あらすじ
TED代表が語る究極のアイデア。
炎上や分断の世界に希望をともす渾身の1冊!
▶見知らぬ誰かのための「先払いコーヒー」が2年で34カ国に
▶身内の家庭教師から始まったオンライン授業が20億回再生
▶「ヒゲを伸ばす」だけの健康啓発キャンペーンに10億ドル以上
ちょっとした思いつきも、奇抜でお茶目な取り組みも──善意は想像を超えて広がっていく!
あなたが躊躇した優しさこそが「広める価値のあるアイデア」だ。
【各界からの推薦】
「より公正な世界をつくりたいが、何から始めればいいかわからない──本書はそんなあなたのための本だ。」
──ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)
「警告:この本を読むと、立ち上がって行動せずにはいられなくなるかもしれない。伝染する利他は、世界を根本的に変える可能性を秘めている。」
──ルトガー・ブレグマン(『Humankind 希望の歴史』著者)
「人間の利他について書かれた本として初めて、最後まで一気読みしたくなる本。」
──エリザベス・ダン(幸福研究の社会心理学者)
【プロローグより】
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Covid-19(新型コロナウイルス感染症)がもたらした多くの教訓の中でも、最も意味深いものの1つはこういうことだ──パワフルであるために大きさは必要ない。ただ伝染さえすればいい。
自己複製可能なパターンは、限りないインパクトを持ちうる。コロナウイルスは、ヒトの免疫システムを回避し、自分のコピーを何十億と生成し、そしてそのコピーを咳やくしゃみを通じて他者が吸う空気に吹き込むことによって、そうしたインパクトを持った。
だが、「伝染」するものは他にもたくさんある。
世界をより良いほうへ変えられる伝染が1つある、ということを私はみなさんに伝えたい。その名は? 利他という。利他に本当に伝染性を持たせる方法がわかれば、分断が進む一方の現代世界の流れを食い止め、新たな希望の時代に入ることができるだろう。
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【目次】
第1部 Why(なぜ)──なぜ今こそ「伝染する利他」の時代なのか
第1章 利他の伝染の内側で起きていること
第2章 果てしなく広い村
第3章 完璧な利他でなくても
第4章 隠れたスーパーパワー
第5章 不思議の実験
第2部 How(どのように)──誰もが役割を果たせる
第6章 金銭的寄付以外の6つの方法
第7章 伝染の触媒
第8章 躊躇せずに伝えよう!
第9章 それでは、お金については?
第3部 What If(もしも)──利他が正当な地位を獲得した世界を想像する
第10章 私たちが望むインターネット
第11章 企業にできる賢明な方策
第12章 フィランソロピーの真の可能性
第13章 プレッジはすべてを変える可能性がある
第14章 次は、あなたの番
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Posted by ブクログ
TED代表者のクリス・アンダーソンによる「利他」の本。
「そりゃそこまで成功したら綺麗ごとも言えるよ…」と思うなかれ。まさしく本書を読むべきは、そんな風に思ってしまう私たちなのだ。
(かく言う僕もビル・ゲイツの推薦がなかったら買っていなかっただろう…)
「やらない善よりやる偽善」が本書の大筋なんだけど、じゃあそれをどうしたら多くの人に実施してもらえるシステムを構築するか、まで語っているのが素晴らしい。こういう部分が流石だよなぁ。
「善」と聞くと純粋で見返りを求めないものをイメージしてしまうけれど、(その背景がどんなものであれ)「善」と呼ばれるものを成した時点で称賛されるべき、というのがポイントだね。
ビル・ゲイツに代表されるような億万長者の持つ資本の比率は年々上昇している。
もちろん税制は一定の均衡を手伝っているけど、それだって焼け石に水の中になるのであれば、彼らに「名誉」を与えて資本を提供してもらうことも良いアイデアの一つになるだろう。
(実際ビル・ゲイツは慈善活動を行っていて、確かに節税対策かもしれないけれど、彼は私たち以上に「善」い事を行っているはずだ)
Posted by ブクログ
本書のテーマ「利他」について興味があり、英治出版の読者モニタープログラム応募し、書籍をいただきました。
世界で日本の「おもてなし」が評価されているという話は聞きますし、実際接客業の質の高さ、親切な人たちも多い印象です。
しかし、近くにいる一人一人を見ていると、「自分たち」中心の考え方に触れることが多く、違和感を持っていました。
そんな中、なぜ利他が必要なのか、なぜ利他が行われている場面が少なく見えるのか、そして、どうやったら利他を実行し、その先にどんな世界が実現するのか、と言った問いに答えてくれる本でした。
著者は、TEDのトップを務めているクリス・アンダーソン。
自身や身近に起こる利他について、事例を踏まえながら、上記の問いに答えていく。
本書から得られた気づきは、以下の通り。
・人間の決断は、何らかの利得のためになされている(完璧な利他行為など存在しない。が、利他的な行為の優しさを称える)
・利他は自身の幸福感を高める
・利他思考になるためには、自分自身に寛容になる。自分が恵まれていることを認識する
・認知バイアスと時間バイスにより、良いニュースよりも、悪いニュースに触れることが多く、世界が悪い場所であると認識してしまう
・利他的な行動を習慣化させる
・インターネットの力を使い、利他の行為や事象を拡散させる(誰でも意識すればできる)
本書では、企業での取り組みや富豪の寄付の話など、自分とは縁遠い話もあるが、「あなたはどうするのか?」と繰り返し問いかけられており、利他の発揮について、自分ごとで考える機会となった。
小さなことでも積み上げることで、社会が変えられるかもしれないと、希望を感じられる内容であった。