周防柳のレビュー一覧

  • うきよの恋花 好色五人女別伝
    前の作品の「高天原」もとても面白かったです。
    今回は井原西鶴の「好色五人女」をオマージュした作品です。
    「真実は小説より奇なり」と言いますが、本当はこんな裏話があったりして?本当はこんな話だったんだよ。
    なんて、噂好きな巷の人々の声が聞こえてきそうな、物語です。
    そして、恋に身を焦がす女性がいきいき...続きを読む
  • 八月の青い蝶
    被爆者という事実を隠そうとした主人公。そのわけにハッとされられた。
    父親の妾との初恋。全て失われたときの絶望。
    とても読み応えのある一冊
  • 八月の青い蝶
    すごく良かった!
    原爆を体験した人が現在で死ぬ時、現在と過去を彷徨いながらその時を思い出す。
    家族のこと、好きな人のこと。
    被爆した時のこと。
    読んでで辛くはなるけど、何故か読み終えると心温まる本でひた。
  • 八月の青い蝶
    淡く瑞々しい恋と原爆の恐ろしさとの対比が見事というほかない。生きるということに疑問を感じたら読む本。
  • 八月の青い蝶
    圧倒された。
    戦争の、それも広島での子供時代
    儚い恋
    軍人の父親の死
    被爆者としての生活、家族
    たくさんの物事が切々と描かれていて
    つらいけど、悲しいけど、
    生きていくんだと、顔をあげる

    ネタバレになるのだけど、
    気持ちにグサッとくる一部を。。。

    生きる、ということは、
    わしはいままでええことじ...続きを読む
  • 小説で読みとく古代史 神武東遷、大悪の王、最後の女帝まで
    この本で言う「古代史」の範囲は、何らかの文書に記録が残っているところから始まり、奈良時代の終わりまで。
    年代順にテーマを決めた章ごとに、時代のあらましと、どんな記録があって(簡単に)、どういった見方がされているか、または論争があるかの説明。
    具体的に作品を取り上げ、歴史的事件や人物をどう見て、どの学...続きを読む
  • 小説で読みとく古代史 神武東遷、大悪の王、最後の女帝まで
    全般的に、ちょっとオーソドックスな作品で構成されている。
     それゆえ、高田崇史氏の小説に対する言及が無い。ミステリー仕立てではあるが、古代史に対する高田史観というのは、色々な縦糸・横糸がずいぶんと張り巡らされるようになっているのだが。
     できれば、タタル氏と対談していただけると楽しいはず。
     
  • うきよの恋花 好色五人女別伝
    面白かった!良質のエンタメ小説。井原西鶴の「好色五人女」を下敷きに、その元となる実話を書いているが、最後の章で、それも西鶴による創作であることがわかる。
    西鶴の人物像にもカジュアルに触れられた。
    ポップな現代文で読みやすく、しかし「正しい日本語」で書かれていて、気持ちよく読める。教養のあるひとはこう...続きを読む
  • 身もこがれつつ 小倉山の百人一首
    文歴二年(1235年)藤原定家七十四歳。
    十四年前の承久の乱で北条義時に敗れ、隠岐へ遠流になっていた後鳥羽院が許されて還御されるといううわさを聞く。
    老いた定家の胸に懐かしさと悔恨、さまざまな思いが去来する。

    後鳥羽院と、定家と、藤原家隆の三人はくすしき絆で結ばれていた。
    十四年前のあの時、家を守...続きを読む
  • 八月の青い蝶
    この物語の分岐点は希恵の娘が死産(もしくは、そして恐らくは福子によっての窒息死)したことの様に思う。もし、この子がいれば亮輔にとっては妹、希恵は本物の妾になった。とてもじゃないが、求婚など出来なかっただろう。

    それにしても、希恵は幼い。妾になったのにも関わらず、その息子と結婚することが可能であり、...続きを読む
  • 身もこがれつつ 小倉山の百人一首
    雅な百人一首作成の裏側で、こんなにも政治的策略が蠢いていたとは。
    時代は平安末期の、貴族社会から武家社会へと大きく変わる激動の頃。
    平家が滅び源氏が台頭、鎌倉に幕府が置かれ平安京の影も徐々に薄まりつつある。時の権力者が目まぐるしく変わり、政の中心も京から鎌倉へ移ったことで治安も乱れ放題。
    このような...続きを読む
  • 八月の青い蝶
    戦争を題材としたものは気分が落ち込む哀しい結末しかない物ばかりなので少し苦手でタイトルからは違うタイプを想像していたので、あれ?と期待を裏切られたスタートだった。
    死を前にした被爆者の主人公が子供の頃の初恋を回想するが戦時中で今とは全く違う。
    出征中にやってきた年若い父の愛人と後妻の母とまだ学生の主...続きを読む
  • 身もこがれつつ 小倉山の百人一首
    定家の人物造形が独特。冴えない風貌で、スマートな遊びも人付き合いもバツ。理屈っぽくて籠りやすく、でも人並みの出世欲と歌の家を背負っている気負いはあって、保身に駆けずり回る。なのに思いがけないタイミングで、真っ直ぐに気持ちを必死に寄り添わせてくる、ピュアな健気さ。イマドキだと「ギャップ萌え」って言うの...続きを読む
  • とまり木
    IやMたちは天国でも地獄でもない「ある場所」で過ごしていた。
    辛い経験、体験からこの場所で生活してる人々。
    この場所の実態を知った者は「生きるか」「残るか」の選択をせまられる…。

    とまり木の意味を知ったら話の内容がしっくりきた。

    正直苦手な内容だと思ったけど読まず嫌いでした。

    もし自分が「あ...続きを読む
  • 八月の青い蝶
    読みづらい文体だというわけではないのに、思いのほか読むのに時間を要しました。ひとつには、偵察機のシーンには興味が持てなかったからということもありますが、そのシーンも含めてとても丁寧に書かれているゆえ、丁寧に読まなければならないような気がしたからです。

    死期迫って自宅に戻った老人の少年時代の思い出。...続きを読む
  • 八月の青い蝶
    原爆を落とされる前後の広島。
    核爆弾投下後の生々しい描写に思わず息をのむ。
    風化させない為に、と自らの体験を語る人がいる中
    体験を語ることの白々しさを感じてしまう人もいる矛盾。
    このぐるぐるとループする葛藤がとてもリアルで、私の頭の中もグルグルとしてしまう。

    戦争は愚かだとわかっていても巻き込まれ...続きを読む
  • 八月の青い蝶
    『安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから』
    広島平和都市記念碑に刻まれた言葉。
    この言葉の本当の意味を、私は深く考えてこなかった。

    ー「過ち」とは、一体誰の「過ち」なのか?帝国陸軍か?
    本当に原爆投下が戦争を終わらせのか?
    地獄ともいえる惨劇の犠牲者となった人々が、果たして「安らかに眠る」こ...続きを読む
  • 小説で読みとく古代史 神武東遷、大悪の王、最後の女帝まで
     周防柳は、2冊ほど読んでいる。『蘇我の娘の古事記』『逢坂の六人』、どちらも曖昧模糊とした古代の出来事を、限られた史料の断片から紡ぎ出し、無限の想像力で繋ぎ合わせたストーリーが見事で、ファンになった。
     その著者の近著がこれ。小説ではなく、自身や、その他の歴史小説家の作品背景となる古代史を、史料のみ...続きを読む
  • 小説で読みとく古代史 神武東遷、大悪の王、最後の女帝まで
    書店でふと見かけて、ブックガイドとしての側面を期待してゲットしたもの。なんせ著者のことも未知だったし。不明な部分の多い神話の時代から奈良時代あたりまでを、小説の読解を通じて想像してみよう、っていう内容。読みたくなった小説はあまり見つからなかったけど、この時代に対する興味は沸きました。
  • 八月の青い蝶
    本やさんで何気に見て、タイトルに惹かれて購入。
    内容も分からないまま購入した。

    もっと気楽に読める作品かと思っていたので、ヘビーな内容だったことに少々戸惑った。
    80歳になろうかとしている死を目前にした老人が体験した、純粋な恋と原爆のストーリー。

    戦争を語る人が少なくなっている中で、この作品は、...続きを読む