【感想・ネタバレ】カラシニコフ Iのレビュー

あらすじ

世界に2億丁ある非合法の銃の半数を占める「悪魔の銃」カラシニコフ(AK47)。開発者カラシニコフやシエラレオネの11歳の少女兵などへの取材を通し、崩壊する国家の現状や、そこに暮らす人々を描く。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

アフリカの失敗した国々では、AKといふ鉄砲が出回ってゐて、それは大変素晴らしく、クロンボのお姉ちゃん(4キログラムくらゐは毎日運んでゐるので持てる)が持って、引き金引くと撃てるので、お姉ちゃんへ持たせて撃たせる。さらに、がっちょんがっちょんて付けるとちゃんとできる。使用に耐えうる。ソ連が生んだ技術の結晶には違ひないのだが、はー。
 M・カラシニコフへのインタビューは、なかなかないらしいので貴重らしい。へー。

0
2018年05月02日

Posted by ブクログ

カラシニコフが設計したAK47が「失敗国家」で人々の命を奪い続けている現状を描くルポルタージュ。考えさせられます。

0
2014年08月02日

Posted by ブクログ

Ⅰは主にアフリカや中南米の国家でいかにカラシニコフが流出し、市民を兵士に変えているかを描いている。また設計者、ミハエル・カラシニコフへの取材もある。彼がカラシニコフに施したモジュール化と「あそび」の設計は、「使いやすい・壊れない・壊れても直しやすい」と三拍子そろった最高の銃を生み出すことになったわけで、プロダクト・デザインの面からも優れた事例。開発から60年たった今でも基本構造を変えることなく第一線で活躍する製品と言うのも、現代ではそうそう生まれない。

0
2010年08月21日

Posted by ブクログ

「カラシニコフ」とは名機と謳われ、世界中に広まっている自動小銃の名前です。設計を行なった人物の名前を付けられたその銃が生み続ける悲劇を、いくつもの貴重なインタビューを柱にまとめたものです。元は朝日新聞に連載されたコラムです。

第I巻は、著者が専門とするアフリカにおける紛争を中心にまとめています。冒頭には、象徴的な話として11歳のときにゲリラに拉致されて少女兵にされたシエラレオネの19歳の女性へのインタビューから始まります。ここで「カラシニコフ」を使って3人の無抵抗の人を殺したことが語られます。
この他にもアフリカにおける「失敗国家」と貧困と銃の関係が数多く語られます。ANCの活動によりアパルトヘイトの廃止を勝ち取り、アフリカの大きな希望である南アフリカの低迷と治安のひどさも気が滅入る話です。
「失敗国家」を見分ける物差しは、「兵士・警察の給料をきちんと支払えているか」と「教師の給料をきちんと支払えているか」だそうです。多くのサハラ以南のアフリカの政府では、この物差しを満たせずに結果、銃の管理が行き届かず、次々と紛争や治安の悪化といった連鎖がやまない悪循環になっているということです。

第2章の「カラシニコフ」の産みの親であるミハイル・カラシニコフへのインタビューはある意味象徴的です。淡々とした悪意のないこの設計技術士との話は、この本を単純な銃反対というイデオローグな本という印象になることを避けているように思います。

作家のフォーサイスへのインタビューもありますが、こちらはご愛嬌でしょうか。

---
『エコノミスト』の記者ロバート・ゲストが書いた『アフリカ 苦悩する大陸』に次のような一節があります。

「コンゴ(民主共和国)滞在中、何が最も恐ろしかったかと言えば、群集の叫び声でもなく、鳴り響く銃声や、ときおり見かける路傍に捨て置かれた死体でもなかった。それはあるとき目にした少年兵の姿だった。十二歳といったところだが、栄養不良の十五歳かもしれない。階段に腰掛け、AK-47自動小銃の銃口にあごを載せていた。... 自分の命にさえこれほど無頓着だとすれば、こっちの命はどうなるのか、と。」

自分は日本にいて、ほとんど関係のない形で毎日を過ごしているわけですが、こういうことが起きているということを知ることは何か意味があるような気がします。

0
2009年12月26日

Posted by ブクログ

単純に平和はすばらしいですよね。
命を奪われる心配は基本的にはないですしね。
ただ、世界には命の危険にさらされて生きている人々もいるわけで・・・・
しかし、命をかけて手に入れたいものもそこにはあるわけで・・・
勉強になります♪

0
2009年10月07日

Posted by ブクログ

ドキュメンタリー。

淡々とした文章で突きつけられる現実に読めば読むほど凹む。
が、同時に読めば読むほど引き込まれて、目が離せない。

0
2009年10月07日

Posted by ブクログ

冷戦後世界に溢れたカラシニコフを扱った優れたルポルタージュ。アフリカ大陸を中心に、銃と国家を大きなテーマとしている。

0
2009年10月07日

Posted by ブクログ

カラシニコフをめぐる、さまざまな立場からのストーリー。先日のパリでの連続テロでも使われてたAK-47が知ろうとでも扱いやすいゆえに、大量破壊兵器と言われるまでになる。武器輸出が解禁された日本はこれからどう兵器産業と向き合い、利益と倫理の間でどこにポジションを取るのか重要な局面にいる。

0
2015年12月03日

Posted by ブクログ

カラシニコフ銃だけの話ではなく、それが利用されているアフリカの国々について、また武器を自主的に放棄したソマリランドについて、視点が偏ることなく、突き放すことなく、また感情が移入しすぎることなく、割と客観的に書かれていて、興味ふかく読めた。

0
2015年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【「兵士と教師の給料」がカギ】p183
「失敗した国家 failed state」と「そうでない国家」を分ける基準について、明確で分かりやすい基準が二つ。
ひとつは「警官・兵士の給料をきちんと払えているか」だ。
警官と兵士は、国民の安全な暮らしを守るという、国家の最低限の義務の直接の担当者である。その給料を遅配・欠配して平気な政府は、国家を統治する意思も能力もないとみなすべきであろう。

11歳の少女ファトマタは、AKIRA47で三人の命を奪った。その物語から始まり、カラシニコフ銃が世界で何をしてきたか、その道筋を辿ってきた。
設計者のミハイル・カラシニコフは84歳で健在だった。彼はAK47開発の動機について、「母国を守るためにより優れた銃をつくろうとしただけだ」と答えた。たしかにAKは故障が少なくて扱いやすく、信頼性の高い銃だ。それが第三世界に銃があふれる原因ともなった。p267

0
2014年04月25日

Posted by ブクログ

11歳の少女がAKで三人殺したっていう衝撃的なくだりで始まりAKの歴史、世界で何をしてきたか、この兵器を通じ、アフリカに起こる動乱を描くノンフィクション。続きがあるので続きも読む。動乱と貧困、伴う政治の堕落と崩壊。難しい問題と常に共に居る銃なんだと改めて感じる。

0
2013年02月09日

Posted by ブクログ

「AK47?中国のアイドル?」などと、見出しを見て最初に思った私は、完全に恵まれた日本で平和ボケして育った人間でした。
読み始めてすぐ、そんな無知な自分を恥じることになりました。

最初の30ページくらいで、胸が苦しくなりました。毎日、明日のオヤツや週末のお出かけを関心事に暮らしている私たちがいる一方で、世界には明日の命と寝る場所を心配して生きている人たちがいる。頭では分かっていても、恵まれた生活をしているとついつい忘れがちなことです。
もしかしたら、あんまり目を向けないようにしていたかもしれません。そういうことに目を向けると、何一つ自分の生活に文句が言えなくなるからです。

カラシニコフこと、AK47。

銃のような手軽な武器は、本当に人を不幸にするんだなぁとあらためて思いました。日本では規制されていてよかった・・・。アメリカでは賛否が続いていますが。
銃が蔓延している、自衛のために銃は手放せない、でも銃があるからやっぱり犯罪は続く。


こんなたくさんの人たちを不幸にしたり、将来ある子どもたちに犯罪を犯させたりするAK47を開発したのはどんな極悪人だろうと思ったら、製作者のカラシニコフ氏は可愛さすら漂う憎めないおじいさん。
カラシニコフ氏へのインタビューを読むと、カラシニコフ氏を責められなくなります。最後に掲載されている、カラシニコフ氏の部屋の写真は、何とも言えない哀愁を感じさせました。

誰にでも操作がしやすい銃を作ったカラシニコフ氏が悪いのか、それを採用したロシアが悪いのか、はたまた銃が流出したり蔓延したりする社会が悪いのか・・・責任の所在は簡単じゃないですね。責任の所在が決まったところで、銃問題が解決するわけではないのでその問い自体ナンセンスかもしれません。


すごく絶望的で、悲しくて、暗い気分になる本ですが、最後の方は逆に感涙。
アフリカは「失敗国家」ばっかりじゃない。成功している国もある。民族間の対立(先進国の介入の責任が大きい)もありますけど、やっぱりみんな幸せに暮らしたいはず。毎日食べるものがあって、寝る場所もあって、命の心配をしなくてよくて、家族や友達がいて・・・。一日でも早くそんな暮らしができる世の中になればいいなぁ。

それにしても、この本のタイトル(連載のタイトルも)、カラシニコフなんですけど、なぜAK47じゃないんでしょう?
カラシニコフという不思議な響きは惹かれますし、カラシニコフと呼ばれることの方が多いのかもしれませんが、どうもそれだけじゃないような気がします。

0
2012年07月31日

Posted by ブクログ

【出会い】
気になっていたところ、Bookoffで。

【概要】
カラシニコフという銃がなぜ世界中の戦乱地で定番のように使われ続けているのか。
戦争当事者や開発者へのインタビュー、「失敗国家」への取材からの分析と記録。

【感想】
重の特性と開発者の意図というところまで書かれており、なぜこの銃が重宝されているかという点はよく分かった。
全体としてはタイトルを離れてアフリカの治安のような話になっていくが、ソマリランドの話は興味深い。
2も読んでみようと思う。

0
2012年02月15日

Posted by ブクログ

なぜか2回買ったような記憶のある本。家には一冊しかないのですが。なぜだろう…?

アフリカの内戦は読めば読むほどどうにかならないのかと思います。国と言う意識があまりに希薄だから利権を一部の特別階級が独占するのでしょうか。結局はそこの生きる人々が自分たちの地域を作っていくしかないのだろうなあ。最後は少し希望が持てる話があり少し救われた気がします。

0
2009年10月07日

Posted by ブクログ

以前読んだ、松本仁一氏の「アフリカ・レポート」が面白かったので、同氏の他作品の中から選んだ。

カラシニコフ(別名AK47)とは1947年ロシア人のカラシニコフ氏が開発した自動小銃の傑作であり、その信頼性や耐久性、安価さから現在に至るまで現役としてアフリカや中南米等で使用されている。

本書はこのカラシニコフという銃を縦糸にして、それが使用されている現代のアフリカ(?)や中南米・アジア(?)の国々、そこに生きている人々の状況がレポートされている。

アフリカ諸国での混迷ぶり、そこに生きる人たちの悲惨さが?では描かれている。強欲で無能な政治家たち、救いようのない貧困、拉致による少年兵へのリクルート、日常的な強奪やレイプ等々、これはもう僕ら日本人の想像を絶する。

一方の?は、指導者に統治能力が欠如してるわけでは決してないにも関わらず、その地理的事情から混迷を深めているコロンビア。国家という概念が根付きにくく、遠く植民地時代にその原因が見られるアフガニスタンやイラク等についてのレポートである。

国家としてまとまることの難しさ、そこに生きる人々の苦難の数々・・・。平和馴れ(ボケ)している僕たちにとっては感じることの多い作品だと思う。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

出だしから、ちょっとショッキングな内容で読ませる。
カラシニコフ設計者のインタビューもなかなか。技術者としては、気持ちがわからんでも無い。自分なりの理由やモチベーションがあって、作ったものであり、それについての誇りもある。優れた道具であるが、あちこちで不幸を引き起こしてもいることについては、実はやっぱり気になっている。でも、やっぱり自分の作った物に対する愛情があって....この本にはそれほど出てこないけど、自分の中に葛藤はあるんだと思う。
紛争地域でのルポはなかなか興味深い。でも、じゃあODAとかどうやっていけば良いのかという部分への突っ込みは物足りないかな。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

『謎の独立国家 ソマリランド』を読んで、以前から興味はあったものの未読だった『カラシニコフ』に手をつける。二巻本の一。

旧ソ連製自動小銃 AK47 (Automatic Kalashnikova 47年式)は、アサルトライフルとして十分な威力を持つ一方で、故障し難く、安価なため、現代に至るも各国の軍隊で使われ続けている傑作だ。しかし、あまりの扱い易さから子供から犯罪者まで誰にでも使えて、特にソ連崩壊後は大量の AK47 が不正に大量輸出されたため、地域の治安を乱す要因にもなっている。

そんな自動小銃の歴史と現在を紹介しつつ、設計者カラシニコフへのインタビューを交えたルポタージュ。ソマリアをはじめとする「失敗した国家」のルポは、出版当時はおそらく衝撃的だっただろうし、その衝撃は今読んでも十分に伝わってくるのだが、ちょっと読む時期を逸っしてしまった感じ。

0
2015年08月02日

Posted by ブクログ

ロシアではとっても有名な「カラシニコフ」氏。
私は全然知らなかった。
自分の祖国を守る為にAKを開発したのに、それが世界に大量に
出回ってて、人を殺しあう最大の武器にまで発展してる。
最初はなんてやつだって思ったけど、
最低なのはやっぱり武器を密輸したりするやつらだな。
銃のある国はやっぱり銃で簡単に倒れるんだな。
ちゃんと国が警察や司法、教育をきちんとしないとね。
国家にも失敗したものもいまだに多くて、
そこの政府に日本がODAをそのまま流してるみたいでそこは
きちんとしないとって思った。
なんだか多くのことを学べた本だったので、2もよもうと思う。
日本ってなんだか好きじゃなかったんだけど、
WW?以降戦争してない数少ない国だし、武器の輸出はしないし、
銃も所持してないし、そういう点では本当に安全で
素敵な国だと実感。










0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

朝日新聞に連載されていた時から読みたかった本。間違いなく歴史を作った銃であり、最も多くの人の命を奪った銃なのではなかろうか。この銃を通して人間の、国家の、残虐さと愚かさが浮かび上がってくる。

0
2009年10月04日

「ノンフィクション」ランキング