松本仁一のレビュー一覧
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「カラシニコフ」とは名機と謳われ、世界中に広まっている自動小銃の名前です。設計を行なった人物の名前を付けられたその銃が生み続ける悲劇を、いくつもの貴重なインタビューを柱にまとめたものです。元は朝日新聞に連載されたコラムです。
第I巻は、著者が専門とするアフリカにおける紛争を中心にまとめています。冒頭には、象徴的な話として11歳のときにゲリラに拉致されて少女兵にされたシエラレオネの19歳の女性へのインタビューから始まります。ここで「カラシニコフ」を使って3人の無抵抗の人を殺したことが語られます。
この他にもアフリカにおける「失敗国家」と貧困と銃の関係が数多く語られます。ANCの活動によりア -
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『アフリカを食べる』が面白かったので、こちらも読んでみることにした。
紛争の絶えない中東、ホテルの門を護衛なしに一歩でも出たら打ち殺されるソマリア、チェルノブイリの放射能汚染の残るベラルーシなどなど。「食べる」と表題にしているが、「食べる」ことが難しい所ばかり。
筆者があとがきでも書いているように、
食べ物の背後に広がる光景は、日本の私たちの生活とあまりに違っています。
「食べる」ことの背景にある「国家」についても、
「国家」とは「国民に安全な生活を保障すること」
とある。
日本でぬくぬくとクリスマスのごちそうを食べ、お節を食べ…。私たちは幸せなのだ。 -
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ネタバレ【「兵士と教師の給料」がカギ】p183
「失敗した国家 failed state」と「そうでない国家」を分ける基準について、明確で分かりやすい基準が二つ。
ひとつは「警官・兵士の給料をきちんと払えているか」だ。
警官と兵士は、国民の安全な暮らしを守るという、国家の最低限の義務の直接の担当者である。その給料を遅配・欠配して平気な政府は、国家を統治する意思も能力もないとみなすべきであろう。
11歳の少女ファトマタは、AKIRA47で三人の命を奪った。その物語から始まり、カラシニコフ銃が世界で何をしてきたか、その道筋を辿ってきた。
設計者のミハイル・カラシニコフは84歳で健在だった。彼はAK47開 -
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「AK47?中国のアイドル?」などと、見出しを見て最初に思った私は、完全に恵まれた日本で平和ボケして育った人間でした。
読み始めてすぐ、そんな無知な自分を恥じることになりました。
最初の30ページくらいで、胸が苦しくなりました。毎日、明日のオヤツや週末のお出かけを関心事に暮らしている私たちがいる一方で、世界には明日の命と寝る場所を心配して生きている人たちがいる。頭では分かっていても、恵まれた生活をしているとついつい忘れがちなことです。
もしかしたら、あんまり目を向けないようにしていたかもしれません。そういうことに目を向けると、何一つ自分の生活に文句が言えなくなるからです。
カラシニコフこと -
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以前読んだ、松本仁一氏の「アフリカ・レポート」が面白かったので、同氏の他作品の中から選んだ。
カラシニコフ(別名AK47)とは1947年ロシア人のカラシニコフ氏が開発した自動小銃の傑作であり、その信頼性や耐久性、安価さから現在に至るまで現役としてアフリカや中南米等で使用されている。
本書はこのカラシニコフという銃を縦糸にして、それが使用されている現代のアフリカ(?)や中南米・アジア(?)の国々、そこに生きている人々の状況がレポートされている。
アフリカ諸国での混迷ぶり、そこに生きる人たちの悲惨さが?では描かれている。強欲で無能な政治家たち、救いようのない貧困、拉致による少年兵へのリクルー