周防柳のレビュー一覧

  • 八月の青い蝶

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    『安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから』
    広島平和都市記念碑に刻まれた言葉。
    この言葉の本当の意味を、私は深く考えてこなかった。

    ー「過ち」とは、一体誰の「過ち」なのか?帝国陸軍か?
    本当に原爆投下が戦争を終わらせのか?
    地獄ともいえる惨劇の犠牲者となった人々が、果たして「安らかに眠る」ことができるのか?―

    様々な論争が起こっている事をニュースで知っても、戦争を知らない世代の私はそこまで関心を持てなかった。
    教科書の上の出来事。文字にすれば1ページにも満たない過去の惨劇。それが私にとっての「原爆投下」だった。

    この小説で、広島の原爆投下直後の描写が出てくるが、体験していないのに関

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    2016年09月24日
  • 恋する女帝

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    ネタバレ

    単行本で登録したが、実際は婦人公論掲載の連載を読み終わったと言うことで。

    こんな女帝がいたとは、歴史に疎い自分は知らなかった。この時代はあまり知らず、人物の評価もよく知らなかったが、先入観なくて却って良かったかも⁈
    一度退位しながら、再び即位した稀なる天皇の物語。里中真智子さんも題材にしたことのある方らしいが、そっちも知らなかった。
    ラストは、うっすら予想できたけど、ニヤッとする展開だった。

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    2025年03月18日
  • 小説で読みとく古代史 神武東遷、大悪の王、最後の女帝まで

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    ネタバレ

     周防柳は、2冊ほど読んでいる。『蘇我の娘の古事記』『逢坂の六人』、どちらも曖昧模糊とした古代の出来事を、限られた史料の断片から紡ぎ出し、無限の想像力で繋ぎ合わせたストーリーが見事で、ファンになった。
     その著者の近著がこれ。小説ではなく、自身や、その他の歴史小説家の作品背景となる古代史を、史料のみならず、小説作品から描き出してみせるという離れ業のような一冊。

     もちろん、遠く霞の中の古代史のお話なので、どの作家の、どの作品の、どの想定も、解釈や見解の差異を孕む。明らかに創作だったり、むしろ意図的に史実に反する設えにしているものもあり、そのことも踏まえて、「これは○○の説を踏襲したもの」とか

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    2023年08月07日
  • 小説で読みとく古代史 神武東遷、大悪の王、最後の女帝まで

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    書店でふと見かけて、ブックガイドとしての側面を期待してゲットしたもの。なんせ著者のことも未知だったし。不明な部分の多い神話の時代から奈良時代あたりまでを、小説の読解を通じて想像してみよう、っていう内容。読みたくなった小説はあまり見つからなかったけど、この時代に対する興味は沸きました。

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    2023年03月22日
  • 八月の青い蝶

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    本やさんで何気に見て、タイトルに惹かれて購入。
    内容も分からないまま購入した。

    もっと気楽に読める作品かと思っていたので、ヘビーな内容だったことに少々戸惑った。
    80歳になろうかとしている死を目前にした老人が体験した、純粋な恋と原爆のストーリー。

    戦争を語る人が少なくなっている中で、この作品は、広島という地域の過去、生き方、現実を突き詰めてくる。
    戦時下の暮らし、風景、原爆投下直後の光景……など、丁寧な描かれていると思う。

    個人的には……浅い解釈だと思うが。
    青い蝶を大事に持ち続けていたこと。
    父にも分からないように閉じ込めたこと。
    誰にも話さないまま逝こうとしていること。
    それらを話

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    2021年10月30日
  • 八月の青い蝶

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    ネタバレ

    亮輔の淡い初恋、それに応える希恵、二人が楽しそうに会話する姿、川辺を散歩する姿などが微笑ましい。けれど、そんな二人の純情な恋も、1つの原子爆弾によって、無惨にも一瞬にして引き裂かれるなんて、悲しいの一言だった。亮輔が、原爆が投下され地獄絵図と化した広島の街中を、希恵と約束していた場所に行くために向かい、ようやく辿り着いたその場所で、希恵の赤い鼻緒の下駄と虫籠を見つけた時、二人が一緒に見るはずだった脱皮した青い蝶を見つけた時、なんとも言えない切なさが胸を突いて、もの哀しくなりますが、地獄の中舞うきれいや青い蝶が「なんて美しいんだろう」と思い、それが余計に切なさを増している感じがしました。
    原爆が

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    2020年10月08日
  • 余命二億円

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    なるほど、いろいろ考えるだろうなと。でも、最後の展開はなんか希望に満ち溢れた感出てるけど、そんなことないから。なんか勘違いしてるからw

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    2019年05月29日
  • とまり木

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    ネタバレ

    若くして成功した女流画家・青山伊津子と病弱な少女・小林美羽の不思議な話。
    幼い頃に両親を亡くし、辛い幼少期を過ごした伊津子。ただ、岩手の祖母と共に過ごした日々だけが心の支えだ。美大に進学し、そこで小林という美術評論家に認められ、公私ともに支えられる存在と運命的に出逢った。もう一人の主人公・美羽は小林の娘。姉を病気で亡くし、自身もアトピー、喘息などの病気が有るせいで、何事にも過剰になってしまった母に振り回され脅える日々。作中、I・Mとイニシャルで呼ばれ、遊園地で働く二人の描写、そこが不思議な世界。のちに伊津子が描く彼岸の遊園地、あの世とこの世の境目という不思議な世界で暮らす二人。現世で孤独な二

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    2019年03月05日