ウィリアム・ケント・クルーガーのレビュー一覧

  • このやさしき大地

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    いい!久しぶりの2段組、翻訳ものにビビッていたが、グイグイいけました。カヌーでの旅とアメリカ合衆国の歴史に
    触れて、大きなイメージの題名に納得がいきました。

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    2025年03月20日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    1932年大恐慌時代のミネソタ州が舞台。
    孤児であるアルバートとオディ(オデュッセウス)の兄弟はリンカーン救護院というネイティブインディアンの子供たちが集団生活を送る施設で暮らしていた。
    横暴な施設長や管理人から支配され、鞭を振るわれる日々。
    そんな中オディは横暴な管理人を殺してしまい、兄のアルバート、スー族のモーズ、孤児になったばかりのエミーとカヌーにのってミシシッピ川を下り兄弟のおばがいるセントポールを目指す旅に出る。

    ・感想
    「ありふれた祈り」の姉妹作らしく「祈り、信じ、ゆるすことの大切さ」という明確なテーマがあった。
     
     川を下る中で様々な人々(家族)と関わりあい12歳

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    2024年05月04日
  • このやさしき大地

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    “ひとりじゃないから”

    “ぼく”ことオデイら4人は、孤児院から脱走してミシシッピ川をカヌーで下りセントルイスへ旅をする。
    その道中でさまざまな出来事と遭遇し、やがて4人はそれぞれの道を探し始める。

    少年たちの成長を描くロードムービーとして、王道を進む物語だが、さすが「ありふれた祈り」の作者で読み進めることに飽きさせない。

    ネイティブ・アメリカンの処遇や世界恐慌がもたらした農民たちの貧困と流浪など、20世紀初頭の出来事が挿入されており、読後感は濃厚。

    ただ、同時代を描いたスタインベック『怒りの葡萄』と比べてしまい、力強さに物足りなさを感じた。

    でも、面白かったです。

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    2024年03月31日
  • ありふれた祈り

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    1961年、ミネソタに住む13歳のフランクと弟ジェイクとその家族の物語。
    その街に住むひとりの少年の死から物語は始まるものの、ミステリーというより、
    少年の成長や人間ドラマにポイントが置かれていて、じっくりとその世界を楽しめた。

    やんちゃでちょっと短絡的、だけど兄弟思いの兄と、
    吃音というハンデをかかえつつ、慎重で思慮深い弟の対比が良かった。
    最初は冒険を嫌い、前に出ない弟にヤキモキハラハラし、中盤からは「お兄ちゃんもいいとこあるやん!」と兄の印象も変化し、二人のことが大好きになった。
    ラスト付近で起こる奇跡にも胸が熱くなった。

    牧師であるこの兄弟の父親にも好感が持てた。
    信仰心を持たない

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    2023年07月22日
  • このやさしき大地

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    少年の冒険ものだけど、人々の交流に重点が置かれているように感じた。人間の様々な面を、少年は幼い純粋な心を通じて体感する。だが、その経験は厳しさと言うよりも、温かさのように感じた。

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    2023年06月23日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

     長きよき物語を読ませてもらった。アメリカの歴史には詳しくないし、寒い時代を肌で感じたこともないせいで、本当にこんなにひどかったのだろうかという、平和ボケした違和感にはつきまとわれた。ただそれ以上に、目的地に向けての逃避行と、それにまつわるいくつかの出会いはどれも面白いものだったし、子供なりの誤解や失敗も隣り合わせでスリリング。ともすればオディとアルバートの兄弟の関係が薄く見えそうなほどに、いい四人組のきょうだいだった。
    それにしてもモーズが(エピローグで成人してからも含めて)いいやつすぎてもう。

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    2023年04月28日
  • このやさしき大地

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    この長く苦しい子どもたちの旅に最悪を想像し、現にそうなりつつある場面に何度も遭遇したけれど、最後は報われたことでこのタイトルにも合点がいった気がした。読み終えた今はただ、胸がいっぱいだ。

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    2023年04月01日
  • このやさしき大地

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    ロードムービー見ているよう。少年と少女が川を下り、町にたどり着く。そこでの人との出会いでいやおうなく成長する、風景やハーモニカの音を背景に壮大なストーリーが繰り広げられました。第6部の展開に胸を打たれました。エピローグも大変印象的。こんな少年たちに出会うことはないだろうけれど、手を差し伸べられる大人でありたいと思いました。

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    2022年12月01日
  • このやさしき大地

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    教護院から抜け出し、ミネソタからセントルイスまでのお話。旅の途中で幾多の困難に遭遇しつつ、仲間と協力し合いながら成長していくある意味王道な筋運びなので安心して読めます。ハーモニカとアメリカ民謡が大事な要素として出てくるので、是非曲を聴きながら読みたいところ。今の時代サブスクでもなんでもですぐ探せるので。

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    2022年11月06日
  • このやさしき大地

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    1932年のアメリカを舞台とするロードノベル。
    “インディアン”の子供達が集団生活を送るリンカーン教護院に、オディとアルバートの白人兄弟がいた。ある日大変な事件が起き、2人は友人のモーズ、孤児のエミーと共に脱走し、セントルイスを目指すが……。
    12歳のオディはその生意気な言動で様々なトラブルを起こし、なかなかに苛つかせてくれる。でも憎めない少年だった。軽く超自然要素も入り、読み応えのある大作だった。タイトルは皮肉か真実か悩む。
    『ありふれた祈り』の姉妹編らしいが未読。本作がとてもよかったのでそちらも読みたい。

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    2022年10月30日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

    ゲラ読みモニターに当選し、一足に読ませていただく機会に恵まれた。2段組約470ページという長い物語だけれど、4人がカヌーで川を下っていく間、ずっと一緒にカヌーに乗っていたような気がする。善い人にも悪い人にも出会い、ひどい目にあったり助けられたりしていくので、成長物語として、冒険物語として面白く読んでいけるけれど、ラスト30ページほどは、彼らが生き抜く現実の圧倒的な展開に驚く。決して軽くはないけれど、後味はちょっと風が吹いたような。

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    2022年09月14日
  • ありふれた祈り

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    悲しい物語

    でもミネソタ州の田舎町の風景と人々の情感がたっぷりで、荘厳な家族愛の映画を見終わったような、満足感と脱力感を感じる物語。

    1961年夏
    牧師の父と美しい母と姉に囲まれ、吃音障害を持つ弟と13歳の主人公フランクが経験した特別なこの夏の出来事。

    自身の心の底に住み着いた戦争の後遺症ゆえに、ひたすら“神”の道を進む父の言葉は、困難にあった町の人びとの心にいつも寄り添っていた。
    自分の家族に起こった困難のとき、母はそんな夫に「せめて今日だけは“ありふれた祈り”にして……」とつぶやく。

    キリスト教の赦しや救済について、疑い迷い罵るという感情が普通にあること、それでいて、それらをすべて

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    2022年09月05日
  • ありふれた祈り

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    ネタバレ

    いくつもの死に向き合う中で成長する兄弟。
    とりわけひとつは最愛の姉の死。

    姉の死にまつわるフーダニットの目くらましも悪くない。
    また、そういったミステリ性をおいておいても、周囲の人々との繋がり、母の心身崩壊と再生を通じて過ぎて行く少年時代の特別時間の描き方がとても良いと感じた。

    時間の軸を進め、関係者達のそれぞれの死でこの物語を締めくくっていくところもふさわしいクロージングだった。

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    2019年08月20日
  • ありふれた祈り

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    ★3.5

    少年達のひと夏の思い出は、キングの『スタンド・バイ・ミー』や『IT』を彷彿とさせ、取り返しのつかない過ちを回顧する語りは、クックの『記憶』シリーズを思い起こさせる。ただクック作品とは違い、ミステリやサスペンス色はかなり薄く、事件は起きても爽やかさ(と言うには死が身近すぎるが)が前面に出ている印象だ。

    主人公兄弟の忘れ得ぬ夏は一人の少年の事故死から始まり、あまりにも痛ましい悲劇を経て否応なく子供達を大人へと成長させる。子供らしい好奇心がひとつの悲劇を生むきっかけを作ってしまうくだりは読んでいて痛ましいが、この後に迎える家族の再生と奇跡はその悲劇ゆえに心に響くものがある。

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    2017年09月17日
  • ありふれた祈り

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    ドイツ系住民の多い、ミネソタの田舎町の殺人。

    牧師の父とその家族が経験する夏。
    引き込まされる。

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    2017年02月04日
  • ありふれた祈り

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    他の方のご指摘の様に、スティーブン・キングの
    「スタンド・バイ・ミー」っぽい事は否めないかも。
    ですが、逆を云えばああいうテイストが好きならば
    十二分に楽しめる事間違いなしです。

    何より、行間から匂い立つような夏の強い日差し、
    カラカラに乾いた砂や土、ひんやりとした石切り場、
    咽るような草の香りに、汗。
    著者の表現力の素晴らしい事!
    死や悲しみ(差別的な事も多々)を根底に置きながら、
    美しくまとめ上げ、そしてこのさわやかな読後感よ。
    おお、神よ(笑)

    あと、地味に食べ物の描写が好きでした。
    ガスがドラム家の台所で作るポテトとチーズの料理が
    美味しそうです食べたいです。

    解説を読んで知った

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    2016年12月30日
  • ありふれた祈り

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    いろいろな事を考えさせられる深い本だった。ミステリーというよりも「祈り」と「赦し」の本。背景描写も登場人物の心理描写も 素晴らしく静かに落ち着いて心に訴えかけるのは 翻訳も良かったからだろう。ただ自然信仰と神道と仏教を足して割ったような考え方を持ってる私には どうしてもキリスト教の教えを骨にして書かれているこの本の作者が伝えたかったであろう事は 心の底からは やはり理解できない部分が残る。それでも 読んで良かったと思える 深い本だった。

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    2016年08月28日
  • ありふれた祈り

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    トマス.クックが好きなひとははまる。確かに、ミステリー色は薄いが、アメリカの片田舎の都市のよき文化と悪しき文化が匂いたつ。なぜか、行ったこともないのに、懐かしい気がするのはどうしてなんだろう。

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    2016年06月21日
  • ありふれた祈り

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    ボビー少年と旅の人の死、この二つの死の真相については結局語られなかったな。正し過ぎる人は周囲の親しい人達を追い詰めてしまう可能性があるのかも。

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    2016年03月03日
  • ありふれた祈り

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    コーク・オコナーのシリーズは未読のまま。ウィリアム・ケント・クルーガーの作品を初めて読む。

    あの夏のすべての死は、ひとりの子供の死ではじまった――。1961年、ミネソタ州の田舎町で穏やかな牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉、聡明な弟とともに暮らす13歳の少年フランク。だが、ごく平凡だった日々は、思いがけない悲劇によって一転する。家族それぞれが打ちのめされもがくうちに、フランクはそれまで知らずにいた秘密や後悔に満ちた大人の世界を垣間見るが……。少年の人生を変えた忘れがたいひと夏を描く、切なさと苦さに満ちた傑作ミステリ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作!

    教会付属の幼稚園に

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    2016年02月02日