ピーター・トレメインのレビュー一覧
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「祝祭日の死体」Corpse on a Holy Day
聖デクランの祝祭日。彼を祀る礼拝堂に詣でたフィデルマは、二百年間眠る聖人の亡骸の上に、刺殺されて間もない若い女性の遺体を発見する。その女性はフィデルマが訪問しようとしていた修道院の見習い修道女だった。
リアル現代と通じるような猛暑の中、聖地巡礼をするフィデルマ。「なんでこんな暑い中を…」と言いつつも、良い事なんだから!と自分に言い聞かせる優等生気質がほほえましい。それでも事件でごたんに元気になってしまうフィデルマ。
「狗(いぬ)のかへり来(きた)りて……」Like a Dog Returning...
聖パトリックの直筆を納めた絢爛豪 -
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2025年の30冊目は、ピーター・トレメインの「修道女フィデルマの慧眼」です。日本独自の短編集となります。前作「風に散る煙」が、かなり良かっただけに、この短編集も期待が持てる所です。
このシリーズの最大の魅力は、7世紀の古代アイルランドを舞台としているという唯一無二の世界感と主人公フィデルマのモアン王国国王の妹君にして、法廷弁護人という属性、聡明でいて、機知に富んだ性格という、これまた無二のキャラクターに有ります。
素晴らしかった前作と比べてしまうと、もの足りなさを感じもしますが、密室の死の謎を解く「尊者の死」や「撒かれた棘」がおすすめです。いつものように含蓄有る言葉も随所に盛り込まれています -
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ネタバレ(上巻より)
前作に続き、女性が殺人犯とはちょっと芸がない気もするが、
女性の地位が高かったから当然のことなのか?
それと、フィデルマがうかつにも見せた証拠で、
知らなかったとはいえ実の息子を娘の殺人犯として、
死に追いやってしまったことに気が付いた男が自殺してしまったのは、酷い話だ。
そして、フィデルマとエイダルフは二人で旅を始めたのに、
今回の事件でギクシャクするし、
最後にはおみくじのように焼き菓子の中に隠されていた、
指輪と殻付きのヘーゼルナッツを
それぞれひいてしまったという嫌な終わり方だった。
結婚が近いと言う意味の指輪と、生涯独身の意味のヘーゼルナッツを。 -
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ネタバレ修道女フィデルマ・シリーズ。
せっかく二人で旅立だったというのに、
時化にあって頭を打ち船を下ろされてしまったエイダルフ。
フィデルマも一緒に降り立ったその土地はブリトン人の王国で、
ザクソン人であるエイダルフにとっては敵国。
すぐにでも、本来の目的地であるカンタベリーに向かいたいエイダルフだったが、
フィデルマの方は、
修道院の修道士が全ていなくなった謎を解くよう国王に頼まれて、
引き受けてしまう。
調べに向かったフィデルマたちは、
修道士失踪を目撃した若者が、裁判も受けずに私刑されそうなところを助ける。
若者は村の娘を襲って殺したと思われていたが、
フィデルマは疑問を感じる。
そして -
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イギリスの作家ピーター・トレメインの連作ミステリ短篇集『修道女フィデルマの采配 修道女フィデルマ短編集(原題:The Heir Apparent and The Other Stories From Whispers of the Dead)』を読みました。
ここのところ、イギリスの作家の作品が続いています。
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王女にして法廷弁護士、美貌の修道女が
旅先で出会った難事件を一刀両断!
世界中の読書家を虜にする推理の妙〈フィデルマ・ワールド〉
日本オリジナル短編集第5弾
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、アイルランドの各地 -
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ネタバレ(上巻から)
フィデルマに負けずに居丈高な女性修道院長は怪しいとは思っていたが、
いくら修道士や修道女の結婚が禁止されていないとはいえ、
二股でしかも不倫だっとは、衝撃的だった。
それと、エイダルフが逃げている途中で出会った目の見えない男が、
印象的だったが、あまり活躍しなくて残念だった。
謎解きとしては、
船で人身売買という程度しか予測できなかったが、
フィデルマは最初から犯人のことを怪しいと思っていたとか。
そんな風には全然見えなかったけど。
とはいえ、最も衝撃的だったのはラスト。
フィデルマの誘いを断ってサクソン諸王国へ戻るエイダルフに、
フィデルマがついていく決断をするとは。
二 -
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修道女フィデルマのシリーズ、8作目。
7世紀アイルランドの、尼僧にして弁護士であるフィデルマが探偵役の歴史ミステリです。
アイルランドは五王国の時代。
そのうちの一つの国の王の妹であるフィデルマは、美貌で活発、頭が切れて勇敢。高位の弁護士の資格を持っていて、「黄門さまの印籠」をいくつも持っているような女性です。
これは必ずしも絵空事ではなく、当時のアイルランドは法が整備されていて、女性が重要な役職に就くことも可能でした。
修道院は勉学の場でもあり、尼僧が弁護士になっても、おかしくない。
それでも、女性への軽視や偏見がないわけではなく、事件に遭遇したフィデルマは大抵、「若い女に何が出来るか」「 -
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こちらも大好きなシリーズの1つです。定期的に翻訳が続いているのを見ると、私同様に根強いファンが存在しているようです。舞台は、7世紀半ばのアイルランド。日本は、飛鳥時代、大化の改新の頃でしょうか。このシリーズの最大の魅力は、何と言っても、主人公フィデルマのキャラクターです。修道女にして、ドーリィー(法廷弁護士)の資格を持ち、モアン王国の国王コルグーの妹君でも有ります。美人で聡明で有り、ドーリィーの資格を活かして、数々の難事件を解決してしまう推察力を備えています。
ストーリーは、フィデルマの思い人で有るエイダルフが、隣国ラーハンで少女を強姦し、殺害した罪で死刑を言い渡されてしまいます。何かの間違い -
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ネタバレ修道女フィデルマ・シリーズの短編集第5弾。
密室トリックに穴があろうと、
殺害方法が偶然すぎても、
凶器がご都合主義でも文句は言わない、
というか気がつかないぽんこつミステリーファンだが、
これだけは言いたい。
尊者にお出しするにふさわしい大物の鮭、
それを盗んだ魚泥棒の犯人が猫?
殺された料理長が自ら釣り竿を釣り糸を持って川へ向かって釣り上げた、
とあったので、
新巻鮭サイズの鮭だとは思っていなかったが、
熊がくわえていそうな体長50センチぐらいの鮭だと
勝手に思っていた。
とくれば、まさかサザエさんよろしく猫がくわえていけるわけがなく、
(著者の思惑通り)鮭が殺人の動機かなにかとにら -
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ネタバレ(上巻より)
最初の解説がとてもわかりやすくて良かった。
このシリーズを読み始めるにあたって、
必要な予備知識だと思う。
その中に、
作者の描いている科学技術が
当時のアイルランドの力を鑑みれば到底あり得ないものであると
批判されているという記載があった。
確かに、国力は科学技術の土台となる。
大輪の花を咲かせるには豊かな土壌が必要だ。
しかし、同時に人が作り出すものでもあるはずだ。
遠く未来から見れば、
大陸から孤立している島国、
山がちな国土に、乏しい資源、
地震に台風に火山噴火といった自然災害の国で、
例えば、世界で最も早く安全な列車を走せていたというのは
信じられないということ -
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ネタバレ修道女フィデルマ・シリーズの8作目(原作順で)。
巡礼の旅に出、船旅をするフィデルマ。
船に同乗していた巡礼団の修道女が海に落ちたと思われたが、
刺殺死体で発見される。
そして、船に乗り遅れたかと思われた修道女も、
実は殺されていたことがわかり…。
巡礼団の中に若い頃にフィデルマを手酷く捨てた恋人がいたとあっては、
事件どころではない。
フィデルマは、大人げない態度をとっていて相変わらず。
相手も成長していないようなので、お互い様だが。
それでも武人だったのに、片腕が使えなくなり、
妻にも見捨てられたとあっては、
もうちょっと気づかいしても良いのではと思っていたら、
王の命令とはいえ、戦 -
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ネタバレ666年アイルランド、モアン王国。王都キャシェルにてフィデルマの兄王コルグーと、敵対していたオー・フィジェンティの族長との和平交渉が行われることになった。だが、王が族長を伴ってキャシェルに足を踏み入れた途端、二人を暗殺者の矢が襲う。一命はとりとめたものの、犯人の身元をめぐって再び両者は緊張関係に。暗殺未遂に使われた弓矢の出所を探すことになったフィデルマとエイダルフは、その途中立ち寄ったイムラックで修道院から聖アルバの聖遺物と一人の修道士が消える事件が起きたと知る。二つの事件の関連を疑いはじめた矢先、イムラックの町を謎の武装集団が襲う。王国に内紛を起こそうとする真犯人の巨大な陰謀とは。〈修道女フ
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ネタバレ古代アイルランドの〈ブレホン法〉に則って裁判を行う弁護士〈ドーリィー〉であり、そのなかでも上位の〈アンルー〉という資格を有する修道女フィデルマが、聖餐のワインで毒死した青年、雪山の旅籠に夜な夜な出現する幽霊、消えた王家の大剣などの謎をその明晰な頭脳と法知識で解決する短篇集。
著者はケルトの歴史学者。このシリーズはミステリーの枠組みを使って古代アイルランドの社会を描くことを目的としたエンタメ小説である。
まずはなんといってもフィデルマの設定。王位継承者の妹という特権階級であることを差っ引いても、当時のアイルランドでは男女が同じ教育を受け、職業的に差別されることなく重要な役職に就けたという史実