栗原俊雄のレビュー一覧
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戦後は未だ終わっていない。軍人、軍属の恩給とは異なり政府に切り捨てられた民間人の戦争犠牲者。遺族たちの長い戦後を追った一冊。
政府に直接雇用されていないとの理由から補償されない民間人、空襲と被害者。遺族や障がい者、孤児などの生存者の人数も相当に減ってしまった。それでも行われぬ補償。
司法判断を避け立法に委ねながらも実現しない。
受忍論を掲げつつも占領終結後、速やかに復活した軍人への恩給。政府が一部の人の利益にしかならない政策をいつの間に行うのはいつの時代も変わらない。
そもそも空襲を知らない人も多いだろう。さらに日本人の多くが知らない事実に目を向けた作品。 -
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特攻。
世界戦史の中で日本だけが実行した十死零生の自爆攻撃。
特攻が実行される前、その下地、特攻が許容される日本人の潜在意識、という歴史的且つ精神的な背景。
そして特攻が実行されるに至った経緯、発案者、実施者、命令する側から見た特攻、命令される側である一般兵士の特攻。
視点によって全く違う特攻が其処にある。戦後、生き残った命令者は特攻は自発的なものであったと言い張り、生き残った特攻隊員は自分の意志すら確認されない命令であったと言う。もちろん自発的な特攻もあったのだろうし、有無をいわさず特攻部隊に異動になる事もあったのだろう。
一括りで全体を説明することはとても難しい。大正時代から昭和初期に男子 -
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[ 内容 ]
真珠湾攻撃の直後に竣工し「世界最大・最強」といわれた大和。
だが、この巨艦はレイテ沖海戦などを経て沖縄へ向かう途中、わずか二時間余りの戦闘で撃沈された。
約三〇〇〇人の乗組員の内、生還者は三〇〇人足らず。
著者は生存する二三人からその凄惨きわまる体験を取材、大和の航跡と戦争の実相、生存者や遺族の願いを伝える。
[ 目次 ]
序章 誕生
第1章 初陣
第2章 海戦
第3章 出撃
第4章 沈没
第5章 生還
第6章 責任
第7章 遺族
第8章 戦後
第9章 真相
第10章 未来
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆ -
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特攻の歴史を概観できる新書。特攻が「組織的行動」になる前から、その雄姿を讃える土壌があったこと(楠木正成、肉弾三勇士…)をはじめに指摘。そこからどう「特別攻撃隊」として編成していったかが語られる。止む無く始めた特攻も、「敷島隊」の戦果から積極的に採用されていくが、米軍の対抗策から次第に戦果も上がらなくなっていき、末期には特攻じたいが自己目的化していく。
本書が珍しいのは、短いながら「特攻」の戦後史が書かれている点だ。かつて神と崇められたが、戦後には犬死と評価され、「特攻くずれ」という差別語も生まれる。また『戦艦大和ノ最期』も当初(1950年代前半)は戦争賛美として批判されたという。戦前戦後の断 -
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超ド級の大和型戦艦1番艦である「大和」は、同型艦「武蔵」とともに、世界最大の戦艦として世に知られている。
本書はその「大和」を概説するルポである。
まず最初の3分の1ほどで「大和」建造の背景、ミッドウェーから沖縄特攻に至るまでの戦歴などが簡潔に紹介されている。
戦艦「大和」を語るという場合、そのほとんどは、天一号作戦と呼称される悲愴な沖縄特攻作戦と撃沈についである。
そしてご多分に漏れず、本書も存命している生還乗組員へのインタビューを通して、その模様を点描している。
ちなみに、他の戦史ドキュメンタリーと大きく違うのは、著者は戦艦「大和」を通して、反戦・反軍国主義 -
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戦艦大和について書かれた本はやまほどあろう。本書の特色は、使い惜しみされた大和が実際にどれほどその威力を発揮したかという戦歴をたどったあと、すでに20人ほどしか残っていなかった大和の生還者たちにインタビューすることで、大和の最後の様子、生死をわけた理由、生き残ったものたちの戦後を語ろうとしている。大和が片道燃料しか積んでいなかったのはウソだったとか、吉田満の『戦艦大和の最後』に書かれた、駆逐艦にしがみつく生存者の指を艦上の上官が切り落としたのは事実かどうか、大和の沖縄行きは水上特攻であったはずなのに、戦死者たちが2階級特進しなかったのはなぜか等、新たな問題提起も多く内容は新鮮だ。ほとんど活躍も