大内美予子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ清潔で明るい、王道の“白”沖田さんでした。
沖田に関して、曲者だったり不思議ちゃんだったりという解釈の多い昨今の本を読みつけていると、誰からも好かれていい子すぎるのが物足りなくもあるけど、悩める人間的な総司が逆に新鮮。
歴史的な筋は深追いすることもなく、さくさく軽く読める感じ。少し前まで読んでいた緻密な木内作品と比べると、ほんとにあっさりに感じてしまったけど、その分、総司や周囲の人間たちのたわいもない生活ややりとりが描かれているかな。
新選組の歴史の後半って面白い部分なのに、沖田は病が重くなることもあって、あまり事件の中心に関われなくなっちゃうんだよね。
でも、この話は沖田の物語なので、後 -
Posted by ブクログ
新選組の沖田総司を描いた小説です。
高校の図書室で初めて読んだのですが、これは総司の小説ナンバーワンではないでしょうか。
彼を描いた作品には、汚れなき純粋さを強調した温かいものと、刺客としての苦悩を強調した冷たいものとがあると言えますが、これはそのどちらでもありません。
粛正に加わる総司にも目を背けず、彼の内面的優しさと、刺客としてのダークな部分を、両方の面から丁寧に描いています。
この小説に勝る美しい沖田総司はいないと思うのですが(笑)、実は彼の外見に言及する記述がほとんどないのも特徴です。
どこにも美貌とは書いていないのに、読み進めていくうちにピュアな青年が自然と思い浮かんでくる、そんな作 -
Posted by ブクログ
新撰組の話は幾つか読んできたけれど、彼目線の新撰組はまた違った印象を持った。
というより、これはまさにそのタイトル通り、沖田総司の話だね。
この本に描かれる沖田総司は、まさに皆が持っているイメージそのものなんじゃないか。
朗らかで飄々としてるけど時に熱く、皆に愛される人。私もすぐに彼という人間が好きになるけれど、その一方、物語の早い段階で病の気配は忍び寄る。
後半はどうしても涙なしには読めない。
総司のことも、その周りの人達についても辛い状況が続く。読み進めるのが苦しかった。
何故彼が、という気持ちにもなった。
ただ、彼は病と向き合いながら、ちゃんと自分の生を全うした。悲しいけれど、哀れむ