緒方貞子のレビュー一覧
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ネタバレ(一読目)
緒方貞子氏の博士論文。
満州事変はなぜ起きたのか、日本国内の政治的対立と、列強諸国および中国との外交関係を論じ、最終的に日本国内での政策決定の権力がどのように移行していったかを論じている。
秀逸なのは、日本金現代史を論じた本にしては極めて党派的偏りが無く整然とした論理構成がなされており、且高度な論述にもかかわらず初学者にも分かりやすく事変の経緯が記述されている点。
これは解説にもあるように、著者が1960年代アメリカで本論を執筆したため、日本の煩わしい党派対立から距離を置くことができ、かつ当時の日本人にとっては当たり前のことも丁寧に記述する必要があったためであろう。
大日本帝国のたどってきた足跡を見る上でとても有用な良書。 -
Posted by ブクログ
20年前の世界線の本。世界の難民問題について概要を知ることができた。緒方さんの忙中日記のパートはかなり具体的な内容で、あまり業界知識の乏しい私にはイメージがわかなかったので飛ばし読みしました。時系列が行ったり来たりする構成なので、例えば特定地域の難民問題を集中的に学習したい場合は、自分で個別に調べたほうが良い気がします。1990年代の難民問題のポイントや課題認識を学ぶことはできました。この本を読んだ後に動画で個別の地域の歴史などを見るとよく理解できました。
この本は、難民問題の教科書ではなく、あくまでも緒方さんの回顧録的な位置付けの本なので、一職業人としての視座や流儀に触れることができたし、若者たちに向けたメッセージのパートについては、引き締まる思いがしました。(30代だけど)
国際関係の博士号と政治学の博士号を取っているらしく、やはりこの業界で働く人はみな大学院でしっかり勉強をしてきた人であって、学部卒で体たらくをしていた自分はこの世界で働いてはいけないと思いました。また、大学受験の時、国際関係学部に憧れていた自分を思い出させてくれました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人から、読み終わったから、と、もらった本。
総論として、前半は微妙だったけど、後半は人となりが知れて面白かった。
彼女のUNHCRでの困難な決断三つ。本書の前半は、ひたすらこの三つが核になっている感じで、今はこの当時の「急増」と言っている規模よりも難民の増大は半端ないので、ややコンテクストが古い感じ。過去こうだったのね、トップはこういう生活なのね、という感覚で読む。
三つ。
イラク国内におけるクルド難民救済 国内避難民を保護することとなり大議論。 p.13
サラエボで、軍との協力による物資空輸を開始。停戦合意のない戦闘状態のなかで人道援助を行ったはじめての経験。従来のICRCの仕事。ユーゴ解体によって、今日の国内避難民が明日の難民になる可能性があったから。予防のため。また、直接的には、ICRC代表がサラエボで襲撃を受け亡くなり、彼らが撤退し空白が生まれていたため。 p.14
コンゴ民主共和国へのルワンダ難民大量流出の際、難民と、集団虐殺に関与した武装兵士や軍人、民兵が紛れ込み区別できなかった。そのためキャンプでどちらも支援することになったが、人道支援の原則から外れるということて非難轟々。
後半は、高等弁務官を辞めてから(終わり頃)のインタビュー等が収録されており、問題の扱い方がやや多角化する。軍隊の出動と人道援助部隊との関係の議論はいまだに絶えないし、難民キャンプ軍事化・治安不安定化の懸念も絶えない。そういう点でのコメントなど、今でも参考になるかも。国際警察としての軍隊の起用法を考えるとか。
また、日本人が今後世界でプレゼンスを示すにはどうしたらよいか、なんてコメントも載っていたりして面白かった。語学力は...重々認識しつつ...ぐぬぬ。
日本が均質すぎるがゆえに、世界の問題が身近じゃない、だからこそ積極的に意識しないと見えてこないというのは同意。
最後の解説で引用されていた緒方さんの言葉は、なんか端的に人となりを表しているのかなと思った。
島国日本が、「日本は素晴らしい」と自賛し、日本だけの繁栄や心地よさを求めればどうなるか。
「すばらしかったらそれを広めるということが一つの使命です。この国は物がなくなったりもしないし、犯罪もひどいわけじゃない。やや、心地よすぎるのです。だけど、ほかの国も心地よくならないと、いつかは、私たちも心地よくなくなる。それをもう少しはっきり認識することが必要ではないかと思います。」 p.399
緒方さんが、2000年金当時からsolidarityを提唱していたとは知らなかった! -
Posted by ブクログ
ネタバレ国連難民高等弁務官、国際協力機構理事長を務められた緒方貞子さんのインタビュー本。確か何かの雑誌で紹介されていたのを見て読んでみました。
ひいおじいさんが犬養毅元首相、父親が外交官という元々、国際、政治のサラブレッドのようですが、お二人の子育ても頑張り、ガッツとパワーで重役も務められたということが分かりました。
イラク・クルド難民支援、ボスニア紛争などの経験談は私には予備知識が無いので内容的に難しかったけれど、危険にさらされた中で大きな決断を強いられ、それを実行した強さを読み取ることが出来ました。
本のタイトル「共に生きるということ」にあるように、国際社会では人に依存しないでは生き延びれないと。
最後にある「100年後のみなさんへ」のメッセージは緒方さんだからこそのメッセージでしっかりと受け止めて、「いい考え方、いい試み、多様な幸せのあり方」を考えていきたいと思った。