ウィリアム・ケント・クルーガーのレビュー一覧
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アメリカには少年の冒険小説がよく似合う。トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンに始まった少年が冒険する物語は、少年向けの小説であったとして、スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』やロバート・マッキャモンの『少年時代』などなぜかホラー作家の正統派少年小説として、かつて少年であった大人たちに読まれ、評価された名作として知られている。
時を経て、リーガル・サスペンスの巨匠、兼売れっ子作家であるジョン・グリシャムですら、『ペインテッド・ハウス』というジャンル外の傑作をものにしている。そららの流れはミステリの世界にも受け継がれ、ジョー・R・ランズデールの『ボトムズ』や『ダークライン』などは -
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ミステリ要素より、戦争の精神的な後遺症とか人種差別とか、あえてその時代や地域を選んだ重いテーマを扱った作品。
人という生き物が抱える矛盾や複雑な内面がよく描かれているし、不条理に決してひれ伏すことのない、不屈な心に胸打たれ思わず落涙も。
読み始めは人物名が覚えられないかもしれないけど、しだいにほぼすべての登場人物に意味があり、事情があるのだとわかってくる。
既読の「帰還兵はなぜ自殺するのか」を思い出したり、マンガ「BASARA」の暴力に屈しない人々を思い出したり。
バイユーの話も出てきたので、ワニ町!とテンションが上がったが、さすがにあの底抜けに明るいシリーズの雰囲気とは程遠かった。
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ネタバレ・あらすじ
1932年大恐慌時代のミネソタ州が舞台。
孤児であるアルバートとオディ(オデュッセウス)の兄弟はリンカーン救護院というネイティブインディアンの子供たちが集団生活を送る施設で暮らしていた。
横暴な施設長や管理人から支配され、鞭を振るわれる日々。
そんな中オディは横暴な管理人を殺してしまい、兄のアルバート、スー族のモーズ、孤児になったばかりのエミーとカヌーにのってミシシッピ川を下り兄弟のおばがいるセントポールを目指す旅に出る。
・感想
「ありふれた祈り」の姉妹作らしく「祈り、信じ、ゆるすことの大切さ」という明確なテーマがあった。
川を下る中で様々な人々(家族)と関わりあい12歳 -
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“ひとりじゃないから”
“ぼく”ことオデイら4人は、孤児院から脱走してミシシッピ川をカヌーで下りセントルイスへ旅をする。
その道中でさまざまな出来事と遭遇し、やがて4人はそれぞれの道を探し始める。
少年たちの成長を描くロードムービーとして、王道を進む物語だが、さすが「ありふれた祈り」の作者で読み進めることに飽きさせない。
ネイティブ・アメリカンの処遇や世界恐慌がもたらした農民たちの貧困と流浪など、20世紀初頭の出来事が挿入されており、読後感は濃厚。
ただ、同時代を描いたスタインベック『怒りの葡萄』と比べてしまい、力強さに物足りなさを感じた。
でも、面白かったです。 -
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1961年、ミネソタに住む13歳のフランクと弟ジェイクとその家族の物語。
その街に住むひとりの少年の死から物語は始まるものの、ミステリーというより、
少年の成長や人間ドラマにポイントが置かれていて、じっくりとその世界を楽しめた。
やんちゃでちょっと短絡的、だけど兄弟思いの兄と、
吃音というハンデをかかえつつ、慎重で思慮深い弟の対比が良かった。
最初は冒険を嫌い、前に出ない弟にヤキモキハラハラし、中盤からは「お兄ちゃんもいいとこあるやん!」と兄の印象も変化し、二人のことが大好きになった。
ラスト付近で起こる奇跡にも胸が熱くなった。
牧師であるこの兄弟の父親にも好感が持てた。
信仰心を持たない -
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悲しい物語
でもミネソタ州の田舎町の風景と人々の情感がたっぷりで、荘厳な家族愛の映画を見終わったような、満足感と脱力感を感じる物語。
1961年夏
牧師の父と美しい母と姉に囲まれ、吃音障害を持つ弟と13歳の主人公フランクが経験した特別なこの夏の出来事。
自身の心の底に住み着いた戦争の後遺症ゆえに、ひたすら“神”の道を進む父の言葉は、困難にあった町の人びとの心にいつも寄り添っていた。
自分の家族に起こった困難のとき、母はそんな夫に「せめて今日だけは“ありふれた祈り”にして……」とつぶやく。
キリスト教の赦しや救済について、疑い迷い罵るという感情が普通にあること、それでいて、それらをすべて