あらすじ
【第13回柴田錬三郎賞受賞作】和平工作が失敗に終わり徴兵された文隆は、満州で終戦を迎え、シベリアに抑留される。日本の家族の元に届く手紙に繰り返し書かれていたのは、不可思議な言葉だった……。帰国と引き換えにソ連のスパイとなることを求められた文隆が、最後に希望を託そうとした「夢顔さん」とは一体誰なのか? 激動の時代を生き、高貴なる一族の長男として、そして日本人としての誇りを守り続けた文隆の運命は――。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
政治家を目指していただけあって、コミュニケーション力の高い人だと思った。シベリア投獄中にロシア語、そして中国語までを学ぶ。10年もの投獄生活の中でソ連スパイになる交換条件での帰国という選択肢の拒絶、そして薬物投与を受けての突然死疑惑。戦中、戦後の極秘文書が明らかになって、さらにこうした事実が公になって来て欲しい。
近衛文隆の手紙に出ててくる「夢顔さん」。読み進むにつれて自分でも謎解きするように 中国語の音を当てはめているのではないかとか、ロシア語ではなどと西園寺氏に行き着くまで、推理に遊んだ。戦後10年ほどたったあとの日中関係がすでに中国側が優位に立っていることを知った。