安倍夜郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大学生のとき、駅前のスパゲティ屋の常連を気取っていた。
学生のたまり場で、サークルの先輩たちも足繁く通っていたから、そこに行けば誰かしら知った顔があった。
学食よりもちょっと上等で、洒落たメニューがあり、いつもジャズが流れていた。春にはいちごのケーキが黒板のメニューに追加されるけれどいつもあるとは限らず、行ったときに「ありますよ!」と言われれば「ラッキー!」と必ずオーダーした。
深夜から朝方にかけて開いている「深夜食堂」。
頼めば大概のものは、つくってもらえるようで。
大食漢の女子やら、人生経験豊富なゲイバーのママ、仕事を終えた人たちがちょっぴり心に屈折を抱えてやってくる。
客はカウンターに座って、マスターに注文する。空腹を満たすために食べる。けれど、それだけじゃない。
食べて、しゃべって、マスターやカウンターの客たちに相槌をうたれ、背負っていたものを少しだけ降ろして、少し元気になる。
常連さんはもちろん、初めての客にも居心地はいいようで。
みんな来た時よりも元気になって、いい顔をして帰っていく。中には、深刻な問題に苦しんだり、失恋したり哀しみを抱える人たちもいるけれど、それでも、食べてお腹がふくれれば、明日に向かう意欲も湧いてくるというもの。
くだんのスパゲティ屋のケーキ、春になっていちごを見かけるようになると思い出す。今どきのケーキのように洒落て洗練されたものではなかった。いかにもお母さんが子供に焼いてくれような素人っぽいもので奥さんの手作り。ふわふわだけどどっしりと重たく大きくて、子どもの時に誰かの誕生日会でだされたもののような懐かしさと素朴なおいしさがあり、人気だった。
「食べる」という行為は空腹を満たしたいという欲求に、味覚と感情、思い出、一緒にテーブルを囲む人との会話、場所や雰囲気、いろいろなことが合わさって精神的に満たされるということを同時に望んでいるものなんだと改めて思う。 -
Posted by ブクログ
ひとみちゃんの顔色の悪さが心配なこの巻。
男にだらしないのも含め、優しくていい子だと思うんだが、この巻は不幸だった。見返りはせいぜいあったかさが欲しいだけの彼女に対してあれはなあー。
この前後あわせて、男どもの勝手さにほろ苦い気分になったので、缶詰のピュアラブストーリーにほっとした。
まさにヒロイン描く少女漫画でかわいい。貧乏くさいけど、缶詰メシは美味しいようにみえる。辛子ツナマヨごはんとか。
春代さんとか、八千代さんとか、いい女ゲストが多かったのがうれしい。
特に八千代さんがステキ。
江戸っ子で粋で気風がいい。また出てきて欲しい。
アジの開きの落ちはすごかったけど(笑)
この巻は初期の焼き直しというようなネタが多い。
父と娘、師匠と弟子、反抗して親と離れて性産業で大家になった息子とその親。
普遍的なテーマだからだろう、象徴する食べ物はどちらも納得だ。
最初はあんまり美味しいように見えなかった食堂メシがなんだか、食べたくなってくる。