黒井緑のレビュー一覧
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収録されている中では「宮古湾大海戦」が一番馴染みがありました。
全てが作戦計画通りに行くはずもないのでしょうが、単艦突入となってしまったことが、失敗の大きな要因であるだろうし、作戦中止できなかったことも含めて戦力差が全てなんだろうな、と思います。やはり戦術よりも戦略なのね、と。
カバーを外して「ユトラント沖海戦」の追加情報を知る。
作者の趣味全開の作品なので、こういうところも隙がないのは楽しい。あくまでおまけなので、有無の是非は問わないのですが、あると嬉しいよねやはり。
戦争を描いた漫画であるけども悲壮感が少ないのは、戦史を描きたいという方向に振れているからでしょう。賛美でも拒絶でもなく、 -
Posted by ブクログ
世界各国が覇権を取り合ったインド洋の略史。
一つ一つのエピソードで、小説や漫画に映画とエンタメ作品に十分のボリュームがあるのだろうし、巻末の参考資料の紹介見るだけで深く広い魅力があるのだと思います。作者の黒井緑さんは、海洋歴史漫画を描いている人として認識しているので、今後の本人の活動に期待。
こんなに面白いジャンルが眠っているのに、描いてくれる人が少ない。だから自分が書くしかない、という気概もあるのかしら。田中芳樹さんが中国史で思ったことと似ているのかもしれない。
『三国志』が面白いのはもちろんだけど、右も左も『三国志』ばかり。他の時代もすごく魅力的なんだ、ということを訴えてきたけど進展が見ら -
Posted by ブクログ
元サブマリナーという経歴を持つ著者。いつもニッチともいえるテーマを選んだ作品を記していますが、今回は日露戦争後に、アメリカ海軍が主力戦艦16隻を連ねて世界を周航したことをテーマにしています。
時に日露戦争で勝利した日本脅威論などもあり、世界に対するアメリカのプレゼンスを示す必要があり、当時のセオドア・ルーズベルト大統領の肝煎りで強行された平時の『砲艦外交』の苦闘が綴られています。
改めてこの本で、この航海のことを読んでみると、当時の海軍力を対外的に示しておくことの重要性や、この周航がアメリカ海軍にとって大きな財産となったことがよく分かります。 -
Posted by ブクログ
日露戦争の勝利によって、太平洋の制海権を手に入れた日本。西海岸が太平洋に面するアメリカが、新たな脅威となった日本に対してとった行動は、主力海軍の世界周航。
時の大統領、セオドア・ルーズヴェルトが強引に進めた大計画。その開始から終幕までを描いた「白い艦隊」。アジアの端っこの小国日本がロシアに勝利したということが、どれだけの衝撃を世界に与えたのかがうかがえます。
世界周航で各国との外交ルートを強化し、同時に海軍の実地訓練もこなす、という目的を達成してしまったのは、壮挙でしかないのでしょう。これ以上ない示威という結果になりましたが、紙一重で自慰で終わった可能性もあったのではないか、と思います。艦隊