北村陽子のレビュー一覧
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ネタバレTED代表者のクリス・アンダーソンによる「利他」の本。
「そりゃそこまで成功したら綺麗ごとも言えるよ…」と思うなかれ。まさしく本書を読むべきは、そんな風に思ってしまう私たちなのだ。
(かく言う僕もビル・ゲイツの推薦がなかったら買っていなかっただろう…)
「やらない善よりやる偽善」が本書の大筋なんだけど、じゃあそれをどうしたら多くの人に実施してもらえるシステムを構築するか、まで語っているのが素晴らしい。こういう部分が流石だよなぁ。
「善」と聞くと純粋で見返りを求めないものをイメージしてしまうけれど、(その背景がどんなものであれ)「善」と呼ばれるものを成した時点で称賛されるべき、というのがポイ -
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本書のテーマ「利他」について興味があり、英治出版の読者モニタープログラム応募し、書籍をいただきました。
世界で日本の「おもてなし」が評価されているという話は聞きますし、実際接客業の質の高さ、親切な人たちも多い印象です。
しかし、近くにいる一人一人を見ていると、「自分たち」中心の考え方に触れることが多く、違和感を持っていました。
そんな中、なぜ利他が必要なのか、なぜ利他が行われている場面が少なく見えるのか、そして、どうやったら利他を実行し、その先にどんな世界が実現するのか、と言った問いに答えてくれる本でした。
著者は、TEDのトップを務めているクリス・アンダーソン。
自身や身近に起こる利 -
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斎藤幸平『人新世の「資本論」』にて、資本主義による成長の代償を後進国がおっかぶるという主張があったが、チョコレート産業におけるそれを見た。
先進国の都合でカカオの生産地にされた挙げ句、市場価格の暴落により貧困にあえぐ人々。奴隷同然の扱いを受けタダ働きさせられる子供たち。
私達はそれらの人々を犠牲にして、100円のチョコレートを当たり前のように食べている。
そして、原料のカカオを作っている人々は、カカオがどうなるのか知らず、チョコレートを見たことすらない。
これは過去ではなく、現代の話である。
資本主義経済における世界の歪さを思い知った。
自分が何ができるかは分からないが、この現実を意 -
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チョコレートの原料のカカオ豆。古くから歴史があり疲労回復の食物として重宝され通貨の代わりにもなっていた。コロンブスがカカオをスペインへ持ち帰り、イギリスがスペインからジャマイカを獲得してからカカオの生産拠点としてキャドバリー社はチョコレート会社として発展する。
20世紀初頭、カカオの生産にはすでに奴隷制度が関わっていることを、クエーカー企業でさえ目をつぶってきた事実。アメリカ資本主義の欺瞞がここに。
アメリカのハーシー社はもともとはキャラメルを製造していたが、創業者はキャドバリー社の製造を参考にし、アメリカでチョコレート産業が花開く。雇用を促進し、住居を確保し、孤児院までつくる優良企業に発展 -
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カカオ農園で働く子供はそれが何になるか知らない。
コートジボワールに行けば自転車が買えると隣国マリやブルキナファソから来た子供はだまされてカカオ農園で働かされるが給料をもらえることもなく搾取されている。穀物メジャーのカーギルやADMが買い付け、製菓メーカーがチョコレートを作る。児童労働を禁じる法律に対して製菓メーカーは調査をしぶり、見ないふりをする。
子供達を働かせる農家も儲かっている訳ではなく、カカオの集配人は私兵に賄賂をせびられ、カカオ公社は権力と結びつき輸出した代金は闇に消える。
チョコレートを食べる人が責任を感じる事はないが、真実は苦い。 -
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原料のカカオ豆を栽培する子供たちと
それを食べる先進国の子供たちとの間には
どれだけ 深い溝があるのか・・
ショックを受けました。
働かないと生きていけない世界。
過酷な労働をしても 賃金が無い
または人身売買のような状態で つれて来られて働かされていたり・・
さらに恐ろしいのは、その状況を作り出しているのは
その豆を製造・加工・消費する
先進国の私達自身だということ・・
自分が口にするものについて
ここまで無知だったことを恥ずかしいと思いました。
「カカオ豆を収穫する手とチョコレートの包み紙を開ける手の間の溝が埋められるためには?」
という著者の言葉に、
今は何も答えられない -
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キャロル・オフ氏は、カナダのウィニペグ生まれ、1981年にウェスタン・オンタリオ大学(英文学専攻)卒、CBCテレビの国際報道記者として活躍したジャーナリスト。旧ユーゴスラビアやアフリカの紛争、難民問題、グローバル資本主義の闇、児童労働などの国際的な社会問題を取り上げたノンフィクションを多数執筆。ジェミニ賞(カナダの優れた報道・ドキュメンタリー番組に贈られる賞)、B.C.ノンフィクション賞(カナダ最大級のノンフィクション文学賞)等受賞。
本書は、チョコレート産業の裏に潜む「苦い真実」を告発するノンフィクションで、原書は『BITTER CHOCOLATE:Investigating the Dar -
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心苦しい罪悪感と、チョコレートの無い生活なんて嫌だという欲と、私なんかが解決できやしないという無力感。
そういった、ごったまぜな感情になった。
平和で満たされた生活をしていると、カカオをとりまく苦しい世界が今現実にあるなんて、信じられない。
それでも、目をつぶっていてはいけない、と思った。
私には何もできなくても。
知ること。
それが全ての始まりなんだろう。
今後、チョコレートを見るたびに、一瞬ひっかかるようになるかもしれない。
あるいは、都合よくすっかり忘れてしまうのかもしれない。
それでも、この本を読んでよかったと思う。
【memo】
人は、良い環境でも、与えられたものであると満 -
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成毛眞氏書評からのリファレンス。タイトルのとおり、古代マヤ文明において神々の食べ物とされたカカオ歴史、チョコレートの製品化とリーディングカンパニーの変遷。そして世界規模の格差を浮かび上がらせる現代のカカオ生産ビジネスが抱える暗部。
チャーリーとチョコレート工場(あの映画は1971年にも、チョコレート工場の秘密として映画化されている)にはちゃんとモデルがあって、それは自身の名前を冠する町ハーシーを建築し、孤児を引き取り育てたミルトン・ハーシーだった等のくだりは、当時のヨーロッパ企業とアメリカ経済の絡みかたまで俯瞰でき楽しい内容だった。
しかし、カカオ生産ビジネスが今なお抱える、児童強制労働に