西山隆行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレトランプ大統領の誕生は、米国における白人のマイノリティ転落に対する恐怖(白人によるアイデンティティ・ポリティクスの行使)、急速なグローバル化やインターネットの登場による中間層の没落(豊かだったものが貧しくなったという感覚、インタネットの登場による生活様式の共有への不信)といったより大きな問題を表象しているに過ぎない。こうした社会の流れや急速な変動への揺り戻し、(移民に対して非同化政策を採ったことに起因する)共有できる敵を常に必要とする従来のアメリカン・ウェイという観点から、トランプ政権が徹底して自国第一主義に走ることは当然の予想である。政治的正当性への不信も含めた民主主義の劣化、享楽化(ポスト・トゥルース/非知性主義的態度)に対抗するためには人々の意識のありよう(行為と体験に対する観察と抽象化/高次化)の変革が必要と考えられる。
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Posted by ブクログ
はた目から見ると問題だらけな人物なのにどうして共和党の大統領候補としてトランプ氏が支持されているのか。その疑問を解くための一助としてこの本を選んでみた。
タイトル通りアメリカは移民によって立国され、移民が生み出す安価な労働力と、その上昇志向によって国力を向上させてきた。ところが、かつて欧州の体制から逃避してきた人々や、その後連れてこられた黒人奴隷という従来のスタイルに加え、実に様々な人種・民族が様々な思惑で移民を繰り返してきたため、収集がつかなくなっているのである。
移民は市民権をとるために忠誠を示さなくてはならず、軍人となって最前線で戦うことも多かった。今もそれはあるようである。その一方で、移民といいながらも本国にも国籍を残し、あるいは二重国籍者として本国への送金を続ける移民もいる。アメリカ人として意識は希薄であるが、かといって体制批判的でもない移民もいる。また、いわゆる不法滞在も多数存在するなど、実に複雑だ。
トランプ氏が米墨間に万里の長城を作るという暴言が支持を得るのは、国境地帯の先住者の労働環境が移民もしくは不法入国者によって脅かされているという現実があるからなのだ。それは日本のように移民が制限されている国民からすると想像以上の脅威なのかもしれない。
欧州の中東地域からの難民という移民が大きな社会問題になっている。英国のEUからの分離もこれが主因であると聞いた。一方でイタリアの南部の村では積極的に移民を歓迎し、過疎化した地域の発展に結びつけようという動きもある。そのために、難民に職を与え、それを村の特産物にするという逆転的発想もある。
本書が最後に触れているように移民の問題は日本でも今後不可避の問題になる。環境的な要因がアメリカとはかなり異なることを本書では分析したうえで、経済的活力の維持には移民も検討すべきであると結論付けている。この問題については今後も考えていきたいと思う。
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Posted by ブクログ
アメリカ大統領って、世界で最も強大な権限を持つ存在だと思い込んでいたけれど、実際は議会や州政府との関係に縛られ、思うように動けないことも多いと知って驚いた。
映画やニュースでは圧倒的なリーダー像ばかり目にしていたので、現実とのギャップがとても新鮮。
これまで大統領選挙やハリウッド映画の中で描かれる姿をエンタメとして勝手に楽しんでいたけれど、この本を読んでからは見方がだいぶ変わりそう。
「大統領令」や「連邦制」といった制度の仕組みを丁寧に解説していて、政治の舞台裏を覗くような面白さがあった。
権力の制約があるからこそ民主主義が成り立つという視点は印象的で、単なる人物像ではなく制度そのものを理解する大切さを感じた。