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Posted by ブクログ
緒方貞子 「満州事変」満州事変の歴史的、政治的な背景を検証した本。列国や国際連盟に挑戦し 大陸に進出した第一歩が 満州事変 という論調。
満州事変を契機として、日本が 国際均衡から 自主外交へ 転換し、アジア膨張主義に拡張したことを 日本政府、軍中央部、関東軍、在満日本人、満州人民、中国政府、列国などのパワーバランスの変化により説明している
「満州事変は 権威に対する反抗である」
権威を秩序に近い意味で使っている。権威(国際秩序や中央政府による政策の安定性)を守るために ガバナンスが必要というのが 著者の結論だと思う。
本の主題=満州事変をめぐる政策決定プロセス
*満州事変の政策決定の特色=権威に対する反抗
*政策決定者は 常に 関東軍〜軍中央部を同調させた
*満州国の独立=関東軍の独立→軍中央部への反発
満州進出を主張した人々の心理
*列国や中国を怖れた明治の国家主義者たちと異なる
*2度の戦争に勝利し、中国を敗北国家として見ている
*西欧列国に挑戦し、満州での自主外交を進めた
中国との関係性=大アジア主義
*西欧からアジアを守るために 中国との協力が不可欠と考えた
*日本の近代化が急速に進み、国力が増大したことにより、日本は 自国の膨張の場として中国大陸へ進んだ
*中国のナショナリズムが反日に進み、大アジア主義は矛盾
満州事変後の日本の外交
*大陸への膨張と列国との協調の間の均衡が失われた
*大陸への膨張=満州における日本権益の維持と拡張→列国の監視に抵抗しながら
*満州国の承認→満州進出を優先→中国、列国、国際連盟との関係を後回しにした
満州国の建設
*関東軍が日本政府、軍中央部の反対を無視して建設
*大アジア主義→民族協和思想→在満日本人が安住するための防衛的構想
日本政府、軍中央部
*満州国の建設に反対→満州=中国政府主権下にある地方政権→列国の承認を得るため
*満州事変中に 弊原外相のもと 満州国支持へ転換→国際協調を損なっても満州進出を優先
列国、国際連盟
*日本の満州進出に対して 武力干渉せず=名目上の反対と実質上の反対に差がある
*満州事変以降に日本の膨張主義は加速化→国際社会の違法行為に対して 国際連盟は毅然とした態度を採るべきだった
Posted by ブクログ
読み切ったが、一度読んだだけで理解出来る情報量ではない
だが満州事変をほとんど知らない状態で読んだことを考えると、かなり分かりやすい内容だと感じた
単純に何が起こったか、というよりも、その時代背景や諸外国の動き、民意、軍隊、政府などが当時どう考えていたかなどが非常に生々しく描かれている
この当時から中央が関東軍を制御できていない点、若者たちの暴走、しかも「具体的な解決策もなく、ただ突っ走るだけ(あいつが悪いと決めて暗殺する)」である。だが、民意はそれを支援していく。今を否定したいがためにやがて軍も当初の思いから変化していく。当初は民主的な内容だったが、帝国主義の勢いは止まらず、戦線は拡大していく。。どこに向かっているかを見通せていたとは思えない
思えば日露戦争では諸外国の駆け引きをしながら進めたが、この満州事変はどちらかというと「追い詰められた状態」からのスタートである。色々と条件が異なるが、それにしても出口がみえない
連盟脱退にしても、脱退を決めたというよりも、脱退になった、という「流れに任せた」感がある。その無責任な対応は、今後日本が「空気」に任せて迷走を続ける、まさにスタートラインだったように思える
Posted by ブクログ
(一読目)
緒方貞子氏の博士論文。
満州事変はなぜ起きたのか、日本国内の政治的対立と、列強諸国および中国との外交関係を論じ、最終的に日本国内での政策決定の権力がどのように移行していったかを論じている。
秀逸なのは、日本金現代史を論じた本にしては極めて党派的偏りが無く整然とした論理構成がなされており、且高度な論述にもかかわらず初学者にも分かりやすく事変の経緯が記述されている点。
これは解説にもあるように、著者が1960年代アメリカで本論を執筆したため、日本の煩わしい党派対立から距離を置くことができ、かつ当時の日本人にとっては当たり前のことも丁寧に記述する必要があったためであろう。
大日本帝国のたどってきた足跡を見る上でとても有用な良書。
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