山井教雄のレビュー一覧
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『まんがパレスチナ問題』続編です。前書と同様、地図、イラスト入りで分かりやすくなっています。でも、中東情勢は複雑で難しい。
イスラエルのガザ侵攻の凄まじさは、次のように表現されています。
“がれきを片づけてると遺体や不発弾がゴロゴロ出てくる”
アフガニスタン戦争、イラク戦争、アラブの春、イスラム国
いずれの項目も理解があいまいな部分多く、児童書を併読しながら学び直しています。
アラブ世界の革命運動を読んで思ったのは、若者の行動力はすごいということです。しかし、独裁政権を倒せたとしても、民主化への道のりは厳しいということも分かりました。
ニッシムくんの言葉が、強く印象に残りました。そのまま、筆者の気持ちであると思います。今の平和の有難さを噛みしめました。以下、記します。
“日本の「安全」や「平和」は日本人の心、「人を信じる心」で守られているんだ。......日本は「普通の国」になんかならないんで、「希望の国」、ぼくの憧れの国であり続けてほしいよ!” -
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タイトルに“まんが”とあるので、一般的なコマ割りしてある漫画を想像していましたが、文章よりイラストの比率多め余白多めで、とっつきやすい解説書といったところでしょうか。複雑で長い、ユダヤ人とパレスチナの地の4000年の歴史を分かりやすく説明してくれる良書です。“理解したい気持ちはあるけれど、難しいからどうしようかな”と思っている私みたいな(?!)大人に最適。
ユダヤ人のニッシムくんとパレスチナ人のアリくんの2人の対話形式。時々、ねこちゃんも登場して楽しく読めます。宗教の解説のところは私には難しくて2度読みしました。パレスチナ問題の大枠を理解できとても良かったです。知識の整理ができただけでなく、ハッとさせられる記述がありました。以下、記します。
・宗教は人間の最善の部分を引き出すように作られているはずだけど、時として、人間の一番邪悪な部分「憎しみ」を引き出しちゃう
・民族意識なんて、血やDNAの問題じゃなくて、教育や環境によって作られちゃう
・民族紛争解決のポイントは、「憎しみや恨みを忘れて、テロと報復の連鎖を断ち切ること」と、「隔離や分離をしないで他民族が平和に融合した社会を目指すこと」
本書を知ったのは、確か昨年。(20年も前に出版されているのですが)読もうと思ったもののそのままで。ヒボさんのレビューで、“いつ読むの、今でしょ!”となって、読むことができました。きっかけを、ありがとうございました。合わて“続”もあることを知り、少しずつ読んでいます。 -
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この本のエピローグの部分を読んでいた時、少しだけ涙ぐみそうになりました。
ユダヤ人の少年とパレスチナ人の少年が、それぞれの歴史や宗教を辿る一冊。紀元前から9.11の影響についてまでの歴史がまとめられています。タイトルには「まんが」とありますが、まんがというよりかは挿絵くらいの理解の方が近いでしょうか。
少年二人の対話と、解説役のねこの説明を中心に進んでいき語り口は平易で読みやすかった。それに近現代の歴史だけでなく神話や紀元前、三大宗教の話もあり、パレスチナに関する情報も網羅されていて、これ一冊で2023年のイスラエルとガザの問題の根源にあるものはある程度理解できるのではないかと思います。
神話から9.11までたどっていくため、情報量が非常に多くかったので自分には一読ですべてを理解するのはちょっと難しかったです。ただ先に書いた通り平易で読みやすい語り口なので、なにかわからないことや、忘れたことがあれば気楽に読み返すことができるのもいいと思いました。
オスロ合意というのは、名前はなんとなく知っていたけどこの本を読んで、この時のパレスチナの人たちの希望を想像してしまいました。そして2024年5月現在のイスラエル・ガザの現状を見ていると、このオスロ合意のときにもっと何かできたことはなかったのか、と少し思ってしまう。
報復の連鎖と絶望で過激派に走るガザの若者たち。ホロコースト以降、自衛のため強硬になっていくイスラエルの右派たち。そしてつくられたヨルダン川西岸とガザの壁は、進撃の巨人よろしく、人間を壁の中に閉じ込め天井のない監獄を完成させてしまいました。
この本は、最後に二人の少年に関する意外な事実が明らかになり閉じられます。自分はこのフィクションの部分の希望と美しさと、日々流される現実のあまりの救いなさに苦しくなったのだと思います。
今回のイスラエルの侵攻が終わった時、世界各国は何を思い、イスラエルは何が変わるのか。過去にも、いま起こっていることにも何も関われないけど、そのことを注視することだけは忘れないでいたいと思います。 -
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最近良く聞くパレスチナ問題というものについて、恥ずかしながら本当に全く分かっていなかったのですが…
まんがならまだいけるか、と思い読み始めたところ、やはり絵が多いのとそれに伴って文量が少ないもんで、するっと読める。んですがだからといってボリュームが少ないなんてことはなく。
それこそ聖書の時代、紀元前から続くまさに歴史! というようなストーリーが展開されてまして、この問題、こんな根深いもんだったのかと。
また、まんがパレスチナ問題、というタイトルのまんがの部分。ストーリーについてもエピローグで意外な展開を見せてまして、そこに作者の思いのようなものも感じられ、そこもまた感慨深かった。
パレスチナ問題についてだけでなく、そもそも歴史ってジャンルはこんな面白かったのか、という気付きがあり、ちょっと学び直してみようかなぁなんて気になりました。
次は続〜の方も読んでみようかと思います。 -
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4日間の戦闘休止…
そんなさなか、ようやくちゃんと学ぼうとしている。
あるワイドショーで「ガザでの戦闘について自分には何ができると思うか」というアンケートをとったところ、48%が「歴史を学ぶ」と回答したという。過去に読んできた本でイスラエル・パレスチナ問題に触れたものはあったが、正直説明できる自信がない。
歴史すらしっかり学べていなかったことになる。
タイトルの「まんが」はコマで分けられたものではなく、各ページイラストを使って解説していくスタイル。
ユダヤ人のニッシムとパレスチナ人のアリ少年、エルサレムに住むネコがタイムトラベルをしながら解説役にまわり、時にはその時代の代表者も話に加わったりする。
この2人と1匹がとにかく優秀!
解説は簡潔明瞭でありながらきめ細やかであるため、出来事が順番にインプットされていく!「日本一わかりやすい」と帯に書いてあったけど、自分も忘れた時にはまた本書を読み返せば良いと思っている。
アリ君はちょっぴり激情型だけど、美辞麗句でごまかすよりもあれくらい赤裸々な方が逆に信用できる。「これが彼らの本音なのかな」って。
古代エジプト王朝が各地の部族を征服・統合してもファラオは彼らの部族神を抹殺しなかった。
しかしユダヤ人は自分たちの神(ヤハベ)以外を認めず、遂にはモーゼと共にエジプトを脱出した。ニッシム少年曰く、ユダヤ教には選民意識がありユダヤ人でなければヤハベの恩恵は受けられないとのこと。
上記を知るまでユダヤ人を悲劇的な民族の代表格みたいに思っていたけど、パレスチナ人も相当理不尽な目に遭っている。
第一次大戦が終わりイギリスがユダヤ人を無制限でパレスチナに移民させて以降、パレスチナ人はヨルダン川西岸やガザ地区で難民生活を強いられている。挙句の果てにはイスラエル入植地を守るという名目で、パレスチナ側に大きな壁まで造られてしまった。(流れがアメリカ先住民と入植者みたいで、どこでも似たようなことが起こるんだな…)
隣国同士の少年を解説役にあてた理由が、この辺でよく分かった。
「テロリストを作るのは貧困じゃないんだよ。絶望なんだ」
「(民族的憎しみが)まるで歴史的事実で、人の力ではどうにもならないもののように思われてる。だから、世界のどこかで民族紛争が起きると、[中略]民族を引き離すことしか考えない」
平和への鍵は各民族が共存できる世の中。
エジプトの多神教社会も他の神を受け入れ、中には習合させたりもした。スペインのイスラム王国である後ウマイヤ朝でも国民の60%は異教徒だったという。
風通しをよくすることで人も国も豊かになるというのに、何故わざわざ絶望させる方を選ぶのか。
鍵の形は分かっているのに誰も先へ進もうとはしない。
歴史はある程度学べたが、何故足踏みするのか疑問が後を引いている。ここは<続>に託そう。 -
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2005年〜2015年について。
前作を読んで衝撃でしたが本作も衝撃でした。
物事はこんな風に悪化してきたのかと。
宗教や派閥が馴染みがなく複雑でややこしいな、と日本の中でどれだけの人がきちんとこの問題を理解し重要視できているのかなとふと思いました。
きちんと状況や人々の行動の理由の原因などを把握していないと、外交で悪手を取りかねないのではと思う。
読みながら、この先世界平和もイスラエル・パレスチナ問題の解決も不可能なのではと絶望しかけましたけど、終盤のねこのコメントでちょっと持ち直しました。
何かを変えようとしたら命懸けなのだなと改めて思わされました。
正直、イスラエル独立を阻んだオバマの拒否権にはがっかりしてしまいました。自分が可愛いんだ、と。
でもオバマさんにも家族がいるし、アメリカほど大きな国だと難しいこともあるのかもしれない。
だからと言ってパレスチナの人たちにも大事な家族がいてどちらが、とかそういう比較の問題でもないのだけれど。。
第二次世界大戦後のアメリカの日本統治がどれほど奇跡的な成功だったのか。
自分は日本人の倫理観で、嫌だなと思うところもあるけどやっぱり良いなと思うこともある。
相手を信じられるところ、他人のものを奪わないこと。一部に、倫理観が欠如して自分が良ければ良いと思う人がいるのも事実ですが、それになびかず自分を律することができる人が多くいるのは誇りだと思います。
自分が良ければそれで良いと言う身勝手な人はSNSの発展に伴い注目度を浴びるためにか目につくようになりましたが、そういうのに流されずきちんとした倫理の教育が日本の子供達に受け継がれていくのを願うばかりです。
憎しみの連鎖を断ち切る、並大抵の覚悟ではないと思う。誰だって苛立つし悲しいしやり返したい感情はあるはず。そこで止められるか否か。目先ではなくもっと先の未来の平和の展望のために行動できるか。
ワンピースのしらほしを思い出しちゃうね。
中国経済の影響力が高まったらハリウッド映画の悪役から中国人がいなくなったという記事を見たことあります。
逆に、ユダヤ人がハリウッド映画も牛耳ってるのであれば、ユダヤ人のポジティブキャンペーンみたいな意識があるのかなと思い至りました(今更?)
ホロコースト題材の映画は賞レースなど評価高いのも、ユダヤ人に対する同情を広めたいとかあるのでしょうか。
映画は政治的なものと肯定的に思ってきましたが、そこで偏った発信になっていたとしたら、慎重に見極めなくてはならないと思わされました。
今現在、ガザで起きてること。
注視していかなくてはならないなと思いました。
それと、日本は安全だし暮らしやすいし、出生率が下がっているから外国の移民受け入れが求められるということで外国人が増えていくと思うけれど、それにあたって今ある日本の良さを失わずにいけるように、日本の価値観・倫理観の良いところは譲らず貫いていきたいと思いました。
移住してきた外国人の都合の良いように言うことを聞いてしまったら、日本の良さがなくなり、アラブの一部の国や人のように報復する価値観になっていったとしたら争いが尽きない国になる可能性もあるのかな?と。だいぶ飛躍してますが。。
過去の歴史や今の現状をきちんと知って過ちは繰り返さないように、そして希望は捨てずに平和に向けて行動しなくてはいけないな。
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世界史を習ったことがない、何も知らない27歳です。今世界で起こっている現状を少しでも知っていきたいと思い、この本を手に取りました。
非常にわかりやすいですが、なにせ何の知識もないので、まずは宗教というもの自体を学ぶところから今は始めています。『教養としての宗教入門』や『はじめての聖書物語』、『ホロコースト』、『物語 フランス革命』、『物語 エルサレムの歴史』、『世界史の中のパレスチナ問題』を同時に読み進めながらですが、まだまだ最初の方の章で止まっています。
十字軍やインディアンの歴史、ローマ帝国についてもさらに知りたくなりました。始まりは全て同じ宗教であったはずなのに、なぜこうも歪んでしまったのか。絵が可愛くて読みやすいですが、この裏にある沢山の残酷な歴史を思うと、これくらい可愛くないと心が潰れてしまいそうです。 -
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2023年のイスラエル・パレスチナ間の問題について勉強・知識不足故に背景が全くわからず問題の理解が進まないため、少しずつでも知っていくためにまず、読みやすそうなこちらを手にしました。
まんがとタイトルにありますが、コマ割りの漫画ではなく挿絵がたくさんあるもので本以上漫画未満(絵が入っているという意味で)という感じです。
挿し絵があることでイメージしやすく、一通り流れを追って読むことができました。
また、語り手がパレスチナ人、ユダヤ人の少年と不思議な猫という複数の視点のものであるから偏りすぎずに読める点も良かったです。
長い今までの歴史があり、そして今なお続く因縁関係における出来事の一つが最近の報道なのだとわかりました。
ガザ地区への攻撃、子供の被害など胸が痛むもので何故こんなことを?と不思議で全く理解できませんでしたが、この本を読んで、大まかな経緯はわかりました(共感できる、納得できるという意味ではないです)。
対岸の火事のようにただ他人事のようにみていて火の粉がかからない位置から平和を祈るだけ、というのは何もしていないのと同等ではないか?とロシアのウクライナ侵攻についての小泉さんの本を読んで思い至りました。
ガザ地区への攻撃をやめてと言って止まるのなら、とっくに止まってますよね。
声を上げることが意味がないとは思いませんが、それを言うだけ、というのは安全地帯から憂いて平和を願う大人が行う行為としては力がない気がします。
イスラエル、パレスチナ間の和平交渉の場を設け、話し合いを進めていくことも大事なのは、この本で語られる過去の和平交渉の機会やノーベル賞受賞などからもわかりますが、話が進んでも、パレスチナ側に民主主義的視点から国を率いることができるリーダーの資質を持つ人材がいないこと、絶望が蔓延して諦めてしまっていることなどから、学問の教育だけでない政治の指導が必要なのではないかと思えました。
またイスラエル側の暴力に対して暴力で対応する姿勢について、それを止める倫理観の教育が必要なのではないかと思うのですが。信仰する宗教故に価値観倫理観は変え難いのでしょうか。
多様性尊重が叫ばれる世の中で、それに従わないとキャンセルカルチャーが蔓延してる西側諸国。
多様性尊重の気配がないイスラエル・パレスチナ問題、と思ってしまいました。
そもそも、、、最初の神話的な話って、作り話なのではと、無宗教の人は思うのではないでしょうか。
罪のない人を殺してまで尊重する価値がある神秘とは思えないです。
その根本的な聖書の話に突っ込むのは、またイスラエル・パレスチナ問題とは違うと思いますが、疑問に思わずにはいられませんでした。
自爆テロをする人に対して理解できませんでしたが、この本を読んでその行為に至ってしまう絶望の引き金、理由を知ることができました。
帰る家どころか国もない未来もない、と思って、自分の行動で天国に行け、家族にお金が入るから、敵は殺して良いと吹き込まれ続けたら、病んだ心はそれに傾いてしまうのだろう。とんでもなく悲しいことだ。
そんな人たちがいたなんて。
民族紛争解決のポイントは「憎しみや恨みを忘れて、テロと報復の連鎖を断ち切ること」と、「隔離や分離をしないで他民族が平和に融合した社会を目指すこと」(P.263)
確かに、と思う反面、自分の国で自分の周りで、と考えた時に果たして多くの外国人を受け入れられるかと思うと複雑である。日本の未来を考えて、受け入れなければ難しいと言うのはわかっていても、価値観倫理観は日本ベースであって欲しい。かといって、外国人の人たちそれぞれの母国の文化を貶したり無くしたい訳でもない。だけど、、日本では日本を優先して欲しいって言うのも、衝突になるのかな。
同じ人間だから、もっと大雑把に?ってなるのかな?
でも、同じ人間でもバラバラの性格、考えを持つ人たちで協力して社会を作っていく中で協調性とか勤勉さとか、日本の考えは効果的と思うこともある。悪いところもあるけれど。色んな国の良いところ、を混ぜてがいいのかな。
でも国のトップはそういう悠長なことは考えずに、利益と外交で決めていくのだろう。
映画は政治的なものと常々思ってはいたが、映画が所々に引用されているのをみて改めて映画は政治を描いてきたのだなと何だか映画好きとして誇らしくなってしまった。