下楠昌哉のレビュー一覧

  • サイバラバード・デイズ
    近未来のインドを舞台にしたSF連作短編集。

    SFは、たまにしか読まないからこそ、脳みそをガツンとやられる。

    舞台は2050年頃のインド。圧倒的に発達したナノテクノロジーやサイバー空間・AIなどにより驚異的な発展を見せる一方、政治的には8つの国に分裂し、気候変動による水不足が問題になり、遺伝子操作...続きを読む
  • サイバラバード・デイズ
    いいね、この装丁、この紙質、この表紙。遠目に見たとき「あれ、またバチガルビ?」と思った。「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」はこれで統一しているんだね。近未来のインドを舞台にした日常をたんたんと描く。爆発的な面白さは無いけれど、設定と雰囲気で読ませる。SFの舞台設定として東南アジア流行ってるのか?この人...続きを読む
  • サイバラバード・デイズ
    面白かった!分割した未来のインドを舞台に超知性やAI、第三の性、ネットワークに存在する複数の人格AIを描く。7つの短編どれも面白かった。なかでも好みは「暗殺者」、敵対する二つの家、ロミオとジュリエットの過激版?と勘繰ったけど、題名がこれなので・・最後はなんとも
    「小さき女神」神になった少女、ワイヤー...続きを読む
  • 妖精・幽霊短編小説集
    ジョイス『ダブリナーズ』の短編を同時期に書かれた
    妖精・幽霊短編作品と併読するアンソロジー。
    ・編訳者まえがき
    一 妖精との遭遇
      「取り替え子」W.B.イエイツ&T.C.クローカー
      「卵の殻の醸造」T.C.クローカー
      「妖精と行ってしまった子ども」J.S.レ・ファニュ
      「遭遇」J.ジ...続きを読む
  • 時ありて
    たぶんあまりわかってない。でも、もっと自分に理解力があってちゃんと読めてたら、話の類型的にはかなりすきになりそうだと思った。
    未来にむかっての移動しかできないと思っていたので、種明かしは驚いた。
    もうちょっと理解力のあるときにまた読みたい。
  • 時ありて
    雰囲気が良い。映画向きだと思う。
    詩を意識しているのか、単語の羅列や意味深な言い回しが多くて想像が難しい。
    SF部分も結局はっきりわからない。実験に巻き込まれて時間旅行者にならざるを得なかったって感じ。
    ラブストーリーさも物足りない。語られないところにあったと思うが、そこを語れよって感じ。恩田陸の「...続きを読む
  • 時ありて
    短い言葉で説明するのが難しい小説である.
    帯に「英国SF協会賞受賞」とあるが,SFという語で乱暴に括れる小説ではない.この10年ほどで読んだ小説では,クリストファー・プリーストに一番テイストが近いなあ,と思ったが,そういえばプリーストもイギリス人だ.
    幻想的なファンタジーに,SFを組み合わせている感...続きを読む
  • 時ありて
    ロンドンにあるアパートの一室で本に埋まり、ネットで古書を売っている「私」は、有名な古書店の閉店に伴う在庫の処分品の中から、一冊の本を掘り当てた。E・L著とイニシャルだけが記された詩集で『時ありて』というタイトルだ。第二次世界大戦が専門分野である「私」は、普段なら手を出さないところだが、なぜか好奇心が...続きを読む
  • サイバラバード・デイズ
    2030~2050年代、近未来のインドのおはなし。カレーとITの国というイメージのインドをこうまでSF的に昇華させたところがすごい。AIの進化と、脅威、ホークとパーマーによるコミュニケート(まるでサイバースペースへのジャックイン!)それよりはもっとナチュラルか。散りばめられたガジェットはワクワクもの...続きを読む
  • サイバラバード・デイズ
    「埠頭三角暗闇市場」のインドつながりで、積読状態だったのを読んでみる。

    分裂戦争状態に入った近未来インドもやはり暑く混沌として、ガンジス川では沐浴も火葬も行われている中でAIも同居している世界。

    最近ニュースや映画でも取り上げられているAIに恋するなんてエピソードもあり、近未来との地続き感も良好...続きを読む
  • サイバラバード・デイズ
    ハイテクノロジーと土着的猥雑さが共存する近未来のインド。
    分離戦争が勃発し、ドラック漬けのロボット戦士が進軍。遺伝子工学の発達が男女比率の偏りを生み、深刻な花嫁不足に。生神が身売りをし、魔神の代わりにAIが跳梁跋扈する。モンスーンは訪れず聖なる大河が枯渇し、生身を捨てた情報ネットワークの住人は新世界...続きを読む
  • サイバラバード・デイズ
    これは今まで読んだ事のないタイプの作品。
    だって、近未来のインドが舞台!なんだかとてつもなく新鮮でした(笑)

    個人的なお気に入りは「暗殺者」。
    敵対する名門一族の男女の恋。甘さと切なさのバランスが絶妙です。
    「小さき女神」と「ジンの花嫁」も良かったな。

    「シャンタラム」を読んだ時にも感じた事です...続きを読む
  • サイバラバード・デイズ
    世界観がしっかりしすぎていて入り込みにくいのですが、その分入り込んだらすげー面白い!!ってなりました。
  • 妖精・幽霊短編小説集
     19世紀末から20世紀はじめにアイルランドとイギリスの作家たちにより書かれた妖怪・幽霊譚を8つのセクションに、そして各セクションの留め石にジョイスの『ダブリナーズ』に収められた短編を配したアンソロジー。

     読んだことのあるのは、ディケンズ「第一支線-信号手」とハーン「雪女」のみなので、大変なお得...続きを読む
  • 時ありて
    イギリスのSF作家、イアン・マクドナルドが2018年に発表したSFミステリー。待望の邦訳ということで、氏の作品を初めて手に取ってみた。

    古書ディーラーのエメット・リーは、閉店する書店の在庫から『時ありて』というタイトルの古びた詩集を手にする。その詩集にはトムとベン、二人の男性が第二次世界大戦中に行...続きを読む
  • 時ありて
    古書店主の主人公が、古本の間に挟まれていた手紙を見つけることから始まる物語。

    戦時中に出会った二人の間で交わされていた手紙
    その男性パートと二人がどうなったのかを追う古書店主パートが交互に進む。

    雰囲気がある文体なのだけど、状況がわかりづらく感じてしまった。
    ところどころ何回か読んでようやくどう...続きを読む
  • 時ありて
    古書店のエメットリーが手に入れた本「時ありて」に挟まっていた手紙から物語は始まる。トムからベンに宛てた恋文。その二人を探すこと、歴史の流れ、隠された史実、そして時間旅行者へたどり着く。量子力学が登場しグッと科学的になるが、なかなか共に過ごせない恋人同士の悲哀もあって、美しい物語になっている。
  • 時ありて
    イギリスの古書専門ディーラーのエメットが主人公。偶然手にした詩集に挟まっていた手紙を追う形で綴られるSF小説。手にする言葉の端々に過去に生きて来た個人が蘇る。少し退屈だったが、最後の最後に、、素晴らしかった。
  • 時ありて
    世界中に散らばる古書、「時ありて。」作者はE.L.とイニシャルのみ。その本に挟まれた、何通かの古い手紙は、ある人に宛てた恋文。
    昔の写真の中に、または数年前の映像に繰り返し見つける同じ顔。

    これだけでそそられるミステリー。

    場面が変わると、ついていけずに前半は読みにくいなぁと挫折しかけた。後半一...続きを読む
  • 旋舞の千年都市 上
    沢山の登場人物たちが少しずつ絡んでいる話なのは分かった。
    でも、そのせいか時間の変化が分かりづらくて、話が進んでいるという感覚があまり感じられなかった。
    最新の科学技術と昔からのエスニックな感じはすごい緻密に描かれていた。
    とりあえず下巻も読みたい。