ウィリアム・ケント・クルーガーのレビュー一覧

  • ありふれた祈り

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    ミステリというカテゴリーやけど、情景とかが浮かぶ文章とか、少年から成長していく部分とか、文学としても良かったと思う。

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    2025年11月09日
  • ありふれた祈り

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    ネタバレ

    1961年夏。ニューブレーメンに住んでいた「わたし」ことフランク・ドラムの級友が、構脚橋の線路で列車にはねられて死んだ。それを皮切りに、現場近くで亡くなっていた身元不明の男、フランクの姉アリエル、アリエルの友人カール・ブラント…と多くの人の死が続いていくが、特にアリエルの殺害事件をめぐっての家族や周囲の人々の動きが本作の中心になっている。
    フランクの父ネイサンは牧師だ。もとは弁護士を目指していたが、戦争で人を殺す経験をして牧師になった。フランクの母ルースはそれを不満に思っている。決して怒らず、情熱的に話すわけではないが静かに説教をして人々に神の存在を宣べ伝える姿は、神のように絶対的に正しい姿に

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    2025年01月04日
  • このやさしき大地

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    すごく読みやすくて深く没入でき、爽やかな読後感。
    子どもがその年ごろになったらぜひ読んでもらいたい話でもある。
    頼れる家族、仲間という括り、どんなに大変な環境でもへこたれず、他人に手を差し伸べられる人々(逆の人もいるが)、勇気をもらえる話だと思う。
    1930年代のアメリカのことは無知だったが、インディアンなど、急に生きづらくなった人が多かったんだなぁ、、
    あと過去が見えたり未来が見えたりという人もいるが、最初こそ"リアルさとは…"と思ったが、だんだん抵抗がなくなっていく不思議。
    折を見て読み返したい。

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    2024年04月23日
  • このやさしき大地

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    1932年、ミネソタ。ネイティヴアメリカンの子供たちが集団生活を送るリンカーン教護院。施設の中で、唯一の白人である孤児のオディとアルバート兄弟は、生意気な態度で日頃から院長に目を付けられていた。ある日、横暴な管理人をふとしたことから殺してしまったオディは、兄のアルバート、親友でスー族のモーズ、竜巻で母親を失い孤児になったばかりの幼いエミーと共に、教護院から逃げることを余儀なくされてしまう。オディとアルバートのおばが住んでいるというセントポールに行くため、四人はカヌーで川を下り、一路ミシシッピ川を目指す。旅の途中、出会いと別れを繰り返した四人が知った秘密とは―?

    著者の作品を読むのは、「ありふ

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    2023年09月23日
  • このやさしき大地

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    1932年夏、ミネソタ
    物語の舞台は大恐慌時代のアメリカです

    主人公は12歳の少年、オディ。
    ネイティヴアメリカンの子供たちが集団生活を送るリンカーン教護院で暮らしていた。
    施設の中で唯一の白人である孤児のオディと兄のアルバートは、ある事件から施設に居られなくなり、逃亡することになる。

    親友でスー族のモーズと、竜巻で母親を失ったばかりの幼いエミーと共に、兄弟の叔母がいるセントルイスへ向かう。
    4人はカヌーで川を下り、ミシシッピ川を目指すのだが…

    ひと夏の冒険物語なんて甘い話じゃない
    これは本気で命懸けなんだ


    私はこの本を読み進めていくうちに、アメリカの歴史的背景についての様々を知るこ

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    2023年08月27日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

    これは超絶好きなやつ。
    アメリカ中西部を舞台とする、悲運にまみれた少年少女達が旅路の中で過酷な現実をくぐり抜けつつ逞しく、そして眩しいほど真っ当に成長してゆく物語。
    いわゆるロードノベル。

    似たような雰囲気の作品でぱっと思いつくのは『東の果て、夜へ』なのだけれど、あれは前半がいまいちだったのに対して、本作はもう最初から最後まで胸を掴まれっぱなし。
    いじらしい展開、残酷なまでの運命の悲劇という点では『われら闇より天を見る』の色合いも持っているが、あちらよりも幾分穏やかな心持ちで少年少女の顛末を見守ることができる。

    時は1932年ミネソタ。
    幼くして父母を失った兄弟(兄アルバートと弟オディ)は

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    2023年05月21日
  • このやさしき大地

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    1932年、ネイティヴアメリカンの子どもたちが集団生活を送るリンカーン教護院の施設から逃げたオディと兄のアルバートにモーズとエミーの4人。
    彼らが、オディとアルバートのおばさんが住むセントポールを目指して、カヌーで川を下り旅に出る。

    劣悪で過酷な労働を強いられた苦痛から逃れ、新しい人生へと希望を持っていた旅であったが、行く先々でもさまざまな試練があった。

    冒険ということばよりももっと深くて重くてそして、貴重で価値がある体験のようだ。

    いろんな家族や大人たちと出会うたびに彼らにとっては敵なのか見方なのかを探りながら、助けたり援助してもらったり、そして導いてもらいながら成長していく姿は感動で

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    2023年05月04日
  • このやさしき大地

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    素敵★5 幼く貧しい少年少女たちの逃避行… 人生と家族について学び多き物語 #このやさしき大地

    ■あらすじ
    1932年のアメリカの小さな街。ある教護院でネイティブアメリカンや孤児たちが、貧しくも辛い労働を強いられる暮らしをしていた。主人公の兄弟と友人たちは、問題を起こしてしまい教護院から逃げることを余儀なくされてしまう。
    彼らは自分たちの家族を見つけるため、密かにカヌーで川を下っていく…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    めっちゃいい話★5
    さすがはアメリカ産のミステリー、物語として完成度がバチクソ高い。彼らの人生をずっと傍から見ていたくなるような素敵な小説でした。

    本作の良いところをあげる

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    2023年03月09日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

    『ザリガニの鳴くハックルベリー・フィン…みたいな』

    早くも本年の最高傑作が…
    『ザリガニの鳴くところ』が好きな人にオススメの一冊!
    表紙もどことなく似てますね…
    4人の子供たちの大冒険、是非、ご堪能ください!

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    2023年01月27日
  • このやさしき大地

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    二段組はとにかくボリューミー。
    オディたち四人の成長物語だけど、おとなに振り回されたかわいそうな子どもたちのはなしとも思った。
    結局、オディはどの場面がいちばん幸せだったんだろう。
    過去を回想したはなしなわけだけど、みんなで黒い魔女から逃げてカヌーにのって川を下った冒険の日々は忘れがたい思い出として、孫たちに語り続けていたんだから、やはりアルバート、モーズ、エミーの四人でいたときが辛くても幸せだったんだろうと思った。
    黒い魔女がオディの本当の母親を恨んでいたから復讐のためにそばに置いていたり、本当に腹が立つこともたくさんあるけど、気に入ったのは多種多様な人たちが出てくるところ。
    ユダヤ人コミュ

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    2023年01月02日
  • ありふれた祈り

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    読書備忘録696号。
    ★★★★★。

    翻訳される海外文学作品は、評価が高いから翻訳されている訳であり、やはりアタリが多い。
    アメリカの中北部州ミネソタ州を舞台に少年が大人になっていく様を描いた秀作。
    ミネソタ州はミシシッピ川があり、トム・ソーヤやハックリベリー・フィンが大冒険を繰り広げたり、大草原の小さな家でインガルス一家が住むウォールナットグローブがある。笑
    すなわち、豊かな自然に恵まれた牧歌的な風景がすごく似合う舞台。

    そんなミネソタ州のミネソタ・リバーのほとりの町ニューブレーメンで13歳の少年フランク・ドラムが初めて人の死、しかも最愛の家族の死に直面する残酷なひと夏の物語。そしてミステ

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    2022年11月18日
  • このやさしき大地

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    1932年に冒険へと出た少年たちの物語。孤児であるオディと兄のアルバート兄弟。兄弟と同じ教護院で暮らすモーズと母を亡くし孤児になったエミー。教護院での苦しい生活から逃げ出し目的地までの四人の旅が始まる。カヌーで川を下り野宿をしたり人と出会ったり。そして教護院の追手から逃げる。たどり着いた場所で出会う人たちとの交流と別れ。その中にある家族への想いや恋。生きていくことの厳しさ。大人を信じられない少年たちが徐々に見つけていくもの。感じ取っていくもの。読み終わってもオディが吹くハーモニカの音が残り続ける。

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    2022年10月21日
  • ありふれた祈り

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    少年の日の、ひと夏の事件を回顧する内容。
    初めて読んだ作家さんですが、切なく、確かな描写で、とてもよかったですよ。

    ミネソタ州の田舎町、1961年。
    13歳のフランクはやんちゃ盛りで、街中をすばしこく飛び回っていました。
    穏やかで博識な父親は牧師。
    母は、良家の出で、芸術家肌。
    二つ下の弟ジェイクは賢いが、緊張すると吃音になるため、からかわれることもあります。
    姉のアリエルは美しく、音楽の才能に恵まれていて、弟達にも優しい。
    一家の希望の星だった姉が行方不明となり、フランクの住む世界はとつぜん悲痛な色を帯び始めます‥

    豊かな自然に恵まれた町ですが、上流階級と庶民の住む区画は分かれています。

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    2016年02月11日
  • ありふれた祈り

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    犯罪を通して、宗教、人生観の違い、家族愛を描いたって感じ。一人一人の役割が重い。「解錠師」を思い出す。

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    2015年12月29日
  • ありふれた祈り

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    ネタバレ

    この作者の作品は以前読んだがさほど好みではなかったが…。
    この作品は少年が遭遇したひと夏の出来事が抒情的に、そしてすごく視覚的に描かれている。
    サスペンスという括りにするとさほどの事件も起きないし、犯人(真相)もあっさりと分かるのでは?
    でもこの作品は殺人事件を核にしながら、61年夏のアメリカの田舎町の生活や人間関係を少年の視線を通して濃密に描きこんで、文芸作品に近い。
    この時代を過ごした人々から見るとたまらなく懐かしく切ない物語であろう。
    またこの時代を共有しない我々でも、トマス・H・クック、ジョン・ハードの小説や、「スタンド・バイ・ミー」「グリーンマイル」のような映画、ホッパーの絵画に描き

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    2015年08月09日
  • ありふれた祈り

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    なかなかやるなあ、この人。

    "少年時代""大人になって振り返る"という点で、思わず「スタンド・バイ・ミー」を連想させられる。
    そして終わりには静かな余韻が用意されている。

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    2015年04月11日
  • ありふれた祈り

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    手にした段階から、自分好みの物語だとの予感がしました。アメリカ中北部ミネソタ、主人公が少年。大草原の小さな家? スタンドバイミー? ジェイムズディーンが出できそうな雰囲気、、、前半、なかなか舞台説明、人物紹介が長くてじらされますが(^^*)、待つだけ後半楽しめました。それだけ奥行きあり!

    性格の違う兄弟、どちらもいいです。
    庶民の生活、人生感にも見える神との距離。
    心の平和なることを祈る、与えられた境遇から、人それぞれ、か、、、

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    2015年03月23日
  • ありふれた祈り

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    ミネソタ州の小さな町に暮らす牧師一家を襲った悲劇、渦中におかれた13歳の少年の視点で事件の顛末が語られていく。1961年という時代設定もあってか、時間がゆっくり流れるような前半の語り口が味わい深い。感情の起伏を制御し家族や友人を慈しむ牧師である父親の言動と思春期の入り口で家族に降りかかる災厄に胸を痛める兄弟の姿が琴線に触れる。翻訳ミステリを丹念に読むという久しくなかった行為を楽しめる秀作。

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    2015年02月14日
  • ありふれた祈り

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     アメリカには少年の冒険小説がよく似合う。トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンに始まった少年が冒険する物語は、少年向けの小説であったとして、スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』やロバート・マッキャモンの『少年時代』などなぜかホラー作家の正統派少年小説として、かつて少年であった大人たちに読まれ、評価された名作として知られている。

     時を経て、リーガル・サスペンスの巨匠、兼売れっ子作家であるジョン・グリシャムですら、『ペインテッド・ハウス』というジャンル外の傑作をものにしている。そららの流れはミステリの世界にも受け継がれ、ジョー・R・ランズデールの『ボトムズ』や『ダークライン』などは

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    2015年01月22日
  • このやさしき大地

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    孤児のオディ、アルバート、モーズ、エミー。
    彼らは、救護院から逃げることを余儀なくされ、叔母の家を目指す。
    オディがときおりふくハーモニカのシーン。自分を癒やしたり、人との距離を縮めたり、仲間を楽しませたり。音楽の力に助けられて、優しい空気が流れてた。
    後半ちょっと、おどろくような仕掛けもあって、一本の映画を見ているような充足感。

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    2025年05月05日