『東大生』を育てるためというよりも、もっと幅広で視座の高い、子育てメソッド本。
特に幼児から小学低学年までの子を持つ親にとってはとても有益な一冊だと思います。
活字の分量は決して多くはないですが、内容がぎゅぎゅっと詰まっています。
以下、個人的に参考になった21個のダイジェスト。
1.
小さい頃は、あらゆるところに注目して、ほめ続けることが大事。
普段からほめ言葉をさりげなくかけてもらっている子どもは、自己肯定感を自然と得ることができる。
伸びしろのある子とは、「自分はやればできる」という強い自信を持っている子。
2.
小学3〜4年生以上であれば、表面的な点数ではなく、子どもの満足度に合わせて褒めることが大切。
例えば、同じ60点でも、その60点が精一杯頑張った結果で、本人の満足度が80%くらいあるなら、80%分しっかりほめる。
褒め方のさじ加減が重要。
3.
得意科目は自信がある分、さらに点数を積み上げることがそれほど難しくない。
点数があがればますます自信がつくし、そのうち点数を上げるコツも掴んでいく。
子どもが勉強の楽しさを感じるのはこうした過程。
勉強の楽しさを少しでも感じてきたら、次はまあまあ得意な科目の点数を上げるという課題に挑戦する。
そうして「自分はできる!」という自信と点数を上げるコツを掴んだら、苦手科目に少しずつ挑戦すると良い。
4.
勝負の楽しさを知らない子は、勝負の経験が乏しい。
逆に勝負できるの子は、その楽しさを知っている子。
多くの子が挑戦しない傾向にあるから、勝負好きというだけで、大きなアドバンテージになる。
5.
家の中に勝負の空気を作る。
たまに遊ぶという程度では、勝負の楽しさを知るには至らない。
日常生活の中に沢山の勝負を持ち込むことが大事。
例えば、駅までどっちが早く着くか、誰が早く片付けられるか、誰が最初に外出の準備ができるか等。
あらゆることで勝ち負けや序列をつける。
勝負したがらない子の中には、失敗や負けを過剰に恐れる子がいる。
負ける経験を十分に積んでこなかった。
親がゲームで手加減をする、子どもが負けそうな競争には参加させないといった配慮はおすすめしない。
大事のは、負ける経験を十分に積ませ、同時に負けた悔しさをしっかりと受け止めさせること。
そしてその悔しさを跳ね返すために、次にどんなアクションを起こすのか自分で考えさせること。
6.
子どもがまだ小さい時に、特に大事にしたいのが、親子で入るお風呂の時間。
お風呂は心も身体も裸になるから、心身ともにリラックスできる時間。
そういう時間は、自尊心を養うのにうってつけ。
なぜなら、心からリラックスしている分、すんなりと厳しさを受け入れるから。
湯船に浸かっている間は思い切り甘えさせる。
その一方で、身体は自分で洗わせて、使った石鹸やタオルは元の場所にきちんと戻させる。
それを当たり前に繰り返す。
7.
自分で決めることがやる気につながる。
子どもがまだ小学校低学年くらいで、選べないと思っても、選択肢は与えるべき。
それも3冊とか5冊ではなく、20冊くらいの候補から1冊を選ばせる。
8.
子どもがまだ小さい場合でも、「これをしよう!」と大人の提案に従わせるのではなく、子どもの意志を尊重させる。
例えば公園で遊ぶ時も、いくつかの遊び道具を持って行って決めさせる。
決めるトレーニングをする。
9.
伸びる子は常にハングリー。
喜や楽の時、すなわち子どもが満足している時に、親がどう対応するかが、子どもを伸ばす鍵となる。
伸びる子は、それなりに自信はあるが、同時に満足するにはまだ何かが足りないという感覚(ハングリー精神)が持てる子。
だから、成果に相応しい褒め方が絶対に必要。
大いに褒める瞬間があったとしても、それはまだゴールではないのだと子どもにら感じさせる。
「よく頑張ったね。さあ、これで90点を目指す準備ができた」
良い意味で水を差す。
10.
旅が子どもを大きくする。
たとえ隣町までの一人旅でも、親に連れられていく隣町と、1人で行く隣町とでは、その子が見る景色は全く違う。
自分の限界をちょっと越えればクリアできるレベルを設定する。
限界を超えた経験を与える。
11.
上手くいく家庭は母親主導
夫婦どちらかがイニシアティブを取り、もう1人はフォローに回る体制の方が、子どもは勉強に集中できる。
子どもの教育に関しては、お母さんがイニシアティブを取る方がうまくいく可能性が高い。
一般的に子供と接している時間が長いお母さんの方が、子どもの性格や気持ちを正確に把握しているし、母性の関係性の強さを考えれば、母親に分がある。
12.
子どもの情報は夫婦で共有しつつも、お父さんは勉強のことには直接口を出さない。
でも塾の送迎はお父さんがやる。休みの日には一緒にスポーツをする。
それくらいの関わり方がベスト。
13.
小さい頃に積ませておきたいのは、「続けられる」という成功体験。
子どもが小学一年生の頃から、タイプの違う計算ドリルを5冊用意していた。
そして、そこから自分の好きなものを選んで毎日5分取り組む、と言うテーマを与えた。
また、子どもは単調さを1番嫌うから、1冊の問題集でも、好きなページからやって良いというルールを設定するだけで継続させやすくなる。
内容よりも、とにかく継続させることが大事。
14.
モチベーションの維持に必要なのは、「自分で決める」という段取りを確実に踏ませること。
「集中力」を鍛えるには、1時間の勉強を不定期にやるよりも、5分の勉強を毎日続けること。
時間が短くても、100%の集中力で取り組ませること。
15.
子どものテストの点数は、難しい問題ばかりやらせても良くならない。
簡単な問題を繰り返し解くことで、高い処理能力を身につけさせれば、難しい問題も少しずつ解けるようになる。
解ける応用問題のバリエーションを増やすよりわどんな問題にも対応できる基礎力をつけることの方が大事。
16.
どんなことであれ、夢中になった経験が乏しいと勉強の集中力も弱くなる。
だから、子どもの学力を伸ばしたいなら、勉強以外の何かに夢中になるような経験を意識的に積ませる必要がある。
集中する感覚を掴む。
17.
リビングを勉強の場にする。
孤独と無縁にする。
理想的なのは、お父さんは読書、お母さんは家計簿というように、同じリビングのテーブルで、それぞれが別の作業に集中している状態。
これは、集中ひている人の邪魔をしないというマナーを学ばせるのに良い方法。
また、親の時間は全て自分のためのものという甘えを断ち切らせるにも有効。
親が仕事をする姿は、子どものやる気を刺激する。
18.
どんな叱り方をするか。
それは、徹底的に戦うこと。
戦うとは、力で抑えるのではなく、徹底的に子どもと向き合うこと。
子どもと戦うために必要なこと、それは子どもにきちんと言い訳をさせること。
子どもが十分納得していないうちは、戦いをやめてはいけない。
何時間かかろうと議論して、納得させて終わることが大事。
19.
失敗の原因が能力不足なのか、努力不足なのか。
単純なミスは注意すれば防げたものだから努力不足。
それは厳しく叱らないといけない。
仕方ないことでは叱られない、でも努力しなかったら叱られるというルールを親子で持つ。
20.
1日のうちはやるべきことをホワイトボードに書き出し、やったものから消していく、という方法を子どもに提案。
それぞれの課題は5-10分程度で終わるもので、それをいつやるかは本人の自由。
21.
東大生が育つ家の最大の特徴は「仕掛け」。
家中のあらゆる場所に、勉強につながるものがさりげなく置かれている。
テレビのそばに世界地図や地球儀、ソファのそばにタブレット。
同じ参考書を2冊用意して、1冊は本棚に、残りの1冊は家の中の別の場所に置いておく。
トイレに薄い問題集と鉛筆をセットしておく。
壁に漢字の一覧表を貼る。
お風呂に日本地図を貼る。
自然と視界に入ってくる、手を伸ばせばすぐそこにある、という環境を作る。