西木正明のレビュー一覧
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全共闘世代
ノンポリだった私の学生運動を気持ちよく思い出させてくれました。
文章は上手いし、いままで何故西木正明さんの本に触れてこなかったのか残念です。
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Posted by ブクログ
政治家を目指していただけあって、コミュニケーション力の高い人だと思った。シベリア投獄中にロシア語、そして中国語までを学ぶ。10年もの投獄生活の中でソ連スパイになる交換条件での帰国という選択肢の拒絶、そして薬物投与を受けての突然死疑惑。戦中、戦後の極秘文書が明らかになって、さらにこうした事実が公になって来て欲しい。
近衛文隆の手紙に出ててくる「夢顔さん」。読み進むにつれて自分でも謎解きするように 中国語の音を当てはめているのではないかとか、ロシア語ではなどと西園寺氏に行き着くまで、推理に遊んだ。戦後10年ほどたったあとの日中関係がすでに中国側が優位に立っていることを知った。 -
Posted by ブクログ
旧華族の一人、戦中の近衛内閣の長男文隆を通して、華族の一流づくしの恵まれた生活とともに、政治の裏側を見せてくれる。政治の核の中で、戦争拡大に猛進していったばかりではない人びとの存在を知った。実在人物を通してその時代知る楽しみでもある。昭和初期日本での豪邸くらし、アメリカでの放蕩息子ぶりから社交界との繋がりはおよそ想像し難いほど、一般人からかけ離れている。このアメリカで培われたその国際感覚が文隆の魅力をましている。 上海の東亜同文書院がこの文隆の祖父であったこと、ゾルゲ事件の尾崎氏やゾルゲとも交友があったりと、歴史の当事者に近い目線がこの時代をよく知らしてくれる。
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Posted by ブクログ
あらすじには歴史ミステリーとありますが、読んだ印象は大河ドラマ的な方向性の作品だと思いました。
歴史ミステリーと言われると、テイ「時の娘」や高木彬光「邪馬台国の秘密」みたいな、歴史上の「謎」を主眼に置いてそれに対する考察を中心に物語が展開される作品を想像してるんですが、本作は特に何か謎があるわけでなく、史実上の出来事に、二葉亭四迷ともう一人の主人公である、ポーランド独立運動活動家で言語学者のプリードスキーという二人の人生を絡ませて描いたドラマでしたね。
(タイトルには「二葉亭四迷」とありますが、どちらかといえばプリードスキーの出来事を描くウェイトのが大きいかも…と思える程書き込まれてます)