鈴木素子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の世界を広げてくれたという意味では、ここ1〜2年でもトップクラスに面白かった。
動物の肉を食べるためには、
・家畜が機械のように、量産され虐待とも取れる扱いを受けなければならない
・そのために広大な土地が必要で、森林が伐採されている
・その家畜の排泄物などによる土壌、水質汚染や、温室効果ガスの増加も伴う
・大量の家畜のための大量飼料が必要で効率が悪い
と言った多くの問題がある。
そんなことほぼ考えたことなかったが、人口が増え続ける今、これらの問題は向き合わなければならない課題なんだと痛感した。
そしてそれを解決しようと立ち上がっている人が増えてきていて、技術的にもかなり実現が近づいてい -
Posted by ブクログ
細胞を培養して畜産品を作るベンチャー企業たちのお話し、医療の世界ではすでに皮膚移植等に使われている技術を、食品や装飾用レザーに使うらしい。
細胞を培養する際に使用する酵素は、遺伝子を操作する必要があるらしいのだが、実は今でもチーズの発酵に不可欠なレンネットという物質は、遺伝子操作により作られているそうだ。
現在の酪農には問題点が多く、畜産動物が排出するし尿や二酸化炭素による環境汚染、飼料を大量に栽培するために森林を伐採している事、生産効率重視のための劣悪な飼育環境、そして何より人間の欲望のために、日々たくさんの動物が殺されているという事だ。
食肉培養にはコスト削減や消費者心理など、まだま -
Posted by ブクログ
試験管で作られるクリーンミートに関して、それに関わるベンチャー起業家を何人もとりあげ、その産業の立ち上がりを描いた本。著者アメリカの動物愛護団体の代表を務める。
感想としてはクリーンミートのメリットも分かり、近未来的なものとして食べてみたくなった。正直、平凡な日本人としてはこの本に出てくる起業家のような、家畜の動物虐待を真剣に受け止める感性を持っていない。しかし、逆を言えば、不自然な食品というものに対する抵抗もないわけで、自分自身が特に気にしない人間だということがわかった。
最後の方のフランクリンの話やケロシン、車の発明の話にあるように、信条を変えるよりは行動を変えてしまうのが一番なのだと -
Posted by ブクログ
米国における細胞農業のノンフィクション。人口爆発と肉食する人類増加に向けた対策をフードテックで取り組む人たちの紹介。
試験管で作られる「肉」を非現実的と思うことなかれ。まだ普通の畜産よりは高いけど、いずれ解決されると思った。
市場に受け入れられるイメージを作るには、畜産品には肉1kg作るのに、9倍のエネルギーが必要なこと、サルモネラ等の汚染リスクがあること(だから必ず完全に火を通さないと食べれない)、過剰な抗生物質が使われていることを訴求することが重要。それと畜産動物の扱われ方の紹介して、ショックを与えてから、クリーンミートの安全性をアピール!
かつ、最終的には値段が下がらないとダメだが。
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Posted by ブクログ
食肉、乳製品、皮革など、本来は動物由来で作られる畜産物を、特定の細胞を人工的に培養することにより、科学的に全く同じものを作り出す「細胞農業」の最前線と、商用化に向けた課題をまとめた一冊。
今日の多くの工業的畜産は、大量の飼料を消費する非効率性、それら飼料作物の栽培に伴う資源の浪費、「牛のげっぷ」などによる環境汚染、食肉加工における細菌汚染、家畜が強いられる劣悪な飼育環境といった深刻な問題を抱えている。世界人口が爆発的の増加する中、これらの問題に対して植物由来のフェイクミートとともに有力な解決策となり得るのが細胞農業であり、動物を飼育するのに比べて、必要な部分(肉や乳など)のみを培養して作れる -
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Posted by ブクログ
自分達の食事のために、家畜を部屋に押し込め、屠殺するために育て、取り分を極力増やすために太らせ、管理し易いような種に選別する。殺される事が理解できる家畜は、恐怖で鳴き、糞尿を漏らす。しかし、その工程が美味しいステーキやハンバーグを齎すのだ。ベジタリアンやヴィーガンの気持ちが少し分かる。他方、肉食動物は直接追い回し、食らいつくではないか。生きる為の摂理。何が正しいのか。ただ、人間は変われるのなら、自分たちの得失だけを考えたって、変わるべきだと思った。
食肉を細胞から培養する方が、動物を飼育した上で同じ量の食肉を取るよりもはるかに効率が良い。倫理的な面だけでなく経済的環境的にも意味があるし、温室 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ今、代替肉としてメジャーなのは植物由来のフェイクミートで、すでにスーパーなどでも売られている。本書で扱われるのは動物の筋肉組織を培養してできるクリーンミートの話題。
畜産業によって生み出される食肉は骨や羽毛など、大量の無駄が出るし温室効果ガスの排出量も運輸部門全体のそれに匹敵する。アメリカで使用されている抗生物質の80%は畜産動物に投与されている。目的は病気の治療ではなく、過密な飼育環境による病気の予防と成長の促進だ。世界で生産される大豆もその大半は動物の資料になっており、その栽培のための土地開発は熱帯雨林の森林伐採の最大の原因になっている。(クリーンミートに反対している業界の代表的なものは -
Posted by ブクログ
あまり考えずに大豆ミートなど代替肉の話かなと思って手にとってみみのだけれどもう少し先を行っていて培養肉のベンチャーの話が中心だった。つまり生きている牛や鶏から屠殺することなく細胞だけを摂取してそれを培養し、本物の肉を作り出そうという試み。畜産という産業が環境に与えるダメージは一般的に思われているより大きいらしく、かわいそうな動物たちを救うことはもとより地球の環境を改善する効果があるらしい。肉だけならばすぐに増殖させることは可能なのだけど血管を作ることが難しいらしく血管がないと塊肉ができない、という技術的な制約があって基本的には挽肉しかできないらしいがいくつかの部位だとか皮革が現在も科学的に作り
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Posted by ブクログ
理論的には可能である培養肉の、商品化に向けたスタートアップ企業の動きをまとめている。
ただ、これが本当に世の中に普及していくかどうかは、まだわからない。それほど人間の食に対するこだわりは強いから。
本書を読んでとりわけ気になったのは、食肉に対する考え方についてである。
環境破壊や経済性を理由に語るのであれば理解はできるが、それと同等かそれ以上に語られるのが、動物愛護の観点だ。
たしかに、動物にとってはよい環境ではないし、人間に置き換えたらと思うと胸も痛くなる。が、そこまで思うか?という疑問も同時に起こる。
捕鯨の議論もそうだが、英米ではさんざん食肉を広めてきた歴史とそれに対する嫌悪が共存し -
Posted by ブクログ
ネタバレクリーンミートは代替肉ではなく、本物の肉である。現代のバイオテクノロジーを使って細胞を培養し、動物を殺すことなく、必要な本物の肉を生産していく。そのスタートアップ企業で夢と理想を追う人々を追う。
クリーンミートがこの地球に及ぼす影響は甚大である。それは道徳から環境問題、公衆衛生まで「正」の革命を引き起こす。工業的畜産によって生産=殺される動物がなくなる。現在の畜産による温室効果ガスの放出は車、バス、電車、飛行機、船・・・など運輸部門全部合わせたものより多いが、それが大きく削減される。畜産物の糞便による食中毒がなくなるばかりでなく、家畜- ヒトへの新たの感染症が発生するリスクが極小化される -
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Posted by ブクログ
クリーン・ミート全押しすぎて、途中からだんだん懐疑的になって読み飛ばす。
日本人には魚肉の培養肉版があれば非常に助かると思う。寿司ネタとか需要は急務だろう。そして養殖産業に農耕民族は非常に向いていると思う。生簀養殖してきた海産物や、海苔などの海藻に準ずる循環型漁業は成立しないのか?もう誰か考えているのか?日本型クリーンミートに期待したい。大豆製品とともに。
途中インド人医師の幼少期の体験談を読んで、宗教的禁忌が食糧危機を回避する可能性について考えてみた。仏教が殺生を禁止して四つ足を食べないとか、かつてはそのような宗教的教義が食糧生産や生態系の維持に関係していたのではないかと。食べ物と宗教云々