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自然を忘れた現代人に魂のふるさとを思い起こさせる美しい声と、自然を破壊し人体を蝕む化学薬品の浸透、循環、蓄積を追究する冷徹な眼、そして、いま私たちは何をなすべきかを訴えるたくましい実行力。三つを備えた、自然保護と化学物質公害追及の先駆的な本がこれだ。ドイツ、アメリカなど多くの国の人々はこの声に耳を傾け、現実を変革してきた。日本人は何をしてきたか?
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Posted by ブクログ
1962年に環境破壊の実態について書かれた本です。 読んでいて苦しくなりました。 半世紀以上経って、少しは良くなっているのか、それとも悪くなっているのか? 何方か続編を書いていただきたいと思います。
殺虫剤が手軽でも、安易に使っちゃダメなんだってことを知った。 以前はもっと敏感に避けていたのに、最近ちょっと麻痺していたなと思う。 読めて良かった。
沈黙の春 改版 著:レイチェル・カーソン (1907-1964) 新潮文庫 訳:青樹 簗一 出版社:新潮社 良書 農薬、殺虫剤などの化学物質が、自然に重大な影響を与えるという警告の書です。 対象となる害虫については、化学物質を用いるとより耐性をもつ個体があらわれて、目的を達成できずに失敗する 一...続きを読む方、想定外であった、動物、家畜、人体になどに影響をでて、 ①個体が死亡する ②個体は死亡しないが、次世代の子孫に影響がでる 子孫ができない、子孫が子供をのこせない ③染色体に異常がでて、予期しない病気になる ④特に、癌:白血病になり死に至る ⑤天敵が死亡することにより、思わぬ種が大発生し、新たに脅威となる 等々 空中散布して、その下の生物に影響を及ぼすのはもちろん、水にとけて、プランクトンや魚類に影響がでて サケの回遊がとまったり、稚魚の大量死亡によって漁に影響がでている 不可逆な進行によって、生態系が破壊されることへの警告。 人間にとっては、予期できぬ自然のプロセスの複雑さを物語っています。 人類の少子化もひょっとして、この化学物質の影響を受けているのかもしれないとおもってしまいます。 目次 まえがき 01 明日のための寓話 02 負担は耐えなければならぬ 03 死の霊薬 04 地表の水、地底の海 05 土壌の世界 06 みどりの地表 07 何のための大破壊? 08 そして、鳥は鳴かず 09 死の川 10 空からの一斉爆撃 11 ボルジア家の夢をこえて 12 人間の代価 13 狭き窓より 14 四人にひとり 15 自然は逆襲する 16 迫り来る雪崩 17 べつの道 解説 ISBN:9784102074015 判型:文庫 ページ数:400ページ 定価:750円(本体) 1974年02月20日発行 2004年06月15日62刷改版 2014年06月05日76刷
沈黙の春、それは膨大な歴史によって紡がれ、均衡を保ってきた大自然の終わりを意味している。2025年現在、PFASという言葉を最近よく耳にする。これは農薬や工場排水、米軍基地で使われる消火剤によく含まれる化学物質で、沈黙の春に登場する化学物質と同様の性質を持つ。そしてそれは日本各地の地下水や水道水で基...続きを読む準値を大幅に上回る量で確認さている。言い換えれば、人体に既に被害が出ていると言うことである。岡山県吉備中央町での住民による民事裁判の事例もまだ新しい。沈黙の春はまだ私たちの近くにいる。
「除草したい草があるなら、下手に除草剤を撒くのではなく、それらを食べる虫をやるとよい。」 『生命をコントロールしようと殺虫剤のような武器に訴えるのは、まだ自然をよく知らないためだと言いたい。自然の力をうまく利用すれば、暴力などふるうまでもない。必要なのは謙虚な心であり、科学者のうぬぼれの入る余地な...続きを読むどは、ここにはないと言ってよい。』 ブリーイエ博士 『自然のなかにこそ、頼む味方はいるのだ』 ビスケット博士 『自然環境そのもののなかに、生物の個体数を制限する道があり手段がある場合が多いことを知らなければならない。そしてそれは人間が手を下すよりもはるかにむだなく行われている。』 アルエット昆虫学者 「森の中でいとまれる自然同士の関係をきずつけないよう守り育てる」 自然は、うまくできている。だから、人がむやみやたらに手を入れるべきではない。 人間本位であってはならない。
当時の考えではセンセーショナルでも、今にも通じる部分はあると思う。環境自然に興味を示したからこそ、読むとより深く考えれる話だと思います
農薬や殺虫剤といった化学薬品濫用の危険性を訴えた一冊。 読む前は専門書だと思っていたのだが、実際はかなり大衆向けの内容。 環境被害の描写が真に迫っていて、読んでいるだけで情景が浮かんでくるようだ。 当時ベストセラーになったのも納得である。 内容自体はかなり極端なので丸々信じるということはできないが(...続きを読むそもそも60年前の作品だが)現代にも通ずる内容が多数あり、単純に読み物としても面白いので読んでよかった。
かつて春は鳥のさえずりで目覚めた。だが今、沈黙が支配する。 農薬が自然界に与える静かな殺意を暴いた。便利さを追い求めた人間の手が見えぬ毒を空と大地にまいたのだ。だが彼女の警鐘は多くの心を動かし環境保護の芽を育てた。 耳を澄ませばあの春の声はまだ戻るかもしれない。守るべきは沈黙ではなく命の声だ。...続きを読む
『センス・オブ・ワンダー』から本書に入る。著者が亡くなる2年前の1962年に米国で出版され、その後、日本でも重版された。内容はものすごく重い。農林業の生産に害をなす昆虫などを殲滅するためにばら撒かれた化学薬品だが、害虫だけにとどまらず、生態系を構成するあらゆる生物に影響し、春を告げる鳥のさえずりさえ...続きを読む聞こえなくなった=原題Silent Spring。ある種の化学薬品は、放射線による影響と同じく、突然変異や癌化の引き金になるという。化学薬品の使用が60年代と比べ限定的になったが、今でも我々に影響があるのでは?
中学生の英語の教科書で本書の存在を知り、当時は読みたいとは思わなかったが、あれから20数年が経ち、俄に読んでみたい気持ちが沸き起こった。 60年も前に出版された本だが、当時のアメリカの農業の実態に驚かされた。 次からから次へと強力な農薬を使いまくり、それが農産物内部へ蓄積することを無視し、さらに人へ...続きを読む発病、様々な二時汚染。 本来害虫から農産物を守るための農薬が、その成分が強すぎるあまりに農産物が耐えきれず枯れてしまうという本末転倒さ。 そして農薬にも抵抗を示す害虫たちが繁殖し、それが更に有害な農薬を生み出すことに繋がる負の連鎖。 白血病や内臓疾患、皮膚病が爆発的に増えたのは、まさしくこの農薬が原因だ。 今でこそ低農薬、無農薬農法が市民権を得てきており、私たち国民も農薬への意識をを持ちながら消費活動を行うようになってきている。 ただ、当時のアメリカの時代背景を考えると、 よくもここまで農薬のいろはを調べ上げ、世に向かって発表したなと、その勇敢さに舌を巻く。潮流に逆行する彼女の活動はいかほどセンセーショナルだっただろう。 カーソンは本書で、農薬が人体をはじめ農産物、昆虫などの生物に与える影響を指摘するだけでなく、農薬を極力使用しない具体的な方法も提案している。 P103 雑草に悩まされたら、植物を食べる昆虫の働きを注視してみる。 食物連鎖の流れをよく見てみる。 P169 アメリカでヒアリを絶滅させるために使われたヘプタクロールは、DDTに匹敵する劇薬で、水棲生物に害を及ぼす。 陸に撒かれた薬物は、最終的には流れ流れて水に行き着き、そこを汚染する。 P215 当時、アメリカの農薬に記載されていた使用方法などは文字が小さく、農夫たちはよく読まないまま適切量を無視して過剰に使用していたと。 レタス栽培現場では、一つだけで十分なのに八つも混ぜて使っていたなどの殺虫剤乱用が起きていた。 実際私たちの口に入る農産物の農薬残留量は明確に分からず、それが多種多彩なため、この程度なら安心だ!と言いきるのは難しい。 P220 昆虫の間に病気を発生させ、防除するやり方もある。 危険度の低い農薬を使い、非科学的な方法の開拓に力を入れることを、カーソンは推奨している。 最後に解説で、興味深い事柄が書かれている。 害虫Aを除去する目的である薬剤を使ったとする。それが成功し作物Bが虫害を免れた。 しかし害虫Aによって食い殺されていたC.Dという害虫が抑制因子を取り除けられて爆発的に増加し、新たな害虫となって作物Bに襲いかかる。 という例が多数あるという。 生態系の恐ろしさを痛感した事例だった。
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