ウィリアム・ケント・クルーガーのレビュー一覧

  • このやさしき大地
    少年の冒険ものだけど、人々の交流に重点が置かれているように感じた。人間の様々な面を、少年は幼い純粋な心を通じて体感する。だが、その経験は厳しさと言うよりも、温かさのように感じた。
  • このやさしき大地
     長きよき物語を読ませてもらった。アメリカの歴史には詳しくないし、寒い時代を肌で感じたこともないせいで、本当にこんなにひどかったのだろうかという、平和ボケした違和感にはつきまとわれた。ただそれ以上に、目的地に向けての逃避行と、それにまつわるいくつかの出会いはどれも面白いものだったし、子供なりの誤解や...続きを読む
  • このやさしき大地
    この長く苦しい子どもたちの旅に最悪を想像し、現にそうなりつつある場面に何度も遭遇したけれど、最後は報われたことでこのタイトルにも合点がいった気がした。読み終えた今はただ、胸がいっぱいだ。
  • このやさしき大地
    ロードムービー見ているよう。少年と少女が川を下り、町にたどり着く。そこでの人との出会いでいやおうなく成長する、風景やハーモニカの音を背景に壮大なストーリーが繰り広げられました。第6部の展開に胸を打たれました。エピローグも大変印象的。こんな少年たちに出会うことはないだろうけれど、手を差し伸べられる大人...続きを読む
  • このやさしき大地
    教護院から抜け出し、ミネソタからセントルイスまでのお話。旅の途中で幾多の困難に遭遇しつつ、仲間と協力し合いながら成長していくある意味王道な筋運びなので安心して読めます。ハーモニカとアメリカ民謡が大事な要素として出てくるので、是非曲を聴きながら読みたいところ。今の時代サブスクでもなんでもですぐ探せるの...続きを読む
  • このやさしき大地
    1932年のアメリカを舞台とするロードノベル。
    “インディアン”の子供達が集団生活を送るリンカーン教護院に、オディとアルバートの白人兄弟がいた。ある日大変な事件が起き、2人は友人のモーズ、孤児のエミーと共に脱走し、セントルイスを目指すが……。
    12歳のオディはその生意気な言動で様々なトラブルを起こし...続きを読む
  • このやさしき大地
    ゲラ読みモニターに当選し、一足に読ませていただく機会に恵まれた。2段組約470ページという長い物語だけれど、4人がカヌーで川を下っていく間、ずっと一緒にカヌーに乗っていたような気がする。善い人にも悪い人にも出会い、ひどい目にあったり助けられたりしていくので、成長物語として、冒険物語として面白く読んで...続きを読む
  • ありふれた祈り
    悲しい物語

    でもミネソタ州の田舎町の風景と人々の情感がたっぷりで、荘厳な家族愛の映画を見終わったような、満足感と脱力感を感じる物語。

    1961年夏
    牧師の父と美しい母と姉に囲まれ、吃音障害を持つ弟と13歳の主人公フランクが経験した特別なこの夏の出来事。

    自身の心の底に住み着いた戦争の後遺症ゆえ...続きを読む
  • ありふれた祈り
    いくつもの死に向き合う中で成長する兄弟。
    とりわけひとつは最愛の姉の死。

    姉の死にまつわるフーダニットの目くらましも悪くない。
    また、そういったミステリ性をおいておいても、周囲の人々との繋がり、母の心身崩壊と再生を通じて過ぎて行く少年時代の特別時間の描き方がとても良いと感じた。

    時間の軸を進め、...続きを読む
  • ありふれた祈り
    ★3.5

    少年達のひと夏の思い出は、キングの『スタンド・バイ・ミー』や『IT』を彷彿とさせ、取り返しのつかない過ちを回顧する語りは、クックの『記憶』シリーズを思い起こさせる。ただクック作品とは違い、ミステリやサスペンス色はかなり薄く、事件は起きても爽やかさ(と言うには死が身近すぎるが)が前面に出て...続きを読む
  • ありふれた祈り
    ドイツ系住民の多い、ミネソタの田舎町の殺人。

    牧師の父とその家族が経験する夏。
    引き込まされる。
  • ありふれた祈り
    他の方のご指摘の様に、スティーブン・キングの
    「スタンド・バイ・ミー」っぽい事は否めないかも。
    ですが、逆を云えばああいうテイストが好きならば
    十二分に楽しめる事間違いなしです。

    何より、行間から匂い立つような夏の強い日差し、
    カラカラに乾いた砂や土、ひんやりとした石切り場、
    咽るような草の香りに...続きを読む
  • ありふれた祈り
    いろいろな事を考えさせられる深い本だった。ミステリーというよりも「祈り」と「赦し」の本。背景描写も登場人物の心理描写も 素晴らしく静かに落ち着いて心に訴えかけるのは 翻訳も良かったからだろう。ただ自然信仰と神道と仏教を足して割ったような考え方を持ってる私には どうしてもキリスト教の教えを骨にして書か...続きを読む
  • ありふれた祈り
    トマス.クックが好きなひとははまる。確かに、ミステリー色は薄いが、アメリカの片田舎の都市のよき文化と悪しき文化が匂いたつ。なぜか、行ったこともないのに、懐かしい気がするのはどうしてなんだろう。
  • ありふれた祈り
    ボビー少年と旅の人の死、この二つの死の真相については結局語られなかったな。正し過ぎる人は周囲の親しい人達を追い詰めてしまう可能性があるのかも。
  • ありふれた祈り
    コーク・オコナーのシリーズは未読のまま。ウィリアム・ケント・クルーガーの作品を初めて読む。

    あの夏のすべての死は、ひとりの子供の死ではじまった――。1961年、ミネソタ州の田舎町で穏やかな牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉、聡明な弟とともに暮らす13歳の少年フランク。だが、ごく平凡だった日...続きを読む
  • ありふれた祈り
    ミステリーというより,家族の物語としての重みが先に来て,読み応えたっぷりの満足感がある.現在の私が40年前を振り返って書くという形式で,13歳の少年にすぎない私の考察も重厚になって,一夏の経験というにはあまりにも次々起こる出来事に崩壊していく家族と踏みとどまる人の強さがぎっしり詰まっている.ニューブ...続きを読む
  • ありふれた祈り
    アメリカの家族もの、とりわけ父子ものはちょっと苦手だけれど、これはおもしろく読めた。主人公の少年、父母、姉と弟、周囲の人々、それぞれの造型にリアリティがあって、しみじみ胸に迫る物語になっていると思う。

    ミステリとしての「真相」は、そういうのに鈍い私でも途中で見当がついたし、すごく派手な展開があるわ...続きを読む
  • このやさしき大地
    アメリカ、大恐慌時代、4人の少年少女がインディアン救護院を抜け出し、カヌーでミシシッピ川を下ってセントポールのおばの家を目指す。黒い魔女と過酷な暮らし、虐待、神は竜巻。酒の密造、家族を失った農夫、癒しの伝導団、農園を失った家族、女の家。

    歴史小説なのですね。記憶に残る人がいるくらい、現代に近いよう...続きを読む
  • このやさしき大地
    1932年の米国、白人で孤児のオディとアルバート兄弟は、ネイティブアメリカンの子どものための教護院で暮らしている。暴力的な管理人にムチ打たれ、もとは監獄の独房だった反省室に入れられたり、過酷な労働をさせられたりしていた。そんな管理人に殺されそうになった時、逆に管理人を殺してしまう。兄弟は仲の良いモー...続きを読む