ピーター・トレメインのレビュー一覧
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ネタバレフィデルマがモラン師のいるタラの学問所に入学し、最初に解決した盗難事件を描いた「化粧ポウチ」他6篇を収録する、フィデルマ・シリーズの短篇集4作目。
最初の2作「化粧ポウチ」と「痣」はフィデルマの学生時代を描いた作品なのだが、こんな圧迫面接どころか圧迫〈日常の謎〉をやってくる法律学校があっていいのか? 権威ある大法官と問答するプレッシャーだけならいいけど、わざと遅刻させて精神を追い詰めるために学生のドアを押さえつけることが正当化されるのは最悪なので、フィデルマはモラン師に試験の定義から見直すよう提言すべき。
「死者の囁き」「バンシー」「昏い月 昇る夜」の3篇は古代アイルランドの法と経済がホワイダニットの鍵になる、フィデルマらしい"いつもの味"の作品たち。「昏い月〜」はロス船長が再登場するのが嬉しく、判決シーンはフィデルマ版「ヴェニスの商人」のようで面白かった。
そして今回一番楽しかったのは、ローマ貴族が偽史づくりにフィデルマを担ぎ上げようとする「消えた鷲」。ブリテン島の歴史とローマ人の誇りとフィデルマの冷笑が絡み合い、歴史ミステリーとして面白かった。『蛇、もっとも禍し』では宝探しとフィデルマの冷静さが相性悪いなぁと思ったが、今回はうさんくさい捏造貴族にピシャリと鉄槌を食らわすスカッとケルト!な展開だったのでしっくりきた。
フィデルマ・シリーズも、読んでいないのは邦訳最新作の『憐れみをなす者』だけになってしまった。水戸黄門のように安心できるミステリーなので、これからも邦訳が続くといいなぁ。 -
Posted by ブクログ
フィデルマはアイルランドのキャシェルの先王の王女であり、上位弁護士の肩書をもった美貌の修道女。彼女の行くところに事件あり、な短編集。
巡礼の地、ローマの小さな教会で起きた毒殺
フィデルマの幼なじみにかけられた夫、子殺しの嫌疑
吹雪の中、逃げ込んだ山荘に出る亡霊
大王即位に必要な宝剣の盗難事件
千五百年前の王の墳墓から見つかった死体
淡々と事件を解決するフィデルマがカッコイイ!
事件解決後の一言がじんわりした後味だったり。
まずは短編で様子をみて、と手に取ったけど、長編も読みたくなる。
中世アイルランドの政治、キリスト教のせめぎ合いが絡むのでそういう意味でも面白かった。 -
Posted by ブクログ
王女で弁護士で裁判官で修道女でしかも美人、というハイスペック極まる女探偵が活躍する中世ミステリ。
ハイスペック設定だけ見ると、富豪刑事(筒井康隆)を思い出しました( ^ω^ )
財産を湯水のように使って犯人逮捕の罠を張る神戸大介も良かったですが(笑)、今作のように教会の権威や王族を前に堂々と渡り合うタイプの探偵も良いですよね〜( ^ω^ )私はこれこれこうする権限を持ってるのよ!と事件現場に颯爽と登場する修道女の姿は読んでいて小気味良いです\(^o^)/
ただ、謎解きに関しては論理性にやや欠けているような印象を受けました。牽強付会とまでは言いませんが、根拠が薄弱だったり発想の飛躍が目についたり…。そこを強引に思わせず軽やかにねじ伏せながら推理を披露するフィデルマの手腕、これに尽きるような気がします。
提示される謎自体は非常に魅力的で読み応えがあるので、「読者が犯人当てを楽しんだり探偵の推理展開を楽しむ」と言うより、このフワフワしたミステリアスな世界観を楽しむ方が正解な作品です。多分←
◎聖餐式の毒杯…教会で聖体拝領の儀式が執り行われる中、最初に聖杯のワインに口をつけた青年が急死した。偶然その場に居合わせた美貌の修道女・フィデルマが解決に乗り出すが…。
◎ホロフェルネスの幕舎…夫と子供を殺した容疑で拘束された親友を救う為、捜査に奔走するフィデルマ。殺害動機や目撃証言など、状況証拠が圧倒的に不利な状況下、彼女は親友を救うことができるのか?
◎旅籠の幽霊…吹雪を避ける為、助けを求めた旅籠の主人夫婦は、奇妙な現象に悩まされていた。果たして幽霊の正体とは?
◎大王の剣…王位継承の正当な証として不可欠な剣が、即位式の前日に何者かに盗まれてしまう。
◎大王廟の悲鳴…悪名高い暴君が眠る墓から響いた断末魔の悲鳴。掘り起こした廟からは、つい先ほど絶命したばかりの男の死体が発見される。 -
Posted by ブクログ
気になってた本。本日購入♪(8/14)
7世紀のアイルランドを舞台に、先王の王女で、法廷弁護士(ドーリィー)で、
しかも、状況によっては判決を下すことも出来る上位弁護士(アンルー)の資格をもつ、美貌の尼僧フィデルマ。
むむむ、解説が長くなってしまう。
しかし、このステキな解説のせいで手にしてしまったのだが・・・。
先に、長編2作品が発刊されていたことは知らず、5編の短編からなるこの作品から読み始めた。
入門編にちょうどいい感じ。
古代アイルランド、という特殊な舞台設定なため、巻末の解説なしでは理解がむつかしい。
というか、解説が結構おもしろかった。
時代を超えても、人間のエゴや虚栄心は変わらない。
事件に直面したフィデルマが、ひとりひとり丁寧に聞き取り、現場を見て、答えを導き出す。
そのまま現代に置き換えても、なんら違和感の無い探偵物。
どんな時代でも、人の心が一番怖いのだな、と・・・。
(10/12)