レイチェル・カーソンのレビュー一覧
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ネタバレ「沈黙の春」で農薬に含まれる化学物質が自然に与える影響を指摘したレイチェル・カーソン。一歳の甥のロジャーを抱いて海鳴りに包まれ「感じること」の大切さを訴える。著者は言う。多くの親御さんが「自然の素晴らしさを教えてあげたいけれどそんな知識もない」と尻込みする。人間の「知識」など「感じること」に比べたらごくごくわずかな、些細なものに過ぎません。ただ子供と一緒に、自然の不思議さを「感じ」て下さい、と。しかし著者は途中で亡くなり半分は訳者・森田真生氏のエッセイ。(2024/07/12記)
カーソンのパートは一歳八か月の甥のロジャーを毛布にくるんで、彼女が嵐の夜に彼を抱いて海辺に降りていくシーンから始まる。雨が降りしきって二人を濡らす。嵐の海は波音を轟かせる。腕の中に感じる確かな命を抱いてカーソンは、自然の咆哮の中に包まれていた。そこでカーソンは腕の中の小さな命と、自分を飲み込みかねない嵐の海という大きな命の二つを全身で感じていた。
森田氏のパートも同じこの「ミクロとマクロの共通点」を、虫やカエルに目を輝かせる子供の目を通して見出していく。多様な虫が、多様な力関係で命をつなぐ傍ら、人間もまた人間たちで活動して命をつないでいる。これらすべてを受け入れる「地球の懐の深さ」に森田氏は感嘆する。
中には「生成AI」についての言及もある。虫の中には枝に擬態するものもある。AIは人間を擬態している。けれど肉体を持たない彼らの言葉は、人間のそれとはまったく違う。こうした指摘は森田氏の文章自体から強く伝わってくる。
当初私は「ふわっとした感傷的な日記風エッセイが始まるんだろうな」と思っていた。けれど、彼の文章は彼自身の「五感」に根差すものだった。子供たちが目を輝かせる虫や爬虫類に、自分もまたルーペを持ち出して一緒に観察し、一緒に触れた上で書いている。だから読んでいるこちらも、虫の描写が生々しければ悪寒を感じながら読むことになるし、カブトムシを27匹も孵化させたというシーンに、「カブトムシって採ってくるだけじゃないんだ」と驚かされたりする。彼の言葉は常に彼の体から発されていた。
ラスト、飛び立つセミの姿が描かれている。セミはわずか数日の寿命を懸命に鳴いて過ごす。地球から見れば人類もまた、セミのように短い命をつなぐ存在に過ぎない。生き物はみな、こうしたマクロ(巨大なもの)とミクロ(極小のもの)が完全な相似形を成していて、それが同じ地球で何ら破綻することなく折り合って生きている。破綻を生じさせているのは人間が科学技術で作ったものばかりだ。
カーソンの甥のロジャーが彼女に言った。「きてよかったね」。
命はある時突然この世に現れ、自然にその子と一緒の物語が紡がれ始める。地球にとってみれば人間は「訪問者」であり、人生は旅のようなものだ。「きてよかった」と子供が思える地球を続く世代に残していくこと。そのために「センス・オブ・ワンダー」がある。身近なものに驚異を感じ目を輝かせる力。知性はその中から生まれ、決して逆行しない。カーソンは「子供に教えられることなんてない」と自信を持てないお母さんたちに「ただ一緒に、感じるだけで十分なんですよ」と言っている。地球が人類をセミを、命を包容するように、感じる力は「知」を包容している。(2026/5/25記) -
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あまりにも有名なセンス・オブ・ワンダー
自然と共に生きることの素晴らしさ、環境問題についてとことん考える本になっている
読みながら、ずっと思い出していました
子どもの頃、あんなにも虫や草木の中にいて、なにも恐れることはなく遊び歩いていたこと
庭にある野菜を摘んではそのままに食べていたこと
山に行けば、動植物が奏でる音に耳を澄ませていたこと
海に行けば、その波音をいつまでも聞いていたこと
夜空を見ては、星の瞬きに感激していたこと
あの頃の、無邪気だった自分を思い出しては
もう、あの頃のようにはできないかもしれないと少しの寂しさを感じたりもしました
でも違うのかもしれない
私が望めばいつだってすぐそこにワンダーは広がっている -
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森田真生さんが新訳をし、更に京都を舞台とした自らの「センス・オブ・ワンダー」を書いた本です。
「センス・オブ・ワンダー」とは、驚きと不思議に開かれた感受性のことです。子どもがそれを保ちつづけるためには、少なくとも一人の大人の助けが必要だそうです。レイチェル・カーソンは、この本で幼い子どもと接するときに大切なことを教えてくれています。自然を子どもとどう味わえばいいのか。そして子どもが大きくなる前の大切な時間の過ごし方です。世界的ベストセラーのこの本は、特に幼い子どもと接する人におすすめです。
視覚、嗅覚、聴覚を研ぎ澄ますと、自然の奥深さに改めて気づかされます。海、空、土、木々、花、そして小さな生き物達など自然のことを、実は大人はほとんどわかっていないもしくは忘れていると教えてくれるのは、幼い子ども達ですね。大人がセンス・オブ・ワンダーを保つためには、少なくとも一人のこどもの手助けが必要だと書かれていました。私も幼い子ども達から自然を間近に感じる時を過ごしたことを思い出しました。
レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』は未完です。けれども何度でも読み返したい魅力的な本でした。それを森田真生さんが自分の子ども達との日々のなかで、続きを書いた感じでもありました。そして今の私達へのメッセージにもなっていました。良書でした。
〈目次〉
センス・オブ・ワンダー
レイチェル・カーソン 文
森田真生 訳
僕たちの「センス・オブ・ワンダー」
森田真生
結 僕たちの「センス・オブ・ワンダー」へ
あとがき
参考文献
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沈黙の春 改版
著:レイチェル・カーソン
(1907-1964)
新潮文庫
訳:青樹 簗一
出版社:新潮社
良書 農薬、殺虫剤などの化学物質が、自然に重大な影響を与えるという警告の書です。
対象となる害虫については、化学物質を用いるとより耐性をもつ個体があらわれて、目的を達成できずに失敗する
一方、想定外であった、動物、家畜、人体になどに影響をでて、
①個体が死亡する
②個体は死亡しないが、次世代の子孫に影響がでる 子孫ができない、子孫が子供をのこせない
③染色体に異常がでて、予期しない病気になる
④特に、癌:白血病になり死に至る
⑤天敵が死亡することにより、思わぬ種が大発生し、新たに脅威となる
等々
空中散布して、その下の生物に影響を及ぼすのはもちろん、水にとけて、プランクトンや魚類に影響がでて
サケの回遊がとまったり、稚魚の大量死亡によって漁に影響がでている
不可逆な進行によって、生態系が破壊されることへの警告。
人間にとっては、予期できぬ自然のプロセスの複雑さを物語っています。
人類の少子化もひょっとして、この化学物質の影響を受けているのかもしれないとおもってしまいます。
目次
まえがき
01 明日のための寓話
02 負担は耐えなければならぬ
03 死の霊薬
04 地表の水、地底の海
05 土壌の世界
06 みどりの地表
07 何のための大破壊?
08 そして、鳥は鳴かず
09 死の川
10 空からの一斉爆撃
11 ボルジア家の夢をこえて
12 人間の代価
13 狭き窓より
14 四人にひとり
15 自然は逆襲する
16 迫り来る雪崩
17 べつの道
解説
ISBN:9784102074015
判型:文庫
ページ数:400ページ
定価:750円(本体)
1974年02月20日発行
2004年06月15日62刷改版
2014年06月05日76刷 -
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「除草したい草があるなら、下手に除草剤を撒くのではなく、それらを食べる虫をやるとよい。」
『生命をコントロールしようと殺虫剤のような武器に訴えるのは、まだ自然をよく知らないためだと言いたい。自然の力をうまく利用すれば、暴力などふるうまでもない。必要なのは謙虚な心であり、科学者のうぬぼれの入る余地などは、ここにはないと言ってよい。』
ブリーイエ博士
『自然のなかにこそ、頼む味方はいるのだ』
ビスケット博士
『自然環境そのもののなかに、生物の個体数を制限する道があり手段がある場合が多いことを知らなければならない。そしてそれは人間が手を下すよりもはるかにむだなく行われている。』
アルエット昆虫学者
「森の中でいとまれる自然同士の関係をきずつけないよう守り育てる」
自然は、うまくできている。だから、人がむやみやたらに手を入れるべきではない。
人間本位であってはならない。