしき体制を作りつつ、事件の謎を究明に当たるという骨組みである。現事件を追いながら二人それぞれの過去がプロット全体に黒い影を落としているところは、まさに本書の読みどころであり、魅力である。

     スピーディな展開と、二人の独白で交互に綴られる読みやすい文体。あまりに個性的な二人の主人公のコントラストと、彼らの人間の心に迫る独自な捜査が、読者の心拍を上げる。これほどのページターナーはあまり経験がない、と言いたくなるほどだ。

     事件の向こうに見え隠れする複雑な人間関係と、真相の追求という課題を抱えながら、二人は、それぞれの自身の過去とどう折り合いをつけてゆくか、という私的命題にもまた挑んでゆく。性別も年齢も異なりながら、彷徨う二つ魂たちの葛藤と心の繋がりとが、作品に温かく流れる血のようで、魅力的である。

     この作品では、絡み合う迷路の向こうに予想外の真実を見出すのだが、イーヴィの思わせぶりな過去の体験については、二人のシリーズとして、改めて次作に持ち越されるそうである。キャラクター造形だけで大成功と言いたい本作なのだが、やはりイーヴィの真実を知りたい気持ちが心を捉えてならない。次作が早くも待ち望まれる。

     マイケル・ロボサムは、オーストラリア人作家でありながら、前作『生か、死か』ではアメリカを、本作ではイギリス、ノッティンガムを舞台に描き、堂々ゴールドダガー賞の複数受賞という快挙を遂げた。ヒーロー、ヒロインのみならず作家そのものも怪物みたいである。

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    2021年10月02日
  • 天使と嘘 上

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    心の傷を負った少女と心理学者の話。少女には人の心を読める力があるようだ。
    里子にして心を開く初めた矢先に急転回。
    心の傷は治らないのだろうか?

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    2021年08月10日
  • 天使と嘘 下

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    次々候補に上がってくる一癖も二癖もある容疑者達
    被害者の裏で絡み合う欲望 浮かぶ矛盾
    上巻から引き続き悪い方向へとその身を転がしていくイーヴィ
    冷たい、閉ざされた心
    ようやく届いたサイラスの無償の愛 その瞬間に涙
    芽生える新たな感情
    巧みな心理描写にやきもき 
    大人なサイラス 子供なイーヴィ 異なる視点と語り口が面白い
    トリックの部分はああなるほどと感心したけど個人的にはもう事件どうこうよりサイラスとイーヴィがただひたすら上手くいってほしいと見守っていた感
    まだ明かされなかったイーヴィの過去 続編待ち
     

    0
    2021年06月27日
  • 生か、死か

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    出所を翌日に控えた男が刑務所から脱走する。不可解な行動の背景から浮かび上がってきたのは、かなわなかった過去の夢と闇に葬られたはずの強盗事件の真相だった。現在と過去の出来事が不規則に記述されながらまったく戸惑わされることなくサスペンスを高め、救いようがない悲劇の先に覗くわずかな曙光が眩しい。

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    2017年01月22日
  • 生か、死か

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     ニュージーランドの作家ベン・サンダースが地元ニュージーランドのシリーズから離れ、アメリカを舞台にした作品『アメリカン・ブラッド』でブレイクしたと同様に、オーストラリア生まれの作家マイケル・ロボサムは、永く住んだイギリスを舞台にしたシリーズから離れ、アメリカを舞台にしたこの作品で何ともはや、ゴールド・ダガー賞(英国推理作家協会賞)を勝ち得てしまった。

     二冊の外国人によるアメリカの小説を立て続けに読んでしまったために、ぼくの中で混乱が起きているのは、どちらも三人の目線を主として書かれた小説であり、その一人は女性刑事、どちらも正悪入り乱れ、バイオレンスとサスペンスに満ちた伏線だらけの作品であるからだ。

     『アメリカン・ブラッド』は二十代新進作家の若さに満ち溢れたラップテンポとでも呼べるリズミカル作品にウエスタン・ヒーローを配した娯楽作品であるのに対し、本書『生か死か』は、じっくりとスロウテンポで描かれながら、圧倒的な謎の深さで勝負する正統派ミステリであり、同時に純文学的描写力ですら読みごたえを感じさせる重厚無比な大作である。

     刑期満了し明日は出獄を迎えた日に敢えて脱走したオーディという主人公像そのものが本書最大のミステリだ。その同僚であったモスは刑務所長により特例で釈放され、オーディの後を追う。さらにFBIの女性捜査官デジレーが別の角度から事件の真相に関わってゆくというトライアングルな視点で、本書は年月を超えた謎の気配を満たしたまま大河のように流れてゆく。

     その中で過去の罪を隠蔽しようと現代に悪の手を再び振り上げようとしている権力社会に潜んだ一派らしき存在が次第に見えてくる。罪深い罠にかけられた無罪の主人公こそオーディであるのか? 多彩な登場人物が繰り広げる神話のような物語はどこでどう繋がってゆくのか? 迷宮を歩く不安と謎への探求心がページを否応なく繰らせてゆくパワフルなミステリ。

     だからこその受賞である。イギリスを舞台とした臨床心理士ジョー・オローリンのシリーズ、またはそのスピンオフ作品も多く書いてきた作家である。日本語翻訳作品はオローリン・シリーズ第一作『容疑者』のみとなるが、今後注目を集める作家のひとりとなるのに違いない。良い作家と出会えた幸運を感じさせられる。

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    2017年01月07日
  • 生か、死か

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    ネタバレ

    10年の刑に服してた男が出所日の前日に脱獄、何故?
    この掴みで一気に物語に引き付けられる。主人公、主人公を追うために出所させられた同房の男、事件を追うFBI職員、この3人の視点で物語が多角的に描かれる。
    それも現在の逃亡劇だけでなく、過去主人公が起こしたとされる現金強奪事件の真相を徐々に明らかにしていく展開は見事で、後半一気に謎が解けラストになだれ込む緊迫感の盛り上げ方はうまい。
    さらには、横糸となる主人公と最愛の女性、その息子、逃亡中に知り合う女性と娘との関わりなど、ドラマ部分もしっかり出来ているので感情も移入できる。
    文章も描きこみがしっかり出来ていて、マイケル・ロブサムという人は初めて読んだが抜群の出来。
    こんな練り上げられた作品を読むと日本の作家の粗製乱造ぶりが嘆かわしい。

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    2016年12月29日