吉岡暁のレビュー一覧

  • サンマイ崩れ

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    翻訳会社を経営する著者が余暇の時間を使って書いた短編が第13回日本ホラー小説短編賞を受賞。なかなかの傑作だった。
    題作の『サンマイ崩れ』:パニック障害と離人症で3度目の自主入院中だった23歳の主人公が、紀伊半島を襲った集中豪雨と山崩れで過疎集落が孤立したとの知らせを受け、精神病院を脱走する。災害対策本部で出会った不思議な老人と粗野な消防団員と共に流された村の墓地へ応急処置に向かうが・・・。
    『サンマイ崩れ』は何より主人公のキャラが凄く立っていた。現実社会の絶望ビームから身を守るために人と距離を置きつつ時に無邪気な面を見せる主人公は愛着すら沸いてくる。そうしたコミカルな面とは対照的な暗澹・不吉な

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    2013年07月07日
  • サンマイ崩れ

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    『サンマイ崩れ』も良かったが、それ以上に『ウスサマ明王』が面白かった。ジャンルは仏教、銃アクション、ゾンビと言ったところか?(笑)一見、B級物になりがちな3要素を、巧みな文体と描写で見事な作品へと昇華しているように感じた。作者の小説は本作のみのようで、実に惜しい。他の作品も書いて欲しかった。

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    2019年06月13日
  • サンマイ崩れ

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    ホラー大賞短編賞受賞の表題作に書き下ろしの「ウスサマ明王」を加えた中短編集。
    表題作は熊野信仰と精神疾患を素材に土俗的な恐怖を描き出す語り口が絶妙。ラストはありがちなものながら、伏線のはり方は見事。
    ハリウッド製のアクションホラーを純和風にアレンジしたかのような「ウスサマ明王」も素晴らしい。

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    2010年12月20日
  • サンマイ崩れ

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    表題作は一昨年('06年)の日本ホラー大賞短編賞の受賞作だという。が、それほど面白いか?確かに精神科に入院する主人公の視点は目新しいものはあるにせよ、筋はそう目新しくもなし、結末も散々使い古されているパターンじゃないかと。

    むしろ併録の書き下ろし「ウスサマ明王」は面白かった。一種の怪物ホラーとも、ゾンビものとも読めるけども、なかなか迫力があって読み応えあり。この手の作品が続くなら、次回作からもフォローしてみたい作家。☆4個はほぼこちらの作品に対して。

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    2010年04月14日
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2

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    ホラーというより奇妙さが際立つものが多かった。ありきたりなオチのものもあったけれど、鼻とか穴らしきものに入るはクセになりそうな感じ。トンコは可愛いに尽きる。ホラーか?と思ったが可哀想という割に豚肉食べる人間が一番ホラーだと思った。

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    2025年07月15日
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2

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    後半になるにつれ、インパクトは抑えてられていってる気がする。ただ、受賞作をまとめて読める意義は大きいと思う。収録作品は含めた本はほぼ絶版だし。未収録作品があるようなので、短編全集としていつか再刊してください。ついでに大賞受賞作全集もお願いします。

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    2024年03月13日
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成2

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    しばらくホラーから離れていた時期の受賞作なので「鼻」以外は初読。
    バリエーションが出てきたなって感じ。しかし、「穴らしきものに入る」のナンセンスさはすごい。

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    2023年12月10日
  • サンマイ崩れ

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    ネタバレ

    表題作は優しいワタナベさんがいつ牙をむくかとドキドキ。
    「ウスサマ明王」は今までにないような切り口のホラーで新鮮だったけど、現代パートの展開がごちゃごちゃして一度でなかなか把握できなかったのが残念。

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    2013年01月28日
  • サンマイ崩れ

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    第13回日本ホラー大賞短編賞受賞という表題作「サンマイ崩れ」と文庫書き下ろし中編「ウスサマ明王」の編まれた一冊。
    「サンマイ崩れ」は、まあ何というか鬱病治療のトリビアと熊野信仰がブレンドされたオフビートなお話で、オチは某有名映画を思い出すが、それを云った瞬間にネタバレになるので伏せる。が、そのオチは、そこまでの道程がノンビリしていたぶん、なかなかゾッとした。
    で、問題は書き下ろし中編「ウスサマ明王」。
    ウスサマ…ってカタカナで書くと、和菓子のようなホッコリ感があるが、然に非ず。これは「烏枢沙摩(うすさま)明王」という炎を統べる神様の事で、本邦においては不動明王と並び、台密の5大明王に数えられる

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    2010年12月07日
  • サンマイ崩れ

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    夏の余韻の残るうちに、角川ホラーに挑戦である。
    本作は2006年度日本ホラー小説大賞短編賞受賞の表題作『サンマイ崩れ』と書き下ろし中篇『ウスサマ明王』から構成されている。

    『サンマイ崩れ』に関しては、少し残念な印象。
    豊富な宗教的な知識をバックボーンに、未曾有の災害に見舞われた山村を探索する物語なのだが。
    構成上真相を先読みされるとホラーとして、成立するか怪しくなる事とその真相が思いのほか読めてしまうという問題を抱えていた様に思う。

    精神病患者の一人称と、念仏が聞こえてくる様な見事な雰囲気が描かれるだけに、惜しいトコロである。


    『ウスサマ明王』は面白かった。
    ハリウッド的

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    2009年10月04日