チャック・パラニュークのレビュー一覧
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抑圧された社会への反逆。
誰かが決めたレールを歩み続けることの疑問。
自己破壊による生への実感。
ファイトクラブにのめり込む彼らには共感できないまでも、この世の中にどこか息苦しさを感じながら歩んでいる自分自身に突き刺さる要素が多く、かなり衝撃を受けました。また、抑圧された社会への反逆という点で、伊藤計劃「ハーモニー」の要素を強く感じました。ファイトクラブの影響を受けたと言われるのも納得です。
ただ、文章がかなり読みにくく、いまどの場面で誰が話しているのが分かりづらいのは欠点かも?結末はだいぶ違いますが、映画版がこの小説の映像化作品として非常に良くできているので、そちらを見た上で、保管として読むのが正解かもしれません。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカルト宗教の最後の生き残りが自身の半生を独白します。
わずか三分半の差で長男になり損ねたことで、彼は教義により、子を成せず教会の奴隷として労働に一生を捧げ、何者にもなれない、と決めつけられていたはずでした。
しかし、彼は教会の生き残りになってしまう。
ケースワーカーとエージェントを得てしまう。
予言者・ファーティリティと出会ってしまう。
それは運命か否か。読後に考えさせられます。
生い立ちは彼自身の選択ではありません。でも、その後の人生は?選択の余地もこれまでの人生からの転換も、十分にあり得たと思います。
結果として、彼は他者に人生を委ねようとしました。それこそが選択であるにも関わらず。
教会の洗脳に従い、ケースワーカーによるDSMに基づいた診断を求め、エージェントのプロデュースに任せ、最後には予言の実行者に名乗りあげていました。
彼は、死に方だけは自分で選ぼうとしていたのだと思います。何度も自殺を思い止まった。兄に殺されるのを恐れた。
ハイジャック犯として独りフライトレコーダーに語りかけることが、運命だったのか自由意志によるものだったか、そして遂げられたのかどうか。読み終えても判然としません。
この手放しに委ねられる不安感と問い。彼の独白を読まされてきた最後に突きつけられ、物語を普遍的なものにしています。
ここまで過激な人生でなくとも、日々暮らす中でふと運命だとか宿命だとか、始めからこうなることが決まっていたのかなと思ったり諦めたりする瞬間があります。
環境や条件によってパターンはあるにしろ、身の上に起こったことを自分の意志で選択した結果なんだと思えたとするならば、それは幸せなことかもしれません。 -
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ネタバレ濃い。
映画版は視聴済みですが、原作を読んでやっと"カルト的"に支持される理由が理解できた気がします。
痛みや暴力の描写に濃淡があるなら、本作は原液の濃さでした。
大量消費の既製品に囲まれ、社会の歯車になって生活する。そうして生の実感が薄れ不眠症を患った主人公が、死を目前にした当事者たちと居るときだけ「自分は生きている」と感じることができる。
しかし、それは麻薬でした。
主人公はどんどん先鋭化していき、より強い生の実感を求めてファイト・クラブを創ります。このとき彼は、ファイト・クラブを創りスペース・モンキーを組織したタイラー・ダーデンが自分自身だと気がついていません。
タイラー・ダーデンは主人公の人格の一つであり、強い欲望が形を持った姿でもあった。
忌むべき父、神のメタファーを内面化し、究極の暴力を作り上げ、そして最後には自身の手で破壊します。
マーラの存在は救いにならなかった。主人公は男性性を憎みながらも欲していて、マーラへ向けたのは嫌悪と依存でした。それを愛と言ってしまう。
主人公にとって、彼女もまた人生の消費財の一つに過ぎなかったのだと感じました。 -
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「ファイトクラブ」などの代表作の著者が書いたカルト宗教にまつわる小説。
ファイトクラブでわかるようにその作風はタブー無しの胸糞悪くなるような内容を含むが、不思議と人を引き付ける。
この本も同様。
小説はハイジャック犯の独白から始まる。
その犯人は自分たちで閉じたコミュニティを形成するカルト宗教で生まれ育ち、生き残った最後の一人だった。
その宗教ではひたすらの労働のみが美徳とされ、性をふくむあらゆる欲望や快楽は忌み嫌うべきとされていた。
そしてもう一つ、現世からの「脱出」が実行された場合、宗教に属する者はそれに続かなくてはならない。
その脱出を実行せず、生き残った主人公は稀有な宗教的存在として世間に祭り上げられていく。。
出てくる人は皆が皆モラル崩壊していた。
一番恐ろしいと思ったのは、カルト宗教以上にモラルを無くし欲望に支配された拝金主義の資本主義構造だと思った。
確かに極端な教義を持つカルトも非常に怖い。
しかし歯止めのない欲望への精神的な後ろ盾を求める資本主義の極致もそれ以上に恐ろしかった。
やはり人を人と思わなくなるように仕向けるのはカルト宗教にしろ、資本主義にしろ恐ろしいと思う。 -
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セックスより気持ちいいことなんてこの世にあるかい?
ダヴィンチの本紹介で見た上記の一文に惹かれて手にしてみた一冊。
セックス中毒の主人公はカウンセリング集会に通ってる。
カウンセリング集会には同じようなセックス中毒者が集まってるから
当然、主人公はそこで不特定多数の女とやる。
主人公の母親はあたまがいっちゃって精神病院。
月に3000ドルの費用がかかるので
主人公はレストランでわざと食事を喉に詰まらせては
誰かに助けてもらい誕生日(嘘の日付)に小切手を受け取る。
主人公の友達は自慰中毒だけど
そこから復帰するために
何かを積み重ねたいと願い
毎日毎日、ひたすら石を集める。
そんな病的な人々がおりなす物語。
みんな病的だけど、特殊じゃない。
少なくとも僕はこの本の登場人物に
共感を感じる部分が多々あった。
自分が誰かのか知りたいし
人から必要とされたい。
と同時に普通にしていては生きている実感を味わえない。
セックスしてる時は生きてる実感がある。
不器用で悲しいところがすごくよい。
頭がいっちゃってる母親が話してる内容がすごくて
核心を突くような鋭いセリフを連発してるんだけど
普通の人から見るとそういう人たちの言動がいかに浮いてるか
そういうのもすごく分かって面白い。
言葉によって僕たちは現実の世界でなくシンボルの世界に生きてるとか
残されたフロンティアは実体のない思想・物語・音楽芸術の世界だけだとか
人はいつか死ぬだとか
そういう一つ一つの言葉が僕にはすごく共感できた。
物語の進め方もうまい。
時系列をバラバラに並べてあって
最初は断片だけなので「?」って感じなんだけど
読み進めるうちにそれらが組み合わさって全体像が見えてくる。
しかも、話にフックがあって二転三転するから飽きない。
読んでいて吐きそうな気分になったり泣きそうな気分になったり
最近この感じをどこかで味わったなぁと思ってたら
ちょっと前に読んだ
「僕のなかの壊れていない部分 白石一文:著」
と近いような気がしたんだね。
現代的な自己喪失と自己探索の物語。
かなりお薦めです。
表紙がエロいので電車で読むと
回りからじろじろ見られるので要注意です(笑)。
作者プロフィールを見て分かったんだけど
ファイト・クラブの原作者らしいので
ファイト・クラブも見てみたいなと思いました。
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Posted by ブクログ
所謂「キモくて金の無いオッサン」文学ではあるんだけど割とカタルシスがある。
「繋がれなさ」とか「分かり合えなさ」みたいな文学的なテーマを、卑近で猥雑な全然文学的じゃないモチーフで表現するのが上手な作家だよね。
『二十日鼠と人間』とか『地下室の手記』みたいな古典だと完成された「キモいオッサン」として登場するけど、このキモいオッサンがどうやって形成されて行ったのかを掘り下げる点と童貞に重点が置かれるのが現代的な気がする。
大人に成れずに歳だけとってしまったキモいオッサンが失われた成長期を取り戻す話としては、『こうしてお前は彼女にフラれる』もそうだな。 -
Posted by ブクログ
チャック・パラニューク18年ぶりの邦訳は彼らしい怒りと狂気に満ちていました
すごいです
なにがすごいって私チャック・パラニューク初読ですからね
初読で冒頭から「彼らしい」とか言っちゃってますからね
さすが通
そうね〜
分かる、分かるんだけどね
おそらくこの文体と余白が魅力なんだろうなって
これはがっちりした固定ファンがつくだろうなと思うし
読み取れなくはないんですよ
私だってね
通ですから
ただやっぱりもう少し説明してくれないと読んでて疲れちゃいます
脳の体力がある人向けの世界観だなぁって
倍くらいのボリュームでやってくれた方が読みやすいだろうけど
たぶんそれをやっちゃうとパラニュークじゃなくなっちゃうんだろうなぁ -
Posted by ブクログ
『ファイト・クラブ』の著者チャック・パラニュークの作品
『ファイト・クラブ』映画で観たかな?観てないかな…?
記憶がイマイチです…w
本物としか聞こえないリアルな悲鳴を作る音響効果技師のミッツィ・アイヴズ
行方不明になった娘を探す手がかりを求めてダークウェブをめぐり、児童ポルノへの憎悪をたぎらせているゲイツ・フォスター
本作はこの二人の描写を交互に描いている
私の語彙力では上手く伝えられないけれどスゴイ!
もしかするとあなたが観た映画のあの悲鳴も…!?
リアルに聞こえるのは…!?
何だかチャック・パラニューク気になります
ちょっと他も読んでみようかな
ほん3さん、お勧めありがとうございました♪
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Posted by ブクログ
著者は、『ファイト・クラブ』で有名なチャック・パラニューク。『ファイト・クラブ』(1996年)の次(1999年)に発表された作品。長らく絶版となっていたが、『ファイト・クラブ』に続いてようやく新訳版が発売されたので、この機会に手に取ってみた。
「ハイジャック犯の男が、墜落間近の機内でブラックボックスレコーダーに向けて語る、"社会"に翻弄され続けた半生。」
カルト教団の一員として生を受けてから教団に貢ぐためだけに働き続け、教団の崩壊後はその生き残りとしてメディアの"商品"として持て囃される。自分の意思などなく、ただただ"社会"に流されるだけの人生。現代社会の"闇"を存分に皮肉った物語。
彼のこの人生は"運命"としてそのまま幕を閉じてしまうのか、それは「0ページ」だけが知っていること―――。